毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

左ハンドル国産車が見せてくれる非日常と明日の姿~『左ハンドル国産車が日本を救』小森正智 氏 小森正隆 氏 (2014)

左ハンドル国産車が日本を救う 「国産車左右ハンドル選択自由」の規制緩和で左ハンドル国産車の生産販売を認めるメリットとは?2014年刊 「国産車左右ハンドル選択自由」の規制緩和で左ハンド ル国産車の生産販売を認めるメリットとは? 「国内新車販売が増大…

欧米文学の源流は『オデュッセイア』、この模倣から文学がスタートしている~『早わかり 世界の文学 』清水義範(2008)

早わかり世界の文学―パスティーシュ読書術 (ちくま新書) 作家・清水義範の小説スタイルは「パスティーシュ(模倣芸術)」と呼ばれてきた。世界の文学はつながっている。2008年刊 パスティーシュ読書術 パスティーシュはフランス語であり、美術などで使われる用…

なぜ英国で産業革命が始まったか、 石炭が先か、産業革命が先か?~英国から始まったエネルギー革命

どうしてイギリスで産業革命が始まったか?英オクスフォード大のRC Allen教授は、英国は石炭による廉価エネルギーを世界に先駆けて享受したからだと説明する。 The British Industrial Revolution in Global Perspective (New Approaches to Economic and Soc…

やっぱり心身は一体である、脳科学の見地から~『脳の中の身体地図』(2009)

脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ ブレイクスリーはサイエンスライター、脳と身体の一体性を脳科学の見地から解説。2009年刊 脳と身体地図、そして感覚 外界と身体の解剖学的構造のイメージが脳組織に体系的にマ…

「シズル感」の語源を知っていますか?、それは今から80年前のコピーライティング技術~『ステーキを売るなシズルを売れ』 ホイラー(1937年)

ステーキを売るなシズルを売れ --ホイラーの公式 (フェニックスシリーズ) シズル感の語源を知っていますか? 「シズル(sizzel)」という英語は、ステーキを焼くときのジュージューという音のこと。 つまり、ステーキを売るためには「匂い」や「音」を売るの…

どうして「七人の侍」は名作だと言われるのか?それは基本にこだわり抜いたリーダーの成果~『複眼の映像、私と黒沢明』

<複眼の映像―私と黒澤明 (文春文庫) p> 橋本忍氏は昭和25年、『羅生門』を監督する黒澤明との共同脚本でデビュー。この二人を核にした黒澤組は、小國英雄らが参加した脚本で『生きる』(27年)『七人の侍』(29年)を始め、数々の映画作品を生み出した。 映画に…

様々な国籍の人々が集まる東京、そこはトーキョーだった~『異国トーキョー漂流記』 高野 秀行 氏(2005)

異国トーキョー漂流記 (集英社文庫) 高野氏は冒険ライター、「私」には様々な国籍のユニークな外国人の友達がいる。彼らと彷徨う著者の眼に映る東京は、とてつもなく面白く、途方もなく寂しく、限りな く新鮮なガイコクだ。(本書裏表紙より)2005年刊 コン…

どうしてくすぐる真似だけで"くすぐったい"と感じるのか?~『皮膚感覚の不思議』山口 創 氏(2006)

皮膚感覚の不思議―「皮膚」と「心」の身体心理学 (ブルーバックス) 山口氏は身体心理学の研究家、 なぜ、くすぐる仕草をされるだけでもくすぐったい?身体心理学で迫る! (2006年刊) 著者によれば人間は古くからくすぐったさに不思議な感情を持っていたという…

100年の価値とは何か?それを言葉にしてみる~『100年の価値をデザインする』奥山 清行 氏

100年の価値をデザインする: 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか (PHPビジネス新書) 奥山清行氏は工業デザイナー。自身が活用できた理由を、「日本人としての切り捨ての文化」だと言う。2103年刊 イタリアのカーデザイナー・ピニンファリーナ氏 「この…

なぜメイフラワー号は神話となったか?「小さ子」という神話の構造~『ピルグリム・ファーザーズという神話』(1997)

ピルグリム・ファーザーズという神話―作られた「アメリカ建国」 (講談社選書メチエ) 大西氏はアメリカ文学の研究家、1620年、厳冬。メイフラワー号はアメリカ東岸に漂着する。最初の植民者でもなく、篤信の士も少なかった百二人。歴史の波間に没した最小、最…

今必要なもの、「暴風雨、高波の夜の海に飛び込む」覚悟と勇気、~『人はなぜ逃げ後れるか』広瀬 弘忠 氏(2004)

人はなぜ逃げおくれるのか―災害の心理学 (集英社新書) 広瀬氏は災害心理学の研究家、地震や洪水、火災などの災害に遭遇した時、身をまもるために素早く行動できる人間は驚くほど少ない。2004年刊 パニック神話 災害や事故にあって、平常心でいることは難しい…

戦争において補給は重要である、では補給戦は目的なのか?~『補給戦』 クレフェルト 氏(1977)

補給戦―何が勝敗を決定するのか (中公文庫BIBLIO) クレフェルト氏はイスラエルの歴史学の研究家、補給こそが戦いの勝敗を決するということを分析した。2006年刊 兵站術とは 本書では「軍隊を動かし、かつ軍隊に補給する実際的方法」でり、「兵として生きる為…

地球資源を消費する正体は「死への恐怖だった」という視点~『昆虫にとってコンビニとは何か?』

昆虫にとってコンビニとは何か? (朝日選書) 高橋氏はカメムシの"採集人"、深夜のコンビニは、明かりに引きつけられた昆虫にとって繁殖の場でもある。人間が便利で心地よい生活のためにつくってきた装置は、環境をつくりかえ、多くの昆虫を絶滅させてきた。そ…

ドーナッツに穴が開いたのはいつだったか?~『古きよきアメリカン・スイーツ』2004年刊

古きよきアメリカン・スイーツ (平凡社新書)岡部氏は児童文学翻訳家、ペカンパイ、ブラウニー、パンプキンパイなどなど。大きいだけ、甘いだけがアメリカのお菓子じゃない。2004年刊 ドーナッツの祖先はオランダの揚げ菓子 アメリカにドーナッツが伝わったの…

正しい時に正しい場所にいる事、自分で選べる人を"天才"と呼ぶ~『天才! 成功する人々の法則』M・グラッドウェル(2009)

天才! 成功する人々の法則 グラッドウェルはビジネス書のベストセラー作家。 人類の富豪トップ75名を調べる 75名のうち、実に14人が19世紀なかばの10年間のうちに生まれたアメリカ人なのだ。・・・歴史家がクレオパトラやファラオ以降、人類の歴史についてく…

クリーンディーゼルとコモンレールを知っていますか?、エンジンはまだまだ進歩できる事に気づく~『ディーゼルエンジンの徹底研究』(2012)

ディーゼルエンジンの徹底研究 鈴木氏はディーゼルエンジン開発の技術者、燃焼改善や排出ガスの後処理技術などの急速な進化により注目されるディーゼルエンジンについて解説。2012年刊 エンジンのエネルギー損失は排気ガスと冷却水で失われる熱が大きい。 こ…

現代分子生物学は、25年前に「心身は一体」に科学的解釈を与えていた~『精神と物質』利根川進×立花隆(1990)

精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫) 抗体の多様性生成の遺伝学的原理の解明でノーベル生理・医学賞を受賞した1987年、立花氏が利根川氏にインタビュー。1990年刊 遺伝子上のエクソンの一つ一つが別々の遺伝子だった DNAは様々な…

どうして日本語は英語とも中国語とも文法が違うのか?~『日本語の源流を求めて』大野 晋(2007)

日本語の源流を求めて (岩波新書) 大野晋(1919ー2008)、国語学者、日本語は、いつ頃どのように生まれたのか?古典語との格闘から日本語の源流へと探究を重ねた。2007年刊 日本語と中国語は同系列ではない 日本語と中国語とを比較すると、単語については「対応…

現代の"大実業家"のビジネスモデルはルネッサンスにあった~『メディチ家』森田 義之 氏 1999年

メディチ家 (講談社現代新書) 森田氏は西洋美術史の研究家、メディチ家は 15~16世紀にフィレンツェ、さらにトスカーナ公国の実権を握り、武力ではなく文化の力で欧州を圧倒した。1999年刊 メディチ家 「メディチ」(Medici)の家名そのものが示すように、彼…

現状の延長線上にゴールを見るか、理想的ゴールから現状を見るか、の違いの大切さ~『自動車の社会的費用』宇沢弘文 (1974)

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 B-47) 宇沢弘文(1928ー2014)は経済学者、市民の基本的権利獲得を目指す立場から、自動車の社会的費用を具体的に算出し、その内部化を探る。1974年刊 人間は生産要素だけの存在であるはずがない。 自動車の社会的費用 市民…

今更ながら、民主主義の語源から眺めてみると、、、~『民主主義という不思議な仕組み』佐々木 毅 氏(2007)

民主主義という不思議な仕組み (ちくまプリマー新書) 佐々木氏は 政治学の研究家、誰もがあたりまえだと思っている民主主義。それは、本当にいいものなのだろうか?2007年刊 ポリスは法という抽象概念によって形成 古代ギリシャのポリス(都市国家)は、都市…

理想的コンピューターの計算コストは「いくらかかるか?」~『熱とはなんだろう』竹内 薫 氏(2002年)

熱とはなんだろう―温度・エントロピー・ブラックホール… (ブルーバックス) 竹内氏はサイエンスライター、 熱の正体は? 2002年刊 ビリヤード型コンピューター 電子の代りにビリヤードのボールを入力して、ボールどうしが途中で衝突したり壁で跳ね返ったりして…

我々は何を知っていて、何を知らないのか ? 「ベイズの推論」アプローチから~『シグナル&ノイズ』ネイト・シルバー氏

シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」 シルバー氏は統計のアナリスト、「私たちはシグナルを探そうとしてノイズを集めている」、情報の洪水のなかから真実(シグナル)を見つけ出す統計分析理論と予測技法2013年刊 株価が良いとき、人は株式に投…

歴史とは空間と時間の中で解釈する事、そこにゴールが生まれる~『世界史の誕生』岡田 英弘 氏(1999)

世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫) 岡田氏は東洋、特にモンゴル史の研究家、歴史は西洋史と東洋史があった。1999年刊 ギリシア帝国前にも歴史がある 歴史とは何か? 歴史とは、人間の住む世界を、時間と空間の両方の軸に沿って、それも一個人が…

すべての文字は絵文字から始まった、という発想とスタンプをつなぐもの~『私の国語教室』

私の国語教室 (文春文庫) 福田氏は評論家、歴史的かなずかいは「表記法は音にではなく、語に随ふべし」といふ原則に従っている。2002年刊 文字は絵文字であった 発生的に考えれば、文字は音声とは無関係に、かつ音声を伴わずに、まず絵文字として出現したの…

成功の秘訣は"長い時間軸で重要だと思える事にフォーカスする事"~『大本営参謀の情報戦記』堀 栄三 氏

大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫) 堀 栄三、1913年(大正2年)- 1995年は、日本の陸軍軍人、陸上自衛官。階級は陸軍中佐、陸将補。太平洋戦中は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させて名を馳せた。 日本の時間軸 しょせん…

民主主義に大きな政府は必要か?~『謎の独立国家 ソマリランド』

謎の独立国家ソマリランド 高階氏はノンフィクション作家、西欧民主主義敗れたり! !終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている独立国があるという。2013年刊 ソマリ…

読書は脳の進化と新たな思考をもたしてくれる!~『プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか?』

プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか? ウルフ氏は認知神経学の研究家。読字(書)は、脳の編成の最も基本的な設計原理がいかにして、絶えず進化し続ける私たちの認知プロセスを支え、構築していくかを教えてくれるのだ。2008年刊 読書リテラシー…