毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

やっぱり世の中は思ったより単純にできている。~今日を楽しく生きる為に思考停止しない方法。

コンピューターの原理は200年前のブール氏の記号論理学に遡る ジョージ・ブール(1815-1864)は、英の数学者・哲学者。今日のコンピュータを理論的に支える記号論理学であるブールの提唱者として知られる。 記号論理学 数学的関係を表すのに用いられる形式的…

無くなりつつあるマッチ棒から考える~物質とエネルギーでは説明のできない事

痛快!コンピュータ学 (集英社文庫)坂村氏は電脳建築学の研究家。本書は2002年初版。 坂村氏は19-20世紀は物理の世界、その次の世界を支えるのが情報理論であると説明。 シャノンの情報理論以前 物理学で測る事ができない「差」、それが情報だ!ーシャノンの情…

どうして地球は磁石として働くか?~自分の頭で理解しているか?

鉄学 137億年の宇宙誌 (岩波科学ライブラリー)本書は2009年東大総合研究博物館特別展示「鉄ー137億円の宇宙誌」が契機。 地磁気~ ダイナモ理論 地球表面に暮らす生物たちを宇宙線から守るバリアであり、極域の夜空に美しいオーロラを作り出し、渡り鳥たちに…

最初のトマトケチャップは甘くなかった、常識は短い時間軸に囚われている

トマトケチャップと言えばオムレツ、ハンバーグ、エビフライ、子供が好きな甘いソース。 トマトが野菜になった日―毒草から世界一の野菜へ 本書は1999年、カゴメ(株)の創業100周年を契機としてトマトの歴史についてまとめている。 ケチャップの綴り アメリカ…

情報の持つ意味、世の中を理解しておく為に最も重要な情報

クロード・エルウッド・シャノン(1916-2001アメリカの電気工学者、数学者。20世紀科学史における、最も影響を与えた科学者の一人。1948年『通信の数学的理論』で、シャノンは通信における基本問題を取り扱うために、情報の量(情報量)を事象の起こる確率に…

宇宙人はハンガリー人、もう地球に来ている。

フォン・ノイマンの生涯 (朝日選書) マクレイ氏は英国出身のジャーナリスト、原書は1992年の出版。本書帯は「その底知れない知力によって悪魔とも宇宙人とも呼ばれた男―量子論、ゲームの理論、原水爆、コンピュータ、数値気象学…を立ち上げ、20世紀後半の科…

宇宙で生まれた鉄を我々はどうやって利用しているか?

図解入門 よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み―性質、技術、歴史、文化の基礎知識 (How‐nual Visual Guide Book) 田中氏は新日本製鉄に勤務、金属に関する著作を続ける。田中氏は本書で鉄について図解する。取り上げる範囲は製法から歴史まで幅広く、図解が…

人は自由に思考し変化できる~「心と脳」に感謝!

心と脳――認知科学入門 (岩波新書) 安西氏は認可科学の研究家、慶應義塾大学の総長を勤める。本書は「心と脳と社会を総合的に理解することであり、認知科学はこの目標に近づく為の最も重要な知的営みの一つ」を述べること。(帯より) 私の伝えたい事:思考の自由…

グローバルスタンダードから 非常識なGT-R、標準化の視点から

「ものづくり」の科学史 世界を変えた《標準革命》 (講談社学術文庫) 橋本氏は科学史・技術史の研究家。本書は「標準」と「互換性」がキーワード。 標準化の起源は軍事、そして育てたのも軍事 十九世紀と比べて格段に製造技術が進歩した現代では、部品が標準…

人工知能AIは正しい答を出せるか?~人間の持つゲシュタルト的認識力から

人工知能と人間 (岩波新書) 長尾氏は人工知能の研究者。本書は1992年!の発行。まえがきに人工知能の研究は「人間の知性とは何かをコンピュータの立場から問うことであり、人間の頭の中でどういうことが行われていたいるかに関心を持つこと」と説明する。 こ…

アマゾンの予測出荷と蝶ネクタイ構造

Amazon、「予測出荷」の特許を取得 ― 注文される前に商品を出荷 (TechCrunch Japan) - Yahoo!ニュース 「Amazonは、購入者が何を買うかを、実際に買う前に予測して配達時間を短縮するシステムを特許出願した ― それは購入のクリックが起きる前に(結局起き…

最初の野菜は何であったか?~地球システム論から

野菜の起源 野菜は、食用の草本植物の総称。水分が多い草本性で食用となる植物を指す]。主に葉や根、茎、花・つぼみ・果実を副食として食べるものをいう。(Wiki)定義に遡るまでもなく、人間が食べる植物が野菜。野菜は狩猟採集の時代も概念としてはあるが、…

とうがらしと思考の時間軸の関係

世界の野菜を旅する (講談社現代新書)玉村氏は食を中心とする文筆家。本書の帯は「この一冊で野菜通!」 トウガラシ(唐辛子)Wiki ナス科トウガラシ属の多年草又は低木(日本などの温帯では一年草。メキシコ原産(アンデス地方という説もある)。果実は香辛料又は…

未来からのメッセージを載せた本~時間の等方性と2020年はやぶさ2

はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書) 吉田氏は数学・物理学のサイエンスライター。あとがきで「偉人の伝記も、学問の形成史も読まれなくなって久しい。広い層の方々に、世界に冠たる宇宙研の歴史と、そこで働く人々の発想を、人のの和を重ん…

軍事とエネルギーの関係、中世の十字軍が明確にするもの

5日でわかる世界歴史 増補版 (小学館文庫) 和仁氏は映画監督などの経験、1月8日エピクロスにつづいての登場。「長年にわたって動物と人間を見つめてきた和仁進が、6千年を超える文明の歴史」を俯瞰する。 十字軍 中世西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリッ…

デジタル化と書道、感情の記録メディアとして

書く―言葉・文字・書 (中公新書 2020) 石川氏は書家。 書は筆と紙の摩擦によって生じる 筆先が紙に触れ、書ができていく。そこに書かれているのは言葉であり、文字である。文字は単に点と線からなる図形ではなく、筆と紙の接点に生じる力ー筆蝕ーのダイナミ…

お前は何者だ?東洋的学問と西洋科学のはざまで、

パラダイムと科学革命の歴史 (講談社学術文庫)昨日に続き、中山氏の著作を紹介。 お前は何者だ? 1950年代にハーバード大学で科学史の訓練を受けている間中、自分が生まれ育った東洋と西洋の学問的伝統な差を常に意識されてきた。秦漢の中国では官僚制と文書…

パラダイム論からみたコペルニクス天動説の意味

パラダイムと科学革命の歴史 (講談社学術文庫) クーンの「パラダイム論」を日本に紹介した『歴史としての学問』(1974年、中央公論社刊)を改題し、新たに「学問のデジタル化・グローバル化」を論じた補章を加筆。科学革命で生まれた新たなパラダイムが…

エピクロスの原子論的唯物論と現代の物理学

エピクロス 教説と手紙 (岩波文庫 青 606-1)本書は1959 年!が初版。本書そでに、「 真の幸福は外物にとらわれず、また煩わされず、死の恐怖から免れた無動、平静の精神状態であるとするエピクロスの哲学は、本巻中の各篇から直接に汲みとることができるであ…

17世紀、天文学は計算能力も求めた、

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)吉田洋一氏(1891-1989)は数学の研究者。 本書の第1版は1939年!、私の手元には第84版!がある。本書そでに、「インドにこれるゼロの発見は、人類史上に巨大な一歩をしるしたものといえる。その事実および背景から説き起こし…

世の中はけっこう簡単にできている、知らないだけ~ニュートンと木星から

プリンキピアを読む―ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか? (ブルーバックス) 和田氏は素粒子物理学の研究者。 万有引力の法則の証明 私は本書44ページから以下の様に整理した。 ①木星の衛星は木星の引力を受けており、引力は木星からの距離の…

鉄と帝国、3000年前から今日まで、

鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発掘 (NHKブックス 391) 大村氏はヒッタイト発掘の研究者。「忽然と歴史から消えたヒッタイト帝国が、約3,100年の長い眠りから目覚めたのはわずか75年前のことである。ヒッタイト民族が鉄と軽戦車を駆使し、前17世紀から前12世…

電力消費の57%がモーター、「元素戦略」、より

元素戦略 科学と産業に革命を起こす現代の錬金術 中山氏は独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)フェロー・エキスパート。本書はレアメタルなどに関する「元素戦略プロジェクト」に関してまとめたもの。レアメタルのアプリケーション…

楽しみながら生きる事、そして自分で決める事、エピクロスの思想

僕がいちばん願うこと―エピクロス的生活実践 羽仁進氏はドキュメンタリー映画作家として活躍された人。本書は2007年出版、当時79歳。本書の副題「エピクロス的生活実践」が検索にヒットして手に採る。 和仁氏のエピクロス的生活 ・エピクロスは、一人の人間(…

どうして進化論は激しい意見の対立を巻き起こすのか?

ドーキンス VS グールド (ちくま学芸文庫) 著者はオーストラリアの生物学の哲学(!)の研究家。「自然淘汰と遺伝子の働きを重視し、利己的遺伝子説を唱えたリチャード・ドーキンス博士と、断続平衡説を提唱した古生物学者スティーヴン・ジェイ・グールドが生物…

物理学と東洋の神、そして西洋の神

物理学と神 (集英社新書) 池内氏は天文学の研究家。 神の名による神の追放 著者は16-17世紀の近代自然科学の黎明期は神の名において神が地上から追放された時であり自然科学の追求が可能となった時代であると説明する。その前提条件として無限宇宙と多数世界…

静止衛星打ち上げの軌道

宇宙探査機はるかなる旅路へ: 宇宙ミッションをいかに実現するか (DOJIN選書) 山川氏は宇宙工学および軌道工学の実務者。「人類が有している技術では、ニュートンの重力の法則を無視できるように力強い宇宙機はまだ実現していません」。 静止衛星を打ち上げ…

魚は水に気づかない、同様に人が長年気づかなかった概念とは?

異端の数ゼロ――数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ) 筆者はサイエンスライター。 人間原理に基づく思想体系、もっと言えばキリスト教は無限とゼロを忌避する。これを数学の発達史と実例により説明する。 ギリシャ…

3500年前の甲骨文字が記録した内容は今と一緒

殷BC17C頃 -BC1046年 考古学的に実在が確認されている中国最古の王朝。文献には夏を滅ぼして王朝を立てたとされ、最終的にBC11Cに周に滅ぼされた。(Wiki) 甲骨文字に歴史をよむ (ちくま新書) 落合氏は甲骨文字と殷代史の研究家、「甲骨文字は漢字の一つの書…

非線形科学~同期制に関する蔵本モデル

2つの時計 「17世紀オランダの偉大な科学者」であったホイヘンズは振り子時計の開発も行っていた。 1665年のある日、ホイヘンスが部屋の壁に並べてかけてある自作の二つの時計を眺めているとき、それらが示す奇妙な振る舞いにふと気がついて大いに驚きました…