毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

今更ながら、リフレーション的金融政策の意味とは?~『リフレが日本経済を復活させる 』岩田規久男×浜田宏一×原田泰(2013)

リフレが日本経済を復活させる なぜデフレは貨幣現象なのか、なぜ金融政策によってデフレから脱却できるのか、なぜその過程で生産と雇用が増大するのか?(2013) デフレの本質~浜田宏一氏 長期的に見れば、ミダス王の物語が示すように、黄金ないしお金は私…

そうか、音楽を”真面目に”聴かなくてもいいんだ~『聴衆の誕生 - ポスト・モダン時代の音楽文化』渡辺裕氏(1989)

聴衆の誕生 - ポスト・モダン時代の音楽文化 (中公文庫) 渡辺氏は文化資源学の研究家、クラシック音楽はいつから静かに真面目に聴くものになったのか?(単行は1989、文庫は2012) 18世紀の演奏会 18世紀の演奏会は、基本的に社交の場であった。そこには音楽…

常識という名の拘束を断ち切れ~『空気を読んではいけない 』青木真也氏(2016)

空気を読んではいけない (幻冬舎単行本) 青木氏は現役の格闘家、 中学柔道部では補欠だった青木真也が、日本を代表する格闘家になれたのには理由がある。(2016) 欲望を整理する 僕みたいな才能に恵まれていない人間が一流を目指すのであれば、生活から贅肉…

GDPとは人間の感情の総和である~『人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長』吉川 洋氏(2016)

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書) 吉川氏はマクロ経済学の研究家、人口減少が進み、働き手が減っていく日本。もはや衰退は不可避?そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」を突きつける。(2016) CPIで…

あなたも”世界経営計画”に参加できる!!~『人生の教養が身につく名言集』出口治明氏(2016)

人生の教養が身につく名言集 (単行本) 出口氏は経営者・書評家、ビジネス界随一の読書家が、古今東西の名作、名著の中から「人生の教養が身につく名言」を一挙紹介!(2016) 世界経営計画 この言葉は私の造語ですが、要するに人間は「自分の周囲の世界をより…

人類はいつまで成長できるか?~『3つの循環と文明論の科学』岸田一隆氏(2014)

3つの循環と文明論の科学―人類の未来を大切に思うあなたのためのリベラルアーツ 岸田氏の研究テーマは(古い順に)素粒子物理学・原子核物理学・科学コミュニケーション、人類は成長し続けられるのか? 本書のテーマ 人類は、「物質・エネルギー」「産業」「…

通貨は誰が作るのか?~『通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで 』高木久史氏(2016)

通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書) 高木氏は日本の通貨史の研究家、どうして中世日本は中国の通貨を使ったのか?(2016) 中世日本では中国の銭が使われる 12世紀から16世紀までの中世日本社会は、外国の青銅貨、主に中国産の銭…

弩(いしゆみ)という言葉を知っていますか?~『 戦争の社会学 はじめての軍事・戦争入門』橋爪大三郎氏(2016)

戦争の社会学 はじめての軍事・戦争入門 (光文社新書) 人類はこれまで、戦争とともに歩んできた。戦争を、社会のなかのノーマルな出来事として、みつめよう。(2016) 弩(いしゆみ)とは (弩は)、いたを束ねて合とし、弾力をもたせ弓に整形し、両手で弦を…

情報にとって国境は意味を持たない~『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』玉木俊明氏

〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史 (講談社現代新書) 玉木氏はヨーロッパ近代史の研究家、 17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信、20世紀アメリカの電話――、世界史上のヘゲモニー国家は、情報革命の果実を獲得することで、世界の中核…

情報にとって国境は意味を持たない~『〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史』玉木俊明氏

〈情報〉帝国の興亡 ソフトパワーの五〇〇年史 (講談社現代新書) 玉木氏はヨーロッパ近代史の研究家、 17世紀オランダの活版印刷、19世紀イギリスの電信、20世紀アメリカの電話――、世界史上のヘゲモニー国家は、情報革命の果実を獲得することで、世界の中核…

DNAを編集できるメスが誕生していた!~『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 』小林雅一氏(2016)

ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書) 小林氏はIT・ライフサイエンスのリサーチャー、私たちの顔、身長、体型、性格、知能、運動能力は望み通りに変えられるか?これらを操作する遺伝子工学や生命科学の分野でいま、過去に例…

銀河鉄道999の描く夢とは何か?~『夢見られた近代』佐藤健志氏(2008)

夢見られた近代 佐藤氏は評論家、「欧米の夢に適応するための努力を強いられてきた過程」である「近代」、「物語」を通して問う、空虚なる日本の真因。(2008) 内容(「BOOK」データベースより) 私たちの生きた「近代」は、本当の近代だったのか。いま、日…

もしガンの告知を受けたら、思い出すこと~『実践 行動経済学』R・セイラー+C・サスティ―ン

実践 行動経済学 セイラー氏は行動経済学の研究家、 本書のテーマ「ナッジ」(NUDGE)は、「ヒジで軽く相手をつつくように」、適切な選択を促したり、危険を回避させるしぐさである。 (2009) 我々の限界 限界合理性 物事が複雑になると、(感情で動く我々、…

我々に「なぜ?」は足りているか?~『「なぜ?」から始める現代アート』長谷川祐子氏(2011)

「なぜ?」から始める現代アート (NHK出版新書) 長谷川氏は東京都現代美術館のチーフキュレーター、現代アートが見せる、「なぜ?」とは何か?(2011) 現代という時代 周囲にある多くの視覚体験は、「なぜ?」を生まなくなってしまったのです。マスメデ…

我々は、太陽エネルギーのどの程度消費しているのか?~『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』井上晴夫氏(2016)

夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 世界をリードする日本の科学技術 (ブルーバックス) 太陽光と水だけでエネルギーを創り出し、二酸化炭素を再利用する人工光合成とは?(2016) 人類のエネルギー使用量を1とすると 人類が現在使用しているエネルギー…

日本は特別な国か?~『 世界史としての日本史 (小学館新書)』半藤一利氏×出口治明氏(2016)

世界史としての日本史 (小学館新書) 半藤氏と出口氏の対談、「世界のなかの日本」の地位を正確に知ることが、いまの時代を生き抜く最低限の教養なのだ。(2016) 日本特殊論の拠り所は、天皇制 万世一系の王室が千年以上も続いたというのは、確かに世界的に…

エクスターネット的、という意味~『さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について 』家入一真氏(2016)

さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560) 自由と可能性に満ちた「世界」は、むしろ閉ざされつつあると家入氏は警告する。 パソコン通信からSNSを経由し、サーバー事業やプラットフォーム事業、さらに都知事選まで…

地方公共団体とは何か?~『 君は憲法第8章を読んだか』大前研一氏(2016)

君は憲法第8章を読んだか 第8章は「地方自治」を謳いながら、結局は中央政府がすべての権限を握り、中央の意向に従う者だけに目こぼしする歪な政治の論拠となっている。(2016) 地方公共団体とは? 日本という国をより良くするための憲法改正を目指すなら、…