毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

古典

会社にあって、市場にないものは何か?~『システムの科学』H・A・サイモン(1987)

システムの科学 大組織の経営行動と意思決定に関する生涯にわたる研究で、1978年にノーベル経済学賞を受賞した。(第3版1987年) 人工物とは何か? 人工物を記述するにあたって中心的なことは、内部システムを外部システムに結びつける目標である。内部シス…

人はどんな環境でも、悦びを見出せるもの~『君の歳にあの偉人は何を語ったか 』真山知幸氏(2012)

君の歳にあの偉人は何を語ったか (星海社新書) 真山氏は人物研究家、偉人はどうしてその言葉を言ったのか? 偉人の一人として正岡 子規(1867-1902年)が紹介されている。 正岡子規とホトトギス いよいよこれから自分の人生が動き出す。そんな矢先に、22歳の…

どうして会社が存在するのか ? ノーベル経済学受賞者に学ぶ、会社の、自分の仕事の、存在意義~『企業・市場・法』R・H・コース(1936)

企業・市場・法 企業がなぜ存在するか?当たり前過ぎて答えに苦労する。大きな資本が要るから、ブランドがあるから、技術を持っているから、などなど。コースは「企業は価格メカニズムをより効率的に利用する」故に存在すると言った。1991年ノーベル経済学賞…

「今日は良い天気ですね!」の言語学的意味、気持ちよく活きる為に~『思考と行動における言語』 、今から75年前の古典より

思考と行動における言語 ハヤカワ氏(1906ー1992)は日系米国人の言語学者。一般意味論の最良の入門書として、刊行以来半世紀近く、広く読みつがれてきた古典的名著。翻訳第4版1985年(原著初版は1941年) 一般意味論 言語その他の記号における人間の反応の研究…

「水」は存在しない只の虚構に過ぎない~40年前の名著「ことばと文化」に学ぶネーミングの重要性

ことばと文化 (岩波新書) 鈴木氏は言語社会学が専門、「 文化が違えばことばも異なり、その用法にも微妙な差がある。」本書初版は1973年!、私の手元には2013年第73版がある。間違いなく名著である。 H2Oを示す言葉 化学式ではH2Oで示すことのできる物質は、…

ちょうど100年前、夏目漱石は熱く「クリエーター宣言」を語っていた~「私の個人主義」

漱石文明論集 (岩波文庫) 1914年11月25日、夏目漱石が学習院大学で行った講演「私の個人主義」より。 留学先ロンドンで考えた事 私は下宿の一間の中で考えました。詰まらないと思いました。いくら書物を読んでも腹の足しにはならないのだと諦めました。・・…

我々は無意識の存在を忘れてしまう存在である~お茶を一杯飲んで「これ食うて、茶のめ」と言ってみる

<無意識の構造 (中公新書 (481)) 本書はユング心理学による無意識の解説、1977年初版! ユングの説明~意識と無意識、自我と自己 西洋人の意識を重視する態度に対して、ユングは無意識も大切なものであることを強調し、その両者の相補的なはたらきに注目する…

「世間」はとてつもなく広い、と考える事~習慣的思考から抜け出すために

「世間」とは何か (講談社現代新書) 古来から、日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組。兼好、西鶴、漱石らが描こうとしたその本質とは。西洋の「社会」と「個人」を追究してきた歴史家の視点から問い直す。1995年刊 世間とは 世間とは個人個人を…