毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

日常生活に意識は要らない~『ハーモニー 』伊藤計劃(2010)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) 本書はSFフィクション、21世紀後半、〈大災禍(ザ・メイルストロム)〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、 人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。 医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、 見せかけの優しさや倫理が横溢する“…

牛丼1杯の原価って、いくらか知っていますか?~『吉野家で経済入門』

吉野家で経済入門 「牛丼1杯の原価って、いくら?」企業秘密をそんなに明かして大丈夫ですか!?(2016) 2014年、熟成肉登場 一言で言えば「寝かせる」ということですね。・・・時間をおくことでタンパク質がアミノ酸のようなうまみ成分に変化するからです。 今…

なぜ人は芸術を崇めるのか?~『芸術崇拝の思想―政教分離とヨーロッパの新しい神』松宮秀治氏(2008)

芸術崇拝の思想―政教分離とヨーロッパの新しい神 芸術崇拝がヨーロッパでいかにして生まれ、どのように広まっていったかを、近代国民国家の政治原理である政教分離とからめて論じていく。(2008) 宗教と芸術の交代 政教分離とは18世紀後半から19世紀にかけて…

読書の目的は人生を変えること、である~『探検家の日々本本』角幡 唯介氏(2015)

探検家の日々本本 山の中で死にそうな目に遭うくらいなら、本を読んでたほうがよっぽどマシである。ノンフィクション作家であり探検家による、読書エッセイ。(2015) 読書は人生の予定調和をぶち壊す 人生をつつがなく平凡に暮らしたいのなら、本など読まない…

500年前の宗教改革は宗教の自由競争を生んでいた~『ロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで 』深井智郎氏(2017)

プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書) 1517年に神聖ローマ帝国での修道士マルティン・ルターによる討論の呼びかけは、聖書の解釈を最重要視する思想潮流につながりプロテスタンティズムと呼ばれることになった。(2017) 新プロテスタ…

正解のある"勉強"、正解のない"学び"の違い~『すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論』堀江貴文氏(2017)

すべての教育は「洗脳」である 21世紀の脱・学校論 (光文社新書) 義務教育の「常識」を捨てろ、「好きなこと」にとことんハマれ!(2017) 没頭するとは「学び」のこと 没頭する対象なんて、その気になればいくらでも見つかる。あなただってきっと、すでに出合…

シャープ経営危機の本質~『イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機』山口栄一氏(2016)

イノベーションはなぜ途絶えたか: 科学立国日本の危機 (ちくま新書1222) 山口氏はイノベーション理論・物性物理学の研究者、 かつて「科学立国」として世界を牽引した日本の科学とハイテク産業の凋落が著しい。(2016) イノベーション型企業シャープ 1912年に…

『モナリザ』の背景はなぜ荒涼とした風景なのか?~『ダ・ヴィンチ絵画の謎』斎藤 泰弘氏(2017)

カラー版 - ダ・ヴィンチ絵画の謎 (中公新書) 斎藤氏はイタリア文学、特にダ・ヴィンチの手稿の翻訳・研究で知られる。『モナリザ』の 左右の背景はなぜつながっていないのか、そもそもなぜこんなに荒涼とした風景なのか……。(2017) どう繋がっているか、分か…

1970年大阪万博に学ぶ、”偉くない人”がビッグ・プロジェクトを成功させる方法~『歴史の使い方 』堺屋太一氏(2010)

歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6) 堺屋氏は評論家、よく知られている歴史上の場面を引き合いに出して、歴史の「使い方」を語る。(単行2004、文庫2010) 偉くない人が企てる 日本は、地位が高くもなければ大金持ちでもない人、いわば「偉…

組織に人間は必要か?~『なぜ日本企業は勝てなくなったのか: 個を活かす「分化」の組織論』太田 肇氏(2017)

なぜ日本企業は勝てなくなったのか: 個を活かす「分化」の組織論 (新潮選書) かつて利点だった日本企業の「まとまる力」が、いま社員一人一人の能力を引き出すことの大きな妨げとなり、組織を不活性化させている。必要なのは、まず組織や集団から個人を「引…

私が新入社員に戻れたらここから始めたい~『最強のNo.2 会社と社会で突き抜ける最強のNo.2を極めろ!』

最強のNo.2 会社と社会で突き抜ける最強のNo.2を極めろ! U25 Survival Manual Series 人事の視点から見た、“普通のサラリーマン”が会社の中で成長し続け、社会で突き抜ける“プロフェッショナルな人材”になる方法。(2013) 組織のために、自分がなすべきこ…

写実絵画は科学として始まった~『 一六世紀文化革命』山本義隆氏

一六世紀文化革命 1 山本氏は科学史の研究家、16世紀、活版印刷は教会によるキリスト教の独占を打破した。そしてそれは他の業界にも広がっていった。(2007) 16世紀文化革命 中世における科学と技術の断絶状況を打ち破ったのは、芸術家や職人・技術者そして外…