毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

人間は思考を実現できるようにつくられている~『身ぶりと言葉 』アンドレ・グーラン(原書1964、文庫2012)

身ぶりと言葉 (ちくま学芸文庫) アンドレ・グーラン(1911-1986)は社会文化人類学の研究家、二足歩行によって頭蓋と手足を発達させた人類が、いかにして「知性」を育み、記憶を外部のアーカイブに託していったのか。(原書は1964、文庫は2012) 我々は機能…

「ないものは、10年あれば作れる~『ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸---- メーヴェが飛ぶまでの10年間』八谷和彦氏(2013)

ナウシカの飛行具、作ってみた 発想・制作・離陸---- メーヴェが飛ぶまでの10年間 アーティストは考えた。「ないものは、作ればいい」(2013) 八谷和彦氏 最初に自己紹介しますと、僕はアートの中でも、映像機器やコンピュータ―などの比較的新しいテクノロ…

ピンボールとプレイステイションの関係とは?~『ビックバン・イノベーション』タウンズ氏+ヌーエヌ氏(2016)

ビッグバン・イノベーション――一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ タウンズ氏とヌーエヌ氏は産業・マーケットのコンサルタント、突然たった数日で市場を破滅に追いやる世界。(2016) ピンボール産業は2,500億円だった 1980年…

キリスト教の”無からの創造”とは?~『無の本 ゼロ、真空、宇宙の起源』J・D・バロウ氏

無の本 ゼロ、真空、宇宙の起源 バロウ氏は数理物理学者、哲学者は無を理解しようとし、神秘家は無を思い描こうとし、科学者は無を作り出そうとし、天文学者は無のありかを突き止めようとした。(2013) 無からの創造 キリスト教で言われる無からの宇宙の創造…

お金とは共有する価値を表象するもの、である~『貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで』

貨幣の「新」世界史――ハンムラビ法典からビットコインまで セガール氏は投資銀行の経験を持つ。私たちはなぜこれほど「お金」に翻弄されるのか?(2016) アメリカドルの価値 (ドルは1970年代初めから)金による裏づけはなくなり、いまではソフトマネーにな…

もはやグローバル化は単純な欧米化、ではない~『大収斂 - 膨張する中産階級が世界を変える』K・マブハニ氏(2015)

大収斂 - 膨張する中産階級が世界を変える マブバニ氏はシンガポールのインド系移民として生まれ、長らくシンガポールの外交官として活動。 先進国の経済格差が広がる一方で新興国の中産階級が爆発的に増大する!(原書は2012、2015) 193人の船長のいる地球号…

コンピュータは物理空間にあり、我々は情報空間にいる~『すべてを可能にする数学脳のつくり方』苫米地英人氏(2016)

すべてを可能にする数学脳のつくり方 数学的思考とは、ひらめきを大切する思考法のこと(2016) 数学とは何か? 数学とは「数学の宇宙があることを前提とする学問」だ。・・・数学宇宙とは、物理宇宙以外の数式で表される世界のこととなる。・・・物理空間か…

そうか、日本自体リバース・イノベーションだったのか~『リバース・イノベーション』Vゴビンダラジャン氏×Cトリンブル氏(2012)

リバース・イノベーション リバース・イノベーションとは、新興国市場向けに開発を行った商品を、先進国でも展開し、グローバル市場のシェアを拡大する戦略のことです。(2012) リバース・イノベーション リバース・イノベーションとは、簡単に言うと、途上…

人生の選択において最良の結果を得る方法~『Who Gets What―マッチメイキングとマーケットデザイン』アルビン・ロス氏(2016)

Who Gets What (フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学 アルビン・ロス氏は「マーケットデザイン」の研究で先進的な成果を挙げ、2012年のノーベル経済学賞を受賞した。(2016) マッチメイキング マッチングとは、私…

目的意識は誰にも教えられない~『「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論』酒井嵩男氏(2015)

「タレント」の時代 世界で勝ち続ける企業の人材戦略論 (講談社現代新書) 酒井氏は人材開発のコンサルティング、「タレント」とは、企業の利益を生み出すような新商品を開発できる優れた人材のこと。(2015) 製造業もサービス業も本質は製品開発である 製造…

なぜライト兄弟の飛行機の翼は2枚なのか?~『 不安定からの発想』佐貫 亦男(2010)

不安定からの発想 (講談社学術文庫) 佐貫 亦男は航空宇宙評論家、ライト兄弟はどうして大空を飛べたのか。(単行は1997、文庫は2010) 翼をねじって左右の安定を確保 (ライト兄弟がヒントを得た鳥の)コンドルの安定法は、右羽の端部の前縁を上げて、後縁を…

20世紀とは目的を失い、手段に固執した時代~『20世紀とは何だったのか』佐伯啓思氏(2015)

20世紀とは何だったのか (PHP文庫) 佐伯氏は社会経済学の研究家、西洋近代主義が「ニヒリズム」へと行き着き、それが今や世界を覆いつつある。(2015) ニヒリズム 19世紀ヨーロッパの近代主義が行き着いた(のは)ニヒリズムです。キリスト教の神なり古典的…

売れないモノを作っていないか?~『トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業』酒井嵩男氏(2016)

トヨタの強さの秘密 日本人の知らない日本最大のグローバル企業 (講談社現代新書) 酒井氏は人材・組織開発のコンサルタント、世界中が学ぼうとしているトヨタのの製品開発の仕組みを丹念に解き明かす。(2016) TPD:Toyota Production Development:ト…

人は自分で自分のやりたい事を決めなければならない~『階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現』チャールズ・マーレー氏(2012)

階級「断絶」社会アメリカ: 新上流と新下流の出現 マレー氏は米国のリバタリアンの立場に立つ政治学の研究者。 経済力だけでなく、倫理観、価値観においても圧倒的な「階級格差」が生まれてしまったアメリカの現状を、リバタリアンの論客が詳細に分析した一…

豊かさに必要なもの、それは”素直”~『「豊かさ」の誕生(上) 成長と発展の文明史』W・バーンスタイン氏(2015)

「豊かさ」の誕生(上) 成長と発展の文明史 (日経ビジネス人文庫) バーンスタイン氏は投資理論の研究家、人類に“持続的な富の増大"をもたらした4条件に迫る!(原書は2004、文庫は2015) どうしてオスマン帝国は衰退したのか? 軍事技術と工場生産を別にすれば…

問題は本当に欲しいものは売っていないこと~『経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ』佐伯啓思氏(2012)

経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書) 佐伯氏は経済学、現代思想の研究家、私たちが、誤った「思想」を信じ続ける限り、危機からは脱出できない。(2012) 希少性の経済 「希少性」という概念が登場したのは、先にも述べた19世紀後…

Google,Nグラム・ビューワーを使ってみましたか?~『カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する』Eエイデン氏×Bミシェル氏(2016)

カルチャロミクス;文化をビッグデータで計測する エイデン氏、ミシェル氏はビックサイエンスデータの研究家、 Googleがスキャンした大量の書籍(過去、数世紀ぶん! )から、各年に発行された本に使われている単語・フレーズの使用頻度をグラフに示す「グーグル…

やっぱり記憶は次世代に引き継がれていた、~『変わらないために変わり続ける マンハッタンで見つけた科学と芸術』福岡伸一氏(2015)

変わらないために変わり続ける マンハッタンで見つけた科学と芸術 福岡氏は生物学の研究家、2013年からのアメリカで過ごした2年間の思索と冒険をノスタルジックにつづるエッセイ集。(2015) DNAと遺伝子 DNAを長大な交響曲の楽譜のようなものだとしよ…

「蓼食う虫も好き好き」には医学的根拠があった~『おいしさの人類史:人類初のひと噛みから「うまみ革命」まで』J・マッケイド氏(2016)

おいしさの人類史:人類初のひと噛みから「うまみ革命」まで マッケイド氏はサイエンスライター、“味覚”5億年の壮大な歴史。(2016) 味覚は個人差が著しい 人間の味覚認知に大きな幅があるということは、五感の中で味覚をユニークな存在にしている。視覚、聴…

レコード・CD産業に学ぶ、簡単にコピー可能な時代~『パクリ経済――コピーはイノベーションを刺激する』ラウススティアラ氏&スプリングマン氏(2015)

パクリ経済――コピーはイノベーションを刺激する ラウススティアラ氏とスプリングマン氏は知的財産権の研究家、創造性はコピーと共存できる。(2015) レコードはコピー可能 音楽産業においてライブ・パフォーマンス・ビジネスが活況を見せる一方で、レコード…

行動さえすれば手に入るものは多い~『「おめでたい人」の思考は現実化する 』和田秀樹氏(2016)

「おめでたい人」の思考は現実化する (小学館新書 わ 1-3) 和田氏は精神科医、行動さえすれば手に入るものは多い(2016) 今足りないのは“おめでたさ” 現代は「正解がない時代」である。つまりどんな決断をしても正解になり得る。・・・「おめでたさ」が足り…

ゴミ屑になることを恐れるな!~『美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか』会田誠氏(2015)

美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか (幻冬舎文庫) 会田氏は現代美術の画家、現代日本の社会通念を挑発する会田誠氏の、奇抜な発想の裏にあるアーティストの日常と思考とは? (単行は2012、文庫は2015) 現代美術とはゴミ屑 現代美術はしば…

居心地が良くなったら”引っ越し”する~『変わり続ける―――人生のリポジショニング戦略』出井伸之氏(2015)

変わり続ける―――人生のリポジショニング戦略 井出氏はソニーの元CEO,リポジショニングとは自分の置かれている環境、そして自らの価値観を変えること。 出井氏のリポジション 居心地のよさを感じたら、そこからあえて出ていく意識を持たないといけない。今が…

イノベーション信仰は日本と米国だけではない~『国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由』古市 憲寿氏(2015)

国家がよみがえるとき 持たざる国であるフィンランドが何度も再生できた理由 古市氏は社会学の研究家、フィンランドと日本、社会学者が“折れない国家”フィンランドの秘密を探る社会文化論。(2015) イノベーション信仰~カティア・ヴァラスキビ(フィンラン…

海外パック旅行が始めたのは誰か?~『トーマス・クックの旅―近代ツーリズムの誕生』本城靖久氏(1996)

トーマス・クックの旅―近代ツーリズムの誕生 (講談社現代新書) 本城氏は西洋文化史の研究家、だれでもが、団体割引で、安全・快適な旅をどうぞ! 大英帝国での“レジャーとしての旅行”誕生はどうやって生まれたのか?(1996) トーマス・クック(1808~1892)…