毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

どうして金融業はレバレッジを効かせるのか?~『投資される経営 売買(うりかい)される経営』中神康議氏(2016)

投資される経営 売買(うりかい)される経営 中神氏は投資会社を経営、 長期投資される経営と短期売買される経営の分岐点とはなにか?(2016) 株式投資は付加価値が薄い 上場企業に投資する事業とは、つまるところ誰でもが買える上場株式というものを他の人と…

信長はどうして本能寺に居たのか?~『京都ぎらい 』井上章一氏(2015)

京都ぎらい (朝日新書) 井上氏は文筆業、あなたが旅情を覚える古都のたたずまいに、じっと目を凝らせば…(2015) 京都のお寺はホテルだった 織田信長が、部下の明智光秀に寝込みをおそわれ、うちはてたことはよく知られている。・・・信長は、本能寺を京都で…

単純なバラマキが一番効率的!ということ~『ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか』原田泰氏(2015)

ベーシック・インカム - 国家は貧困問題を解決できるか (中公新書) 原田氏は経済官僚出身、単純に考えてみよう。お金がない人を助けるにはお金を配ればよいのではないか。(2015) ベーシックインカム(BI)とは 貧しいことはお金のないことである。であるな…

本書の帯「カモなれるな!」も感情を使っている~『感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか』堀内進之介氏(2016)

感情で釣られる人々 なぜ理性は負け続けるのか (集英社新書) 堀内氏は政治社会学の研究者、 日常生活の様々な場面において、理性よりも「感情」に訴える主張が注目を集めている。(2016) ナッジ(nudge) 「ヒジで軽く突く」という意味で、行動経済学の分野…

アマゾンの物流戦略を垣間見る~『物流ビジネス最前線 (光文社新書) 』齊藤実氏(2016)

物流ビジネス最前線 (光文社新書) 齊藤氏は物流論・交通論の研究家、ネット通販ビジネスが拡大し、私たちの生活に欠かせないものになった物流が企業の競争力を高める生命線となりつつある(2016) アマゾンの新しいサービス、アマゾンフレッシュ グロッサリ…

結果を出し続けるということ~『あきらめない心: 心臓外科医は命をつなぐ』天野篤氏(2018)

あきらめない心: 心臓外科医は命をつなぐ (新潮文庫) 天野氏は心臓外科医、あきらめは患者の死、だから絶対に負けられない。30年にわたり7200人以上の手術を執刀。(単行2015、文庫2018) 心臓手術とは 心臓の出口の大動脈を鉗子(かんし、はさみのような器…

国際節税スキームと生活保護制度を比較する~『税金を払わない巨大企業』富岡幸雄氏(2014)

税金を払わない巨大企業 (文春新書) 富岡氏は国税勤務を経て、税制の研究者。 日本の法人税は本当に高いのか?ソフトバンク0.006%、ユニクロ6.92%巨大企業の驚くべき税負担の軽さ。(2014) 多国籍企業に対する税制の不備 ・巨額な受取配当収益を、二重課税…

”日本経済衰退論”は”あなたの衰退論”ではありませんか?~『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』井上智洋氏(2016)

人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書) 井上氏はマクロ経済学の研究家、人口知能が経済をどの様に変えるのか?(2016) 日本は衰退する運命にあるのか? 年配の人文系知識人が、己の人生の黄昏に重ね合わせるように、「わが国の零落は避けられな…

石器時代はどうやって終わったのか?~『原油暴落の謎を解く 』岩瀬昇氏(2016)

原油暴落の謎を解く (文春新書) 岩瀬氏はエネルギーアナリスト、2016年年明け早々から下がり始めた原油価格は、20ドル台まで暴落し、世界の金融市場が連鎖反応を起こして、株価ま でもが下落するという大パニックを引き起こした。なぜ原油は暴落したのか?(…

獄中記はどうして興味をそそるのか?~『暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄』 顔伯釣氏×安田峰俊氏(2016)

「暗黒・中国」からの脱出 逃亡・逮捕・拷問・脱獄 (文春新書) 顔伯釣氏は10万人を動かした中国最大の民主化勢力の元幹部、編訳の安田氏はルポライター、 逃亡2万キロの全記録(2016) 現代の中国 現代中国を襲う深刻な社会問題は、中進国のジレンマとい…

”勝ち組”の由来を知っていますか?~『好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則』楠木建氏(2016)

好きなようにしてください―――たった一つの「仕事」の原則 楠木氏は経営戦略論の研究家、「これからもせいぜい好きなようにしていきたいと思います。」(2016) 勝ち組、負け組 僕の大キライな言葉に「勝ち組・負け組」というのがあります。この言葉が戦後 混…

虚実皮膜という言葉を知っていますか?~『いずれ老いていく僕たちを100年活躍させるための先端VRガイド』廣瀬通孝氏(2016)

(星海社新書) 廣瀬氏は機械情報学、VR(バーチャルリアリティ)の研究者、VRでどうやって世界を変えるか?(2016) VRによって何が実現できるか? VRはバーチャルな世界を作る技術です。世界は空間と時間からなります。言い方をかえれば、空間と時間を自由に…

脳と人口知能、どこまで似ていて何が違うのか?~『 脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす』甘利俊一氏(2016)

脳・心・人工知能 数理で脳を解き明かす (ブルーバックス) 甘利氏は神経回路網の数理的な研究者、数学の理論で脳の仕組みを解き明かせれば、ロボットが心を持つことも可能になるのだろうか?(2016) 自己組織化と脳 (誕生して)できたての脳は、外界の情報…

グローバル資本主義は政府と通貨を選択する時代~『 中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来』

中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来 (新潮選書) 岩村氏は日本銀行の出身、1978年ハイエクは「通貨の選択」において国家は特定通貨の使用、通常は中央銀行の発行する通貨の使用、を強制すべきではないと主張した。グローバル資本主義の今日変動相…

芸術とは社会が求めるヴィジョンを可視化したもの~『 洞窟のなかの心』D・R・ウィリアムズ氏(2012原書は2002)

洞窟のなかの心 ウィリアムズ氏は旧石器時代の壁画の研究家、 ラスコーやアルタミラなど、洞窟芸術は、芸術の起源は数万年前に突如誕生した。芸術はなぜ必要だったのか? 心のどのような機能が、表現にいたるのか? なぜ洞窟の中に誕生したのか?(2012原書は20…

Co2を悪者だと刷り込まれていませんか?~『地球はもう温暖化していない: 科学と政治の大転換へ』深井有氏(2015)

地球はもう温暖化していない: 科学と政治の大転換へ (平凡社新書) 深井氏は金属物理学の研究家、いまだ広く信奉されるCO2地球温暖化原因説。だが太陽は寒冷化へのシグナルを発している。(2015) 地球温暖化の従来ストーリー 化石燃料を消費することに伴って…

我々は今”工場から囲い込まれる”時代にいる~『限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭』J・リフキン氏(2015)

限界費用ゼロ社会―<モノのインターネット>と共有型経済の台頭 リフキン氏は文明評論家、資本主義からシェアリング・エコノミーへ デジタル革命の真のインパクトを読み解く。(2015) 限界費用ゼロという意味 財やサービスの生産量を1ユニット増加させるコス…

量子生物学という言葉を知っていますか?~『量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待』Jカリー氏×Jマクファデン氏(2014)

量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待 量子生物学とは、生物の持つ量子力学的な性質を研究し、 量子力学を使って生命現象を解き明かす学問のことである。(2015) シュレーディンガーの「生命とは何か?」(1944) シュレーディンガーは遺伝子は、10…

米軍の変化に注目せよ!そこにビジネスの未来が見えてくる~『教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質』加谷桂一氏(2016)

「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質 加谷氏は著述業、個人投資家、経済と戦争遂行能力は直結しており、強い経済を持つ国は、圧倒的に有利に戦争を遂行できる。(2016) 米軍とは? 世界最大の経済大国である米軍の軍事費は突出しており、年…

どうして西洋絵画には食のモチーフが多いのか?~『食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む』宮下規久郎氏(2007)

食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む (光文社新書) 宮下氏は西洋美術史の研究家、中世にキリスト教によって食事に神聖な意味が与えられると、食事の情景が美術の中心を占めるにいたる。(2007) 最後の晩餐 キリストの伸ばした左手の先には丸いパンが見…

リベラリズムとは正義の味方、スーパーマンの思想、である~『 リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門』井上達夫氏

リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください--井上達夫の法哲学入門 井上氏は法哲学の研究家、真のリベラルは、今いかに考えるべきか。(2015) 橘氏が引用しており、本書を知る。 啓蒙 啓蒙主義というのは、理性の重視ですね。理性…

生命現象とは、思考し続けること~『思考停止という病』苫米地英人氏(2016)

思考停止という病 思考し続けるとはどういうことか?(2016) チャイティンの「ダーウィンを数学で証明する」を引用 DNAとランダム性があれば地球時間で生命進化が可能 DNA発見以前の考え方は、生命現象の進化は完全ランダムな突然変異です。突然変異が起こ…

ユーロの始まりは1989年?~『過剰な資本の末路と、大転換の未来: なぜ歴史は「矛盾」を重ねるのか』水野和夫氏(2016)

過剰な資本の末路と、大転換の未来: なぜ歴史は「矛盾」を重ねるのか 水野氏はマクロ・アナリスト出身、エネルギーや利子率の問題を世界史的視座で語る。(2016) プラザ合意 1981年にレーガンが大統領に就任したわけですが、ここままではドルが急落するので…

重要なこと、「相手の身になって考えてみよう」~『「リベラル」がうさんくさいのには理由がある』橘玲氏(2016)

「リベラル」がうさんくさいのには理由がある 誤解と差別とダブルスタンダード!世界標準からかけ離れたニッポンの「リベラル」(2016) 「民主主義」をやめることから始めよう デモクラシー(democracy)は神政(テオクラシーtheocacy)や貴族政(アリストク…

納豆とは辺境食である!~『謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉』高野秀行氏(2016)

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉 高野氏はノンフィクション作家、誰もが「日本独自の伝統食品」と信じて疑わない納豆。だが、アジア大陸には日本人以上に納豆を食べている民族がいくつも存在した。(2016) 納豆は辺境食 東は中国湖南省から西…

世界を、自分の基準でしか見ていないのではないか?~『 ポスト西洋世界はどこに向かうのか: 「多様な近代」への大転換』Cカプチャン氏(2016)

ポスト西洋世界はどこに向かうのか: 「多様な近代」への大転換 カプチャン氏は米国民主党に影響力を持つ国際政治学の研究家、はじめて、「誰のものでもない世界」が到来している。(2016) ポスト西洋社会 こんにち、われわれが目撃しているのは、世界が西洋…