毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

会社にあって、市場にないものは何か?~『システムの科学』H・A・サイモン(1987)

システムの科学 大組織の経営行動と意思決定に関する生涯にわたる研究で、1978年にノーベル経済学賞を受賞した。(第3版1987年) 人工物とは何か? 人工物を記述するにあたって中心的なことは、内部システムを外部システムに結びつける目標である。内部シス…

宗教改革後、どうしてキリスト教は影響力を拡大したのか?~『日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか』小室 直樹(2000)

日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか 宗教改革以降、キリスト教が影響力を拡大していた?(2000) 中世カトリック社会 キリスト教は、伝播してからずっと、都市のインテリには信奉されたものの、大衆や田舎の農民は別の宗教、すなわ…

50年前に予測されていた、モノづくり信仰の危険性~『 情報の文明学 』梅禎 忠夫氏(1966)

情報の文明学 (中公文庫) 物質とエネルギーの産業化から、精神の産業化へ―。情報産業社会の到来をいち早く予告し、その無限の可能性を人類文明の巨大な視野のもとに考察した、先見性と独創性に富む名著。(初掲載は1963年) モノづくり信仰の危険 農業こそは…

フォードの次にトヨタ、21世紀では”リーン”と呼ぶ『 大野耐一さん「トヨタ生産方式」は21世紀も元気ですよ』三戸 節雄氏(2007)

大野耐一さん「トヨタ生産方式」は21世紀も元気ですよ―写真で見る「ジャスト・イン・タイム」 大野耐一(1912~1990)はトヨタの元副社長、ジャスト・イン・タイム導入を遂行。ジャスト・イン・タイムはどうやって始まったのか?(2007) フォード・システム…

”エデンの園”はどこにあったのか?~『ものがたり宗教史』浅野 典夫氏(2009)

ものがたり宗教史 (ちくまプリマー新書) 浅野氏は高校で教鞭をとる、宗教は世界の歴史や文化を彩る重要な要素のひとつ。(2009) エデンの園 メソポタミア文明は、紀元前3000年くらいに、ティグリス川・ユーフラテス川の下流地域にシュメール人が建設した多…

日本に本当の半導体メーカーは存在したか?~『電子立国は、なぜ凋落したか』西村 吉雄氏(2014)

電子立国は、なぜ凋落したか 西村氏は長年に渡り電子産業の記者・アナリストとして活動、かつて世界を席巻し、自動車と並ぶ外貨の稼ぎ頭だった日本の電子産業。 今や、それは夢まぼろしである。そうなってしまった本当の原因は何か。(2014) 携帯電話の場合…

ロボットは死を恐れるか?~『アイの物語』山本 弘氏(2009)

アイの物語 (角川文庫) AIあるいはロボットと人間の交流を描くSF短編集。詩音という名前の介護用ロボットが老人用リハビリ施設にやって来る“詩音が来た日”の中で、人間にとって死とは何か?ロボットにとって死という概念は存在するのか?ということをモチー…

薬は体の何に働くのか?~『 分子レベルで見た薬の働き』平山 令明氏(2009)

分子レベルで見た薬の働き 第2版―生命科学が解き明かす薬のメカニズム (ブルーバックス) 薬がなぜ効くかを、分子レベルで理解する。(2009) 医薬品のターゲットは細胞内のタンパク質 たいていのタンパク質の分子表面にはくぼんだ場所があり、この場所はその…

世界最大のバイオ企業成功の秘訣、それは科学~『世界最高のバイオテク企業』G・バインダー氏

世界最高のバイオテク企業 アムジェンは、今でもユニークな企業だ。研究開発に会社の将来を先導させる意思決定をはじめ、多くの企業とは異なるスタイルをもつ。製品開発の方向性を決める「科学」に根ざしたアムジェン流イノベーション経営の要を、元CEOのゴ…

産業のモジュールはいつ始まったのか?~『 モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質』青木昌彦氏×安藤晴彦氏(2002)

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー) モジュール化とは、単なる分業ではない。全体として統一的に機能する包括的デザイン・ルールのもとで、より小さなサブシステムに作業を分業化・カプセル化・専門化すること…

これからやろうとしていることに本当に意味があるか?~『トヨタが実践する価値創造の確かな進め方 リーン製品開発方式』A・ウォード氏(2014)

トヨタが実践する価値創造の確かな進め方 リーン製品開発方式 A・ウォード氏は米軍勤務を経て開発プロジェクトの管理手法の研究を行った人物。自動車において短期間、低コストと高い競争力を持つ製品開発をどうやって行うか、についての専門書。(2014) 無…

飢餓状態は細胞の長寿命に貢献している!?~『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』水島 昇氏(2011)

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書) 2016年大隈氏が酵母のオートファジーの研究でノーベル賞を授賞した。著者の水島氏は大隈氏の研究室でオートファジーの研究を開始した経歴を持つ。(2011) オートファジーとは 細胞が…

思考停止に気付く、このセリフ~『 叡智の断片』池澤夏樹氏(2011)

叡智の断片 (集英社文庫) 池澤氏は小説家、独自の視点で選んだユーモラスで味わい深い言葉の数々は、今を生きる私たちの心にじわりと効く妙薬。(2011) 中絶と死刑 ブッシュ大統領は中絶には反対で死刑には賛成なの。釣りでいうキャッチ・アンド・リリース…

お金だけでは未来は作れない~『 ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる』M・ルイス氏(2012)

ブーメラン 欧州から恐慌が返ってくる (文春文庫) サブプライム危機で大儲けした男たちが次に狙うのは「国家の破綻」。アイスランド、アイルランド、ギリシャ、ドイツ、そして日本。(単行は2012、文庫は2014) 元々アイスランドは豊かだった (漁業によって経…

我々の社会は未だ直系家族的であった~『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 』鹿島茂氏(2017)

エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層 (ベスト新書) 鹿島氏はフランス文学者、あらゆる問題は、トッドの家族システムという概念で説明ができる!(2017) トッドの家族人類学理論 ・・・結論から先にいうと、トッドの家族人類学理論の勘どころは、従来、…

全知全能の神は人間を理解できるか?~『神は沈黙せず』山本弘氏(2003)

神は沈黙せず この世界は、人類は「神」と呼ばれる知性体のシミュレーションなのではないか?(単行は2003、文庫は2004) 本書はSF、ネタバレになるのでストーリー等は割愛します。本書では全知全能としての神と人間の関係、AIを作った人間とコンピュータ、…

太陽がある限り進化は終わらない~『情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて』C・ヒダルゴ氏(2017)

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて セダルゴ氏は複雑系経済学の研究者、経済成長とはそもそも情報成長のひとつの表われにほかならない(2017) 情報とは ・・・本来情報は物理的なものだ。・・・確かに、情報は触れない。固体でも液体でも…

そもそもビジネスとは冒険の旅、である~『 ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ』三枝 匡氏(2016)

ザ・会社改造 340人からグローバル1万人企業へ 上場企業のCEOに就いてから12年間もの長期にわたり実行した「会社改造」すなわち「改革の連鎖」を追っている。社員わずか340人の超ドメスティックな商社が、いまやグローバル1万人に迫る、世界で戦う企業に転換…