毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

薬は体の何に働くのか?~『 分子レベルで見た薬の働き』平山 令明氏(2009)

 分子レベルで見た薬の働き 第2版―生命科学が解き明かす薬のメカニズム (ブルーバックス)

 薬がなぜ効くかを、分子レベルで理解する。(2009)

医薬品のターゲットは細胞内のタンパク質

たいていのタンパク質の分子表面にはくぼんだ場所があり、この場所はそのタンパク質の働きに重要な役割を果たしていることが多い。・・・現在、日本で使われている医薬分子は1000種類程度である。そのほとんどの直接働きかける相手はタンパク質である。疾病に直接つながる生体高分子で医薬分子が作用する相手になる分子のことを標的分子という。つまり、いま日本で使われている大半の医薬分子の標的分子が、タンパク質であるということである。(19ページ)

タンパク質とは

タンパク質は生物に固有の物質であり、その合成は生きた細胞の中で行われ、合成されたものは生物の構造そのものとなり、あるいは酵素などとして生命現象の発現に利用される。(Wiki

薬はタンパク質に働きかける

健康な状態では、タンパク質は正常に活動している。病気と言われる現象の大半は、これらのタンパク質、すなわち標的分子の働きが異常になったものである。・・・第一のタイプは、標的分子の働きが活発すぎる場合である。・・・この場合には、そのタンパク質が働いて欲しくない時に望まれていない働きをしてしまう場合や、遺伝的に異常なたんぱく質が働いてしまう場合も含まれる。そのような場合には、その標的分子の働きを抑えればよい。(21ページ)

 

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分子レベルで見た薬の働き

薬はタンパク質の溝にぴったりと収まる必要がある。それは鍵穴と鍵の関係に例えられる。薬は一般的には化学合成された低分子だが、これがタンパク質の鍵穴をふさぐことになる。薬は古くからあるものだが薬がどうやって体内で作用するか、分子レベルでの解析が行われている。どうして薬が効くのか?素朴な質問の答は深い。

蛇足

薬が標的以外のタンパク質にはまることを副作用、という。

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