宇宙と生命誕生の謎に同時に迫る!~『 地球外生命は存在する! 宇宙と生命誕生の謎 』縣 秀彦氏(2017)
「人類が21世紀中に、地球以外の星で生命を見つける可能性は50%以上」(2017)
今実際に解っていること
2014年、国立天文台の大石雅寿博士らの研究チームが、アミノ酸の一歩手前の化合物メチルアミン(CH3NH2)を複数の星間分子雲で発見しました。大石博士らは国立天文台野辺山宇宙電波観測所にある45メートル電波望遠鏡を用いて、星がまさに形成されている領域の分子雲を詳しく調べたところ、アミノ酸のひとつ、グリシンの前段階であるメチルアミンを検出することに世界で初めて成功したのです。(97ページ)
星間分子雲のグリシン生成仮設
生命誕生に関する仮設として、分子雲の中に含まれていた生命材料物質の一部が彗星や隕石によって運搬され、惑星に降り積もり、さらに複雑な進化を経て最初の生命に至ったという考えも唱えられています。つまり、分子雲の中でグリシンがつくられていれば、彗星によって地球にもたらされた可能性もあるのです。それだけではありません。もし、複数の分子雲でアミノ酸が検出されたならば、地球にしか生命は存在しないはずだという古くからの生物学者たちの主張は、見事にその根拠を失うことになるでしょう。(99ページ)
我々はどこからやってきたのか
・・・ある研究グループは、地球上の生命誕生のシナリオを次のように描いています。まずは、ある星雲の中の大質量星形成の現場でつくられた左手型のアミノ酸が、46年前の太陽系形成の際に、原子太陽を取り巻く原子太陽系円盤のガスと塵の中に含まれていた。そして、その塵の集積した微惑星が、ある時期に地球に降り注いだことから地球上には左手型のアミノ酸がもたらされ、何かのきっかけでタンパク質が合成されたというものです。(110ページ)
・・・生命に必須なアミノ酸であるグリシンの前段階物質と考えられるメチルアミンを、・・・複数の星形成領域において検出することに成功しました。・・・宇宙に豊富に存在する青酸を出発物質とし、段階的に複雑化することを通じてグリシンが作られている可能性が高いことを世界で初めて観測的に示しました。宇宙由来の生命素材物質は、・・・他の惑星系にも生命が存在する期待を高める結果と考えられます。
地球外生命は存在する!~宇宙と生命誕生の謎
生命科学の最大のテーマはDNAとRNAがなければタンパク質は合成されず、逆にタンパク質がなければDNAもRNAも合成できないというパラドックスの解消にある。タンパク質合成が最初に起こったのは高温の条件下であったと考えられ、①深海底の熱水領域、②大陸の火山地帯で熱水の存在する所、③生命は宇宙に由来する、が考えられている。生命素材が宇宙から到来するとすれば地球誕生から生命誕生までがわずか6億年程度という短期間で行われたことが上手に説明できると考えられている。
縣氏は「人類が21世紀中に、地球以外の星で生命を見つける可能性は50%以上」と考えている。我々は地球外生命を発見すると同時に、地球の生命誕生の秘密に一気に到達する時代に生きているのかもしれない。SFが現実になる日も近い。
蛇足
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