毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

生命とは宇宙の”ムラ”である~『0と1から意識は生まれるか――意識・時間・実在をめぐるハッシー式思考実験』橋元 淳一郎氏(2000)

 

0と1から意識は生まれるか――意識・時間・実在をめぐるハッシー式思考実験(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (ハヤカワ文庫NF)

 

 

橋元氏はSF作家、古今の科学者・哲学者を翻弄し続ける難問の数々に挑戦する。人はなにゆえ科学を学び、また難解な哲学書に挑戦するのか?(2000)

 

 

 シリンダーの思考実験モデル

 

断熱膨張の場合、気体は必ずしも大気に対して仕事をしなくてもよい。何かほかのものに仕事をすればよいのだ。…シリンダーの倍部にバネがあったらどうか?このとき、気体はバネを伸ばすのにエネルギーを必要とし、温度が下がる。そして、そのエネルギーがバネに蓄えられる。(230ページ)

宇宙の内側にはバネがある

宇宙が誇張しながら、どんどん冷えていっている、その失われた熱エネルギーは、離れていく物質観の万有引力のポテンシャルエネルギーへんと転化している。まさに、この宇宙の基本構造こそが、生命を生み出す秘密である。(231ページ)

生命誕生の根本原因は宇宙の急激な膨張

宇宙が膨張すればその中にある物質や光子が取りうる配置の数は、当然増える。つまり、とりうるエントロピーの値は、増える。・・・(膨張スピードの遅い)宇宙では、ビッグバンの直後にどんどん核融合反応が進み、物質はすべて(核エネルギーの井戸がもっと深い)鉄原始になって、宇通にまんべくなく拡がった状態になる、。むろんそんな宇宙では星は誕生しないし(万有引力で星ができても、核エネエルギーはすでに使い切っているので、星は輝かない)、生命の誕生もありえない。しかし、実際の宇宙では、膨張が極めて速かったので、核融合反応がせいぜいリチウムのところで止まってしまった。…そして、その非平衡と平衡の差額の負のエントロピーを利用して、生命が誕生した。(235ページ)

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宇宙の膨張、万有引力、そして生命

 

宇宙は膨張している。したがってエントロピーが増大し続けるが、増大スピードが速いと宇宙に疎な部分と密な部分が発生し構造と同時に万有引力が生まれる。この構造こそ宇宙の実際のエントロピーと宇宙の最大エントロピーの差である。

グラフではそれを生命エンビロープと呼ぶ。生命は構造を持ち、秩序という-のエントロピーを持つ。生命は宇宙の最大エントロピーと実際のエントロピーの格差を解消するために存在している。

生命とはその存在自体がエントロピー増大の法則に逆らう存在である。

蛇足

 

生命とはエントロピーを下げる“ムラ“である

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