毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

宇宙の視点から見ると、水は非常識な物質~『生命の星の条件を探る』阿部豊氏×阿部彩子氏(2015)

生命の星の条件を探る

阿部氏は地球物理学の研究家、宇宙の視点でみると水は常識を裏切る物質である。(2015)

宇宙に水はたくさんある

H20という通り、水は水素=Hと酸素=Oからできています。太陽系で二番目に量が多いヘリウム=Hは化学反応しない物質です。水は化学反応する物質の中で一番多いもの(H)と二番目に多いもの(O)でできているのです。すなわち宇宙的な規模で言っても、水は「たくさんあってしかるべきもの」だと推測できます。(24ページ)

水は“へんな”物質

水は液体の代名詞のように思われています。・・・本当は、水程度の分子量の物質は常温常圧では気体のはずなのに、液体のままでいるというのは、水という物質の「変さ」の一つなのです。(26ページ)

水は(電荷の偏りを持った)極性分子であるために、水どうしの間には強い力が働いているのです。(28ページ)

生命と地球の特徴

「地球の特徴は、①海、②プレートテクニクス、③大陸、④生命の4つが存在することに集約される」と考えています。・・・そして、①~③はそれぞれ、①液体の水という媒体(による物質の移動が可能なこと)、②二酸化炭素循環による適温の維持、③(生命)材料の供給、という形で④生命に関わり、生命は酸素の発生によって環境を変え、結果として知的生命が存在できる環境を作った、といえるかもしれません。

プレートテクニクスも、大陸も、生命も、その発生には水が関わっています。海ができる条件が満たされれば、おそらくそれ以外の条件も自動的にそろうのではないか、と私は思っているのですが、今のところは当て推量です。(105ページ)

常識を裏切る水

水が常温で液体でいるのを見慣れている。温度ゼロから通常であれば常温であれば気体になってしまう様な100度までずっと液体を保持している。他の物質と比較するとかなり変わった性質を持っていた。

太陽系の組成のうち、構成比1位と3位によってできたものが水、である。宇宙で水は極めてありふれた物質なのである。我々が宇宙という時、月、火星をまずは思い浮かべる。それらは水の存在しない荒涼とした世界である。ここから宇宙には水が乏しい、地球にあるのは途轍もない奇跡であると思ってきた。

太陽系において水は“稀少で一般的な性質をもった”常識的な物質なのではなく、“ありふれていて変わった性質を持つ”、非常識な物質なのである。地球の水は質量比0.23%。

蛇足

 

水は非常識

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