毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

生命は海ではなく、陸地で誕生していた?~『できたての地球――生命誕生の条件』廣瀬 敬氏(2015)

できたての地球――生命誕生の条件 (岩波科学ライブラリー)

廣瀬氏は地球起源・初期宇宙の進化の研究家、 「できたての地球」になぜ生命は生まれたのか。(2015)

生命の誕生時期

太陽系に始まりは46億年前、そして地球表面を覆っていた、ドロドロに融けたマグマの海が冷え固まったのが45億年前とされています。一方、38億年前の生命の痕跡と思われる元素の同位体比率の異常がグリーンランドで見つかっています。だとすれば、この45億年前と38億年前の間に、生命が誕生する何かが起きたはずです。

45億年前-38億年前の初期地球にあったこと

地球という惑星ができ始めた頃は、水はまったくなかったはずです。その後に、スノーラインより遠くから飛んできた水を含んだ小惑星が衝突して、冷え固まり始めた初期宇宙に取り組まれていった・・・。(63ページ)

マグマの海(マグマ・オーシャン)の表面が数百万年くらいで固まり、そうなると大気の温度がマグマに温められなくなって急速に下がり、大気中の水蒸気が冷えて海になった。(18ページ)

地球のマグマ・オーシャンが固まってできた高地が地球の原始大陸となり、生命を生んだという考えです。そこには、生命に必須のミネラル成分に富む地球型クリープ岩がありました。(89ページ)

生命は原始大陸で誕生した

海よりも陸が有利な点はたくさんあります。生命の誕生前の化学進化の段階で、つねに問題となるのが、素材の濃度の問題です。ある程度の濃度がなければ次の化学反応は起きません。その意味では、海の中での反応を考えると、せっかくの素材があってもすぐに拡散してしまいます。一方、陸であれば干上がって濃縮することにより、濃度を高めることができます。陸上に、何らかのきっかけで池のようなもの、あるいは干潟のようなものができて、そこで濃縮されると考えるのです。(82ページ)

生命誕生は初期地球でのみ誕生した

生命誕生のチャンスは、マグマ・オーシャン由来の高地や地球型クリープ岩がまだ残されていた時代に限られるのかもしれません。(89ページ)

できたての地球~生命誕生の条件

 

著者は、生命は原始大陸で誕生したと考える。原始大陸はマグマ・オーシャンが方かって誕生した。マグマ・オーシャンは多くのミネラル成分を含むことでこれが水に融けだして生命のスープの元になった。

今まで、生命は海で生まれたと説明されてきた。具体的には海の熱水噴出孔などの場所が指摘されてきた。本書では逆にミネラルを含んだ陸が必要であると説く。

確かに生命のスープが干上がって濃縮されるには陸上の方が好都合の様に見える。つまりは45億年前-38億年前の“できたて”の初期地球だからこそ生命は誕生し得たのだと推測する。地球が誕生して直ぐの原始大陸でしか生命が誕生しなかったのである。

蛇足

 

生命は海ではなく、大陸で生まれていた。

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