毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今まで存在した人類の総数は何人か?~『宇宙からみた生命史』小林憲正氏(2016)

宇宙からみた生命史 (ちくま新書)

小林氏はアストロバイオロジー(宇宙の視点から生命を研究)の研究家、生命の様々な可能性を考えるのには、もはや地球中心の思考を捨てなければならない。(2016)

 

 

ヒトは地球を代表する生物か

宇宙から見た場合、地球を代表する生物は何だろうか。・・・惑星Xの住民が電波を使って彼らにとっての惑星外生命体を探索した場合にひっかかるのは人類のみであろう。(210ページ)

重量で

ヒトは平均50キログラムの個体が70億もいるので、計3.5億トンで、単一種としてはナンバーワンになる。これに匹敵するのが家畜として飼われている動物だちで、特にウシは、総数が増減するものの数億トンレベルでヒトを上回る。さらに大穴がいる。それは南極海に棲息するナンキョクオキアミで、1匹はせいぜい6センチメートルくらいの小型のエビであるが、・・・バイオマスとして5億トン程度と見積もられ、ウシに匹敵する。(212ページ)

時間軸で

46億年の地球の歴史の中で、地球外からみて人類が他と明らかに異なる生物と認識されるのは、1万年ほど前の農業の始まり、もしくは数千年前の文明の始まり以降であろう。それは地球の歴史の数十万分の1にすぎない。つまりそれ以前に地球を訪れたETIがいたとしても、人類を地球の盟主とは考えなかっただろう。(213ページ)

1億年後の盟主はヒトか?

1億年後の地球はどうなっているだろうか。ただし、その歴史の中で何回かスーパーフレアを起こしているかもしれない。・・・人類が生き延びる可能性、人類を含む地表生物の全ての生物が絶滅した場合も想定される。(214ページ)

現在全人類の何パーセントが生きているか?

2011年に国際機関(人口参照局)が推定したこれまでに生を受けた現生人類の総数は1200億人である。つまり(現在生きている人類は全人類の)約6%ということになる。(209ページ)

宇宙から見た生命史

宇宙から見てヒトは盟主であろうか?現在全人類の6%がこの地球に住んでいる。地球という視点から見れば生態系のトップにヒトが君臨することは間違いない。本書によれば恐竜と同様、生態系のトップの寿命はせいぜい2億年程度に過ぎない。全地球的な環境変化が到来し生態系が一変してしまう。宇宙の視点から見ればヒトはある時間軸において生態系のトップを占める生物に過ぎないことになる。

本書のテーマは「宇宙から地球生命をみるということは生物学の地動説をめざすものである」(220ページ)地球上の生命としてヒトを捉えると、ヒトもまた儚いのでしかないことを実感させられる。

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60億キロ離れた所から撮影した地球「ペール・ブルー・ドット」はこんなに小さい。

蛇足

地表のバイオマス(生物量)に比べ地中のバイオマスは200倍の大きさを持つ

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