毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

2008年「パラダイス鎖国」から「ゆるやかな開国」はどうなったか?

パラダイス鎖国 パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54) 。海部氏は米国在住の経営コンサルタント。10月15日のブログで最新の「ビックデータの覇者たち」を紹介させて頂いた。本書は日本でiPhone発売以前の2008年3月に出版、その後リーマン…

死んでからが勝負!200年間の座標軸~村上隆氏

創造力なき日本 アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」 (角川oneテーマ21) 村上隆氏は現代美術のアーティスト。本書で村上氏は自分の目標を定義している。 これまでに日本で描かれた絵の中では、本当の意味で世界によく知られている名画は、葛飾北斎の「富嶽…

人生の大局観 その意味を皮膚感覚にする為に

将棋とは 将棋(しょうぎ)は、チェスなどと同じく、インド古代のチャトランガが起源と考えられ、日本の記録は11世紀までさかのぼる事が可能。16世紀頃、持ち駒(相手側から取った駒を自分側の駒として盤上に打って再利用できるルール)がルール化され現在…

ニッポン金融力会議を機会に考えるべき事

日本経済新聞でニッポン金融力会議について報道されていた。 不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書) 孫崎氏は元外務官僚であり本書は2012年3月発行。はじめにで「本書においては将来必ず起こる『中国が超大国として米国を抜く』事態を…

日本語で読める幸せ

日本語が亡びるとき 水村氏は小説家、思春期を米国で生活をした経験を持つ。日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で において以下の論を展開している。 ①日本は日本語を国語として成立させ得た。これには江戸から明治にかけて、ⅰ書き言葉を通じ成熟、ⅱ印刷資本…

佐藤勝彦氏の宇宙論を今読める幸せ

インフレーション理論 宇宙はビックバンによって始まったと思っていた。ビッグバンが発生したメカニズムを理論化しようとしたのが佐藤勝彦氏のインフレーション理論。(1981年) 素粒子物理学者で後にノーベル賞を受賞した益川敏英氏の助言からワインバーグ…

宇宙の扉をノックする byリサ・ランドール博士

リサ・ランドール博士 米国の理論物理学者、1999年にサンドラム博士とともに発表した「warped extra dimensions(ワープした余剰次元)」注目を集め、2005年に一般向けにワープする宇宙―5次元時空の謎を解くを出版しベストセラーになった。博士は我々の住む3次…

16世紀のジパング、知っておく必要のあること。

安土桃山時代1573–1603 安土桃山時代は、織田信長と豊臣秀吉が中央政権を握っていた時代である。安土桃山時代には、新興商人が成長し、その富を背景にした豪華で大掛かりな文化傾向が見られる。1,549年ザビエルの来日以来の南蛮貿易による南蛮文化の影響が挙…

アストロバイオロジ-  ウィルスの視点から

生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門 (文春新書 930) 松井氏は長く地球物理学を研究してきた。本書はアストロバイオロジ-についてまとめ ているが,その中でウィルスについてに絞る。 ウィルスの位置づけ 宇宙において生命の存在が確認されて…

まいにち富士山  ここに成功の断面がある

まいにち富士山 (新潮新書) 佐々木茂良氏は長年にわたり教師を務めた後定年後の2004年から富士山に800回(2011年時点)以上登っている。私も今年(2013年)富士山に登った時今も登っていらっしゃるとお聞きしました。 富士山を目指すのにと遅すぎることはな…

今後の人口変動でしっておくべき事

2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書) 鬼頭氏は日本経済史、歴史人口学の専門。統計的にみて日本の人口の減少は免れない。 知っておくべきデータ 日本の人口 1.28億人、合計特殊出生率1.41 外国人の比率1.67% 2055年の想定人口 高位(楽観シ…

思考は空間を生み出す、 思考による都市レイヤー

独立国家のつくりかた (講談社現代新書) 坂口氏は建築探検家(!)本書のタイトルは坂口氏の思考の大きさとは別に、読み手に矮小したイメージを連想させてしまうと思う。坂口氏は大学で建築を選考、モバイルハウスを探検してきた。「都市のホームレスがどう…

日本にバブルと呼ばれる時代があった。

バブル景気 バブルと呼ばれる時代があった。バブル景気(バブルけいき)は、1986年(昭和61年)12月から1991年(平成3年)2月までの51か月間に起こった資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象である。(Wiki)バブル景気が生じたメカ…

専門家はウソをつく ~勝間氏の新刊

専門家はウソをつく (小学館新書)勝間和代氏の新刊である。 「統計学」は専門家に対し脅威である。 統計学というのは、いわば、クラウドであり、衆人の知恵です。そのため、医師の診断も、会計士の監査も、アナリストの株価予測も、おそらく、統計データでコ…

人間原理 宇宙論において

人間原理 「強い人間原理」とは知的生命体が存在し得ないような宇宙は観測され得ない。よって、宇宙は知的生命体が存在するような構造をしていなければならない。「弱い人間原理」とは宇宙の構造を考える時、人間の存在という偏った条件を考慮しなければなら…

生命にとってのウィルスの意味

フレッド・ホイル氏 (Sir Fred Hoyle,1915-2001)は英国出身の天文学者、SF小説作家。元素合成の理論の発展に大きな貢献をした。現在の天文学の主流に反する数々の理論を提唱したことで知られる。(Wiki) ホイル氏のアカデミックな分野での業績 ①定…

時間はどこで生まれるか?

一秒 初期の「秒」は、太陽が見かけ地球を廻る運動を基に定義され、太陽が1周する時間を24分割した太陽時を60分割して「分」、さらにこれを60で割り「秒」が決められ、結果として1日の86 400分の1が「秒」となった。その後地球の周期性の揺らぎから「秒とは…

アルマ望遠鏡 次は生命の素を発見する!

10月13日の報道によればわし座の方向にある誕生直後の恒星を取り巻くガス雲を、日米欧が南米チリに建設した電波望遠鏡群「アルマ」で観測したところ、太陽ぐらいの恒星が生まれる場合に比べ、ガス雲が巨大で、短期間に温かくなり始めていることが分かった。…

「少なくとも最後まで歩かなかった。」村上春樹氏

ランナー 村上氏はランナーである。私は村上氏の最近の小説は読んでいない、そういう意味では熱心な読者とは言えない。村上氏はプライベートな事をあまり文章にしていないと思っていた。 村上氏は小説と同じように走ることについて語るときに僕の語ること で…

ヒッグス粒子の次は暗黒物質?

ヒッグス粒子の発見に貢献したのがCERN。 スイスのジュネーヴ西方にある、スイスとフランスの国境をまたぐ地域に、2つの研究地区といくつかの実験施設がある。 地下には 全周 27km の円形加速器・大型ハドロン衝突型加速器 (LHC) が、国境を横断して設置され…

小3の子供がエントロピーの意味を説明してくれた。

エントロピー 何気なく話をしていたら小学3年生の子供がエントロピーという言葉を使った。思わずどういう意味?と聞いたら私に「エントロピーとは乱雑さの事、私の部屋が本で散らかっている事、どんどん本が増えてエントロピーが拡大している事」と説明して…

今日を生き延びる為に  

合気道の修行を通じて開発されるべき能力とは、「生き延びるための力」である。それは「あらゆる敵と戦って、これをたおす」ことを目的とするのではなく、「自分自身の弱さのもたらす災い」を最小化し、他者と共生・同化する技術をみがく訓練の体系である。…

ヒッグス粒子 子供に説明できる!

ヒッグス粒子は素粒子のうち唯一、未発見だった最後の粒子。1964年(!)、ヒッグス氏はこの粒子の存在を予言し、アングレール氏は物質に質量が生じる仕組みを説明する理論を発表。 理論を支持するデータをどうやって見つけたか? どうして未発見だった…

自動走行車 ベイズ理論 Udacity

自動走行車がニュースになっていた自動走行車のロジックについて小林雅一氏がwebで解説している。 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32566?page=3 (2013年10月3日現代ビジネス) ベイズ理論 小林氏の書籍「クラウドからAIへ」は既に9月26日にフラッシュ…

地雷をふんじゃった

神田氏は経営コンサルタント。本書は2004年新刊で発行、1964年生まれ、神田氏は40歳だった。本書で主人公が起業してからの5年間が影の部分「地雷」を中心に転回する。 会社の成長を桃太郎の例え話が出てくる。 「桃太郎は、鬼が島に鬼退治にでかけようという…

ビックデータで街づくり  情報エントロピーは日々減少する。

本日の日経新聞のトップはビックデータで街づくり、 情報エントロピーとは 情報エントロピーとは、あるできごと(事象)が起きた際、それがどれほど起こりにくいかを表す尺度である。ありふれたできごと(たとえば「風の音」)が起こったことを知ってもそれ…

Siriの声は誰か?

Siriの声が誰か、米国のCNNでニュースになっている。 http://www.cnn.co.jp/video/11716.html?ref=yj どうしてこのニュースが米国で報道され、日本でも紹介されるのか?常にノートPCを使う私にとってスマートフォンの利点で起動時間の短さぐらいだと思ってい…

10月4日  698年薬師寺完成

旧暦の10月4日、文武天皇2年(ユリウス暦698年11月12日)天武天皇の発願による藤原京薬師寺が建立した日。(ウィキペディア) 世界史の誕生─モンゴルの発展と伝統 (ちくま文庫) 岡田氏は中国史、満州史、モンゴル史、日本古代史の研究家。 歴史とは文化であ…

アポトーシス プログラムされた細胞死

田沼氏は生化学、分子生物学の研究者。本書では細胞レベルでの遺伝子による消去の仕組みが説明されている。ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 (幻冬舎新書) アポトーシス(自死) 再生系細胞(例:28日周期で入れ替わる人間の皮膚細胞)50-60回の細胞分…

収穫の秋 トウモロコシ

10月に入り収穫の秋である。日本人にとっては穀物と言えばお米だが世界的にみるとトウモロコシが最大である。 文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 (NHKブックス No.1183) 酒井氏は明治製菓を経た食文化史家。本書ではじゃがいも、ゴム、チョコ…