毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

佐藤勝彦氏の宇宙論を今読める幸せ

インフレーション理論

宇宙はビックバンによって始まったと思っていた。ビッグバンが発生したメカニズムを理論化しようとしたのが佐藤勝彦氏のインフレーション理論。(1981年)

素粒子物理学者で後にノーベル賞を受賞した益川敏英氏の助言からワインバーグ=サラム理論が説明する宇宙の誕生から3番目の相転移のエネルギーでビックバンが説明できる事、3番目の相転移をもたらした宇宙の指数関数的な膨張は2番目の相転移によって始まったと説明した。

宇宙は無数にあるのか (集英社新書)

 宇宙はアインシュタイン方程式(つまり重力)によって、小石が落下するように膨張します。ポテンシャルエネルギーがどんどん負の大きな値となり、その分真空のエネルギーが増していく。その真空のエネルギーが、相転移の時に熱エネルギーに転換され、ビックバンの「火の玉」を生み出したのです。また真空のエネルギーが増していく様子は、ゴムシートを引っ張って広げることをイメージすると分かりやすいかもしれません。シートを引き延ばせば引き延ばすほど、ゴムの中の収縮しようとするエネルギーが増加します。(140ページ)

佐藤氏の著作を日本語で読める幸せに感謝

佐藤氏は世界に先駆けてインフレーション理論(この名称は佐藤氏から数カ月後に発表したグース氏が命名)を展開、その後、第二のインフレーション(現在の宇宙の膨張)、多元的宇宙論、を提唱した。日本語で佐藤氏の著作をリアルタイムに読める幸せに感謝したい。

蛇足

ユーチューブで佐藤氏の映像を見るとお人柄がよくわかります。同時にて宇宙を解明しようとする熱意、「宇宙は無数にある」と考えておられる事も感じられます。