毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

専門家はウソをつく ~勝間氏の新刊

 

 専門家はウソをつく (小学館新書)勝間和代氏の新刊である。

統計学」は専門家に対し脅威である。

統計学というのは、いわば、クラウドであり、衆人の知恵です。そのため、医師の診断も、会計士の監査も、アナリストの株価予測も、おそらく、統計データでコンピュータがある程度判断した方が、ほとんどの専門家よりも正確でしょう。(中略)コンピュータは、チェスのように、自分の判断が相手の決定に有限の可能性でしか影響しないような分野では、ものすごく判断が適切です。(52ページ) 

正規分布

統計学の幹をなすのは正規分布正規分布とは平均値(μ)の付近に集積するようなデータの分布を表した連続的な変数に関する確率分布である。(Wiki)

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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E8%A6%8F%E5%88%86%E5%B8%83

物理学も会計も一緒

たとえば会計学と物理学、それぞれの「学」としての歴史、構造、ゴールは違う。例えば会計学や金融の世界において統計処理は欠かせないものである、粉飾やインサイダー取引の発見は正規分布にとらわれない恣意的な数字の操作をデータの中から見つけ出す。一方物理学のフロンティアでは膨大なデータの中から正規分布から外れるデータを抽出しモデル化する。ヒッグス粒子の観測が正にその例と言える。

統計学はクラウドであり、衆人の知恵である。

勝間氏の表現は私に大きな気づきを与えてくれた。データの集積とそこに現れる何らかの構造は衆人の知恵であると同時に関数で表現=階層化できるという事になる。統計学の学問領域とは本質的に別であろうが、クラウドデータの持つ意味を再認識させてくれる。