毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ミドルワールドという言葉を聞いた事がありますか?~物質は動き続けている

ミドルワールド 動き続ける物質と生命の起原 ブラウン運動というと、理科の教科書でなんとなく聞いた覚えがある程度の方は多いと思います。「なんだか小さい粒子がうごめくことなのだろう」という漠然としたことは記憶にあるけど、では何故そういう現象が起…

古代メソポタミアの粘土版、バッハの作曲、そして株取引~キーワードは「アルゴリズムは貴方の味方」

アルゴリズムが世界を支配する (角川EPUB選書) 古代から存在はしたが、2000年代、ウォール街で金融商品の開発に活用されたことで一気に進歩したアルゴリズム。映画や音楽のヒット予測に限らない、今や私たちの生活のあらゆる場面に進出しているのだ――。 …

相手の言葉に"いらっと"した時思い出す言葉「ただの言葉なんてない ! 、解釈は様々」~コミュニケーション理論の古典が説明する事

やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう! 野村氏はベイトソンの研究家。 ベイトソン~1904~1980米国の文化人類学者 人類学的調査では、ひとつの人間集団を、内的関係性のダイナミックスという視点から分析する方法を切り開いたが、この思考は、…

ヒトゲノムのうちウィルスとの関係があるものが46%~人間も、そして地球もウィルスで溢れている

ウイルスと地球生命 (岩波科学ライブラリー) 山内氏はウィルスの研究者。 「あなたが胎児だったとき、ウイルスに守られていた? ウイルスといえば、病気を起こす危険なものとみなされている。ところが最近になって、生物の行動や生命の進化にウイルスがいくつ…

透明マントは実用化に向けた取り組みが始まっていた~メタマテリアルが光をコントロールする!

透明マントを求めて 天狗の隠れ蓑からメタマテリアルまで (DISCOVER SCIENCE) 透明人間になってみたい。誰しも一度は考えたことがあるはずだ。その証拠に、被ることで透明になることのできる『透明マント』が、古今東西様々な時代の文献に登場する。その、長…

第一次世界大戦から分かる日本と欧米の関係~今から100年前からの視点

第一次世界大戦はなぜ始まったのか (文春新書) 別宮氏は歴史評論家。「 オーストリアとセルビアによる「限定戦争」のはずだった戦いは、なぜヨーロッパ文明を破壊するに至る大戦争となったのか。」 第一次大戦と欧州、そして日本 日本はアジアの一部ではなく…

広告とは貴方の為に創られたもの!?~100年前に三越呉服店のポスターから

広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (岩波現代文庫) 北田氏は社会情報学の研究者。「広告とはいかに意味の媒体であり続けたかのか」 1927年主婦之友、広告が雑誌の1/3を占めるまで「散逸」(154ページ) 広告の一般的定義 広告の条件は一般的には以下の…

生命は遺伝情報の連続性と自己変革という矛盾を抱えている~重要なのはTry& Error

生命のからくり (講談社現代新書) 中屋敷氏は「植物や糸状菌を材料にした染色体外印紙(ウィルスやトランスボゾン)の研究家。 本書帯のイラストは白と黒の2種類の蛇 P88ページ遺伝情報に忠実なDNAと突然変異の覆いDNA 本書あとがきより 一つは、生命であれ…

世界最古の百科事典は既に電子化されている~エピソードが語る知識と知性の差

驚異の百科事典男 世界一頭のいい人間になる! 子供の頃は世界一頭が良いと思っていたのに、35歳のいま知的レベルは下がる一方。そこで『ブリタニカ百科事典』全巻読破に挑戦。 ブリタニカ百科事典 - Wikipedia 英語で書かれた百科事典である。110人のノーベ…

我々は地球の内部を透視化する技術を手にした~地球物理と天文学、そして生命論の結節点

素粒子で地球を視る: 高エネルギー地球科学入門 田中氏は高エネルギー地球物理学の研究者。「宇宙が作り出すミュオンやニュートリノが地球を観測する新しい窓を開く。 」 P162地球ニュートリノの2/3ha地殻由来、(1/3はコアから) 地球ニュートリノグラフィ~2…

顔の「しわ」は感情にまつわる情報ネットワークがビジュアライズされたものだった!

皮膚感覚と人間のこころ(新潮選書) 8レビュー 星5つ: (4) 星4つ: (2) 星3つ: (1) 星2つ: (1) 星1つ: (0) › カスタマーレビューを見る(8) 傳田氏は化粧品会社で研究に従事。 外界と直接触れ合う皮膚は、環境の変化から生体を守るだけでなく、自己と他者を区…

最後に「おままごと」をやったのはいつ、誰とだったか?~「ホモ・ルーデンス」という視点

<ホモ・ルーデンス (中公文庫) ホイジンガ(1872-1945)はオランダの歴史家。サンスクリット 文献研究から歴史研究に転じた。「遊びを文化人類学と歴史学を総合する雄大な構想で論証」(裏表紙より)1938年刊行。 ホモ・ルーデンスとは遊ぶ人 ホイジンガは人間…

思わずよだれが出る!フォトリアリズムが描く苺タルト~本物より美味しそうとはどういう事か?

サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書) 現代社会は過剰な刺激に満ちている。直接快楽を刺激する音楽と映像。絶え間なくメッセージを投げかけるメディアやコマーシャル。それらは私たちの潜在脳に働きかけて、選択や意思決定にまで影を…

1914年のヨーロッパ、素晴しい天気の夏だった~ちょうど100年前の7月第一次世界大戦が始まる

1914年: 100年前から今を考える (平凡社新書) 1914年、第一次世界大戦が始まった 「1914年の夏は、それがヨーロッパの土の上にもたらしたあの禍がなくても、同じように我々にとって忘れえぬ夏であったろう。というのは、私はこの夏ほど豊かな感じで、美しい…

粘菌が知性を持っている?~世界に通じる「八百万の神」の非常識な発想法

ブレイクスルーの科学者たち (PHP新書) 本書では、現代日本のトップレベルの科学者11人を取材し、「ブレイクスルーの法則」を解き明かす。 その中から中垣俊之氏(北海道大学教授)の粘菌に関する研究に絞って話を進める。 粘菌には細胞性粘菌と真性粘菌 細胞…

世界最初のパーソナルコンピュータは何年前に発売されたか?~1974年、PCは「おたく」の世界だった!

<エピソードでたどるパソコン誕生の謎 岸野氏は半導体が専門、「多くの電子技術はパソコンが世に出る鍵になった。マイクロプロセッサの開発もその一つだ。これなしに現在のパソコン、ケータイ、コンピュータ、そして、インターネットはあり得ない。」 169ペ…

幾何という字を何と読みますか、そしてその意味がわかりますか?~geometoryという概念と結合

幾何(いくばく)とは 「いくばく」は辞書では【幾何/幾許】1 数量・程度の不明・不定なことをいう語。どれほど。「―の利益を得たか」2 (「いくばくか」の形で)ある程度。若干。「旅費はまだ―か残っている」 幾何(いくばく)から幾何(きか)になった …

経済学の父アダム・スミスは資本主義の欠陥を予言していた。~悪魔も「神の見えざる手」を引用できるという事

アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書) アダム・スミスは経済学の父 アダム・スミス(1723年- 1790年7月17日)は、スコットランド生まれのイギリス(グレートブリテン王国)の経済学者・神学者・哲学者である。「経済学の父」と呼ばれ…

ザトウクジラのヒレは長さ5m、どうしてヒレに凹凸があるか?~美しい水中写真にため息!

小さき生物たちの大いなる新技術 (ベスト新書) カタツムリやアリ、蚊などどこにでもいる身近な生物たち。だが、彼らは地球上に35億年前に誕生した生物のなかで、厳しい生存競争を生き抜いてきた精鋭だ。そこには思いもよらない超技術が潜んでいる。この生物…

聖書の創世記に基づいて、世界の歴史は6,000年と想像してみる~現代のキリスト教を理解する為に

聖書男(バイブルマン) 現代NYで 「聖書の教え」を忠実に守ってみた1年間日記 髭をそってはならない、という戒律を守る! 旅の目的は究極の聖書的生活を送ること。より正確にいとう、聖書の教えにできるだけ忠実に活きること。十戒に従い、産んで増え、隣人…

自分が火星に移住したと思考実験をしてみる~2035年有人宇宙飛行が検討されているという現実

ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦 アポロ11号で世界初の月面歩行をした宇宙飛行士が語る、未来の宇宙旅行と火星入植計画のすべて! 52ページ、地球、月、火星が、内太陽系を定期的に運行する旅客や貨物でにぎわうハブになる 火星に行くという事 火星…

自分が火星に移住したと思考実験をしてみる~2035年有人宇宙飛行が検討されているという現実

ミッション・トゥ・マーズ 火星移住大作戦 アポロ11号で世界初の月面歩行をした宇宙飛行士が語る、未来の宇宙旅行と火星入植計画のすべて! 52ページ、地球、月、火星が、内太陽系を定期的に運行する旅客や貨物でにぎわうハブになる 火星に行くという事 火星…

誰でも15分でクリエイティブになれる方法~用意するのは一杯のコーヒーと紙ナプキンとペン、そして少しの勇気!

クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法 ディビッ・ケリー氏はデザイン思考というコンセプトのコンサルタント。 「創造力に必要なのは、アイデアと「自信」。その自信は、ちょっとしたトレーニングとアドバイスだけで、…

今は革命前夜だった!~太陽系外のハピダブル・プラネットに生物痕跡を見つけるという「常識を超えた現実」

系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く (ちくまプリマー新書) 井田氏は論理物理学(系外惑星)の研究家。 太陽系外惑星とは、太陽系の外にある惑星のこと。 174ページトランジット法は中心星が惑星の食による光の減少を観測する方法。アマチュア天文家が市販の観測…

シェイクスピアは英語辞書を使えたか?~英語最大の辞書、OxfordEnglishDictronaryの歴史からわかるオープンソースの構造

博士と狂人―世界最高の辞書OEDの誕生秘話 (ハヤカワ文庫NF) 『オックスフォード英語大辞典』(OED)の初代編集長マレー博士には日々手紙で用例を送ってくる謎の協力者がいた。 1857年晩餐会で編纂が宣言されるも、大事業故に20年間中断。 英語圏における辞書と…

高級機械式時計の代名詞、クロノメーターはいつ何の為に生まれたか?~我々はわずか250年前経度を知る方法を知らなかった

経度への挑戦 (角川文庫) 大航海時代を経た18世紀ヨーロッパでは、不正確な経度測定に起因する遭難事故が続発。イギリスは問題の解決に高額の賞金が設定、天文学者がこぞって天体の運行に答えを求める中、無名の時計職人が名乗りを上げた。(2010年刊) 1714年…

今、生命誕生のシナリオがパラダイム・シフトしようとする時代~我々のアプリオリ(自明の理)をバージョンアップする為に知っておくべき事

生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書) 80ページ:地球冷却と地球の秩序化 生命誕生のシナリオの解明 人類の知的好奇心を刺激して止まない大きなテーマである。中沢氏は地球における生命の誕生を必然と考え「地球軽元素進化系統図」とい…

目に見えない電波を見えるようにするには~アンテナの簡単な仕組みを知る事

アンテナの仕組み (ブルーバックス) テレビアンテナは、なぜ地デジは肋骨形、BSは皿形をしているのか? --など素朴な疑問から解き明かす、アンテナと電波の正体。 宇宙の微弱電波を見るのは望遠鏡と同じパラボラアンテナ 電波とは3兆回/秒以下の周波数をもつ…

もし時計から分針が無かったら、と想像してみる~時間もまた主観的な概念である

1秒って誰が決めるの?: 日時計から光格子時計まで (ちくまプリマー新書) 安田氏は産業総合技術研究所、次世代原子時計の研究者 時代と共に1秒の定義も変化している。1秒を計る技術の最前線に迫る。(2014年6月刊) 原子時計の仕組み、原子の振動を図る事(119ペ…

米国サンディ・スプリング市を知っていますか?~コーポラティズムというすべてが株式会社化する社会

(株)貧困大国アメリカ (岩波新書) 堤氏はジャーナリスト「1% vs 99%の構図が世界に広がる中、本家本元のアメリカでは驚愕の事態が進行中。それは人々の食卓、街、政治、司法、メディア、人々の暮らしを、音もなくじわじわと蝕んでゆく。」 左のグラフ:サンデ…