毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今は革命前夜だった!~太陽系外のハピダブル・プラネットに生物痕跡を見つけるという「常識を超えた現実」

  系外惑星 宇宙と生命のナゾを解く (ちくまプリマー新書)

井田氏は論理物理学(系外惑星)の研究家。

 

太陽系外惑星とは、太陽系の外にある惑星のこと。

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174ページトランジット法は中心星が惑星の食による光の減少を観測する方法。アマチュア天文家が市販の観測機器を使って観測しそれが発見数の増加に寄与。

 

1995年系外惑星が初めて発見される

1995年10月、スイスのミッシェル・マイヨールたちが、48光年の距離にある太陽型恒星のペガスス座51番星のまわりに、ついに系外惑星を発見した。1940年代に人類が系外惑星を探し始めて半世紀を経ての初の発見だった。それは「ホットジュピター」と呼ばれる異形の惑星だった。重さは木星の半分くらいの巨大ガス惑星だが、中心星から0.05天文単位のところを周期4日で周回する灼熱の惑星だった。(中略)0.05天文単位の半径というような中心星に近いところを巨大ガス惑星が回っているなんて、天文学者たちの誰も想像したことがなかった。(166ページ)

f:id:kocho-3:20140709070400p:plainベレロフォン (惑星) - Wikipedia

ペガスス座51番星の惑星を発見したのは非常識なアプローチの結果

ペガスス座51番星の惑星を発見したミッシェル・マイヨールたちは惑星の専門家ではなく、連星の専門家だった。連星には周期が数日というものはよくあった。(169ページ)

 

惑星の専門家は天文単位0.05という所に惑星があるはずはないという常識を持ち、中心星から近い所は観測から除外していた。一方連星を研究してきたマイヨールにとっては距離による制限を設けずに「非常識な所まで」観測した結果発見に至ったという事。

今や系外惑星は銀河にあふれている(Wiki

一度形外惑星が発見され、観測方法が確立すると多数が発見。

f:id:kocho-3:20140709070659p:plain太陽系外惑星 - Wikipedia

  

今は革命前夜!?

形外惑星がどんどん発見されている今、形外ハビタブル・プラネット(生物生存に適した環境があると考えられる惑星)の観測を通して、生命の存在確率を実際に調べることが可能になりそうになっているのだ。実証すればいいのだ。100年後とかいう遠い未来の話ではない。10年とか20年先とかの話だ。ハビタブル・プラネットのリストはどんどん増えていくだろう。次世代の超大型地上望遠鏡や、次世代の宇宙望遠鏡を使って、そういうハビタブル・プラネットの光を中心星と分離してスペクトルを調べることができれば、その惑星の大気組成がわかり。今の地球の大気に含まれる酸素は光合成生物が作った。(中略)スペクトルをとってみてそこに酸素分子やオゾンの吸収線が見えれば、その惑星に光合成生物が生息している可能性が高いと判断できる。(204ページ)

井田氏は最後に「革命前夜、それが今だ。」(206ページ)と記す。

  蛇足

非常識なアプローチは常識ではないほどの成果を出す。