毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ポツダム宣言受諾後、日本ではどうして抵抗運動が発生しなかったか?~『悪の引用句辞典 - マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき』鹿島 茂氏(2013)

悪の引用句辞典 - マキアヴェリ、シェイクスピア、吉本隆明かく語りき (中公新書) 鹿島氏はフランス文学の研究家、マキアヴェリ、シェイクスピア、タレーラン、夏目漱石、吉本隆明ら69人、71の名句・名言を紹介。あわせて、近年の時事的な話題を切り口に、引…

地球上に土壌はいつ現れたか?~『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』藤井一至氏(2015)

ヤマケイ新書 大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち 藤井氏は土壌学の研究家、生き物たちの営みを「土」から理解するための一冊。(2015) 土壌とは何か? 一般には、土壌とは岩石が風化し植物遺体が混ざったものと定義される。生き物を育み、同時に生き物…

Googleの強みは低コストと高性能を両立したコンピュータメーカーである~『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』梅田 望夫氏(2006)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) Googleは高品質なサービスが無料で提供されるようになった。どうしてGoogleはそれを実現できたのか?(2006) Googleとは 1998年設立、検索エンジン、クラウド・コンピューティング、ソフトウェア、…

大量生産はいつどこで始まったか?~『大量生産の社会史』アメリカ歴史博物館編(1984)

大量生産の社会史 アメリカ歴史博物館編纂、ネザン・ローゼンバーグ氏が大量生産がなぜアメリカで始まったのか、 を考察する。(1984) kocho-3.hatenablog.com アメリカ的製造方式 1851年のロンドンの水晶宮博覧会のときまでに、イギリス人が「アメリカ的製…

ソメイヨシノは日本人が自己創出によって作り出していた~『桜が創った「日本」―ソメイヨシノ 起源への旅 』佐藤俊樹氏(2005)

桜が創った「日本」―ソメイヨシノ 起源への旅 (岩波新書) 佐藤氏は社会学の研究家、一面を同じ色で彩っては、一斉に散っていくソメイヨシノ。近代の幕開けとともに日本の春を塗り替えていったこの人工的な桜は、どんな語りを生み出し、いかなる歴史を人々に…

実質為替レート指数という言葉を知っていますか?~『戦後経済史』野口 悠紀雄氏(2015)

戦後経済史 野口氏はファイナンス理論の研究家、戦後70年をリアルタイムで生きた経済学者の集大成。(2015) 日本の経済のピークは90年代半ば 名目為替レートではなく、各国の物価上昇率の差を調整した実質為替レート指数をみると、円は90年代中頃に140前後…

モノとは非言語でグローバル、そして人の暮らしを変える~『メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる』小笠原 治氏(2015)

メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書 471) ”Gatebox”、面白そう! 小笠原氏は、秋葉原の“モノづくり"拠点DMM.make AKIBAをプロデュース、メイカーズの本質を「売れる」「作れる」「モノゴトで稼ぐ」で解説。(2015) http://make.dmm.com…

産業革命前のハイテク・グローバル商品は何だったか?~『ペルシア王は「天ぷら」がお好き? 味と語源でたどる食の人類史』D・ジュラフシキー氏(2015)

ペルシア王は「天ぷら」がお好き? 味と語源でたどる食の人類史 ジュラフスキー氏は言語学とコンピュータサイエンスの研究家、国境や文化を越え、世界を魅了した食と、食にまつわる言葉の歴史の集大成!(2015) ジェラフスキーはケ・チャップとは16世紀中国福…

傭兵と経済的徴兵制に本質的違いは存在するか?~『傭兵の二千年史』菊池 良生氏(2002)

(講談社現代新書) 菊池氏はオーストリア文学の研究家、ヨーロッパ興亡史の鍵は、傭兵にあった! 古代ギリシャからはじまり、ローマ帝国を経て中世の騎士の時代から王国割拠、近代国家成立まで、時代の大きな転換点では、常に傭兵が大きな役割を果たしてきた。…

あなたは何にサインアップしていますか?~『超マシン誕生 新訳・新装版』トレイシー・キダー氏(1981)

超マシン誕生 新訳・新装版 1982年のピューリッツァー賞(ノンフィクション部門)を受賞した、ハードウェアとファームウェアを中心としたコンピュータ開発についてのベストセラー・ノンフィクション。 著者のトレイシー・キダー氏はノンフィクションライター…

ファンタジーにはリアリティーが必要だった~『ゲームシナリオのためのファンタジー事典 知っておきたい歴史・文化・お約束110 』山北 篤氏(2010)

ゲームシナリオのためのファンタジー事典 知っておきたい歴史・文化・お約束110 (NEXT CREATOR) 山北氏はゲームライター、ファンタジーのストーリーを創作するときに知っていてほしい歴史・文化・お約束を事典形式でまとめたネタ帳。 特にゲームと相性がよい…

アップルのCEO、ティム・クック氏はカリスマか?~『カリスマ論』岡田 斗司夫氏(2015)

カリスマ論 (ベスト新書) 岡田氏は社会評論家、「本物のカリスマ」の研究書であり、ノウハウ本でもあります。(2015) カリスマの語源 英語の charisma は、「一部の人々が持つ、他の人々を引きつけ感銘を与える強力な個人の性質」とされている。 より一般論…

クリスマスツリーの意味を知っていますか?~『教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」』成毛 眞氏(2015)

教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」 (光文社新書) 成毛氏は書評家(でもある)、辞書・辞典・事典・図鑑―― ググっても見つからない、未知の世界がここにある。(2015) 字引学問でいい 「字引学問」という言葉がある。深くは知らない分野…

クリスマスツリーの意味を知っていますか?~『教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」』成毛 眞氏(2015)

教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」 (光文社新書) 成毛氏は書評家(でもある)、辞書・辞典・事典・図鑑―― ググっても見つからない、未知の世界がここにある。(2015) 字引学問でいい 「字引学問」という言葉がある。深くは知らない分野…

民主主義の本質は多数決ではなかった~『社会という荒野を生きる』宮台真司氏(2015)

社会という荒野を生きる。 宮台氏は社会学の研究家、「いま僕たちはどんな時代を生きているのか」「この不透明な時代に何を捨て、何を守るべきなのか」(2015) 民主主義の本質は自治 アメリカなら、元々は信仰共同体である州が集まって連邦を作る。ヨーロッ…

いつか無くなる灯台というもの~『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』テレサ・レヴィット氏(2015)

灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡 (ブルーバックス) レヴイット氏はサイエンスライター、1800年代、海難事故が相次いでいたフランスで、暗い海を明るく照らす灯台が求められていた。小さな光を効率よく、より遠くまで届ける…

ニュートン以前、我々は世界をどう観ていたか?~『宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話』松浦 壮氏(2015)

宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話 (新潮新書) 松浦氏は素粒子物理学の研究家、「物理の本質は、身の周りに起こる現象の中にパターンを見出し、そのパターンに共通する理を見出すことで、複雑な世界をコンパクトかつ正確に理解することにあります」…

我々は”機械仕掛けの神”を探しているのか?~『社会は情報化の夢を見る---[新世紀版]ノイマンの夢・近代の欲望 』佐藤俊樹氏(2010)

社会は情報化の夢を見る---[新世紀版]ノイマンの夢・近代の欲望 (河出文庫) 佐藤氏は社会学の研究家、新しい情報技術が社会を変える!―原著「ノイマンの夢、近代の欲望」(1996)から15年、何がどう変わったのか?(2010) 1990年代の原初のインターネット…

500年に渡って戦争を続けてきたヨーロッパが今考えていること~『ヨーロッパ史における戦争』マイケル・ハワード氏(1976、文庫は2010)

ヨーロッパ史における戦争 (中公文庫) ハワード氏は戦争史の研究家、中世から第二次世界大戦に至るまでのヨーロッパで起こった戦争を、テクニックだけではなく、社会・経済・技術等の発展との相関関係においても概観。(原書は1976年、改訂版文庫は2010) ヨ…

折り紙つき、の由来を知っていますか?~『贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ』桜井 英治氏(2011)

贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書) 桜井氏は日本中世史の研究家、中世日本、得に15世紀の100年間の贈与慣行は世界的にも類を見ない極端に功利的な性質を帯びる。損得の釣り合いを重視し、一年中贈り物が飛び交う中世人の精神を探り、義理や虚礼、…

我々の理想郷は「地球村」なのかもしれない~『ノイマンの夢・近代の欲望―情報化社会を解体する 』佐藤俊樹氏(1996)

ノイマンの夢・近代の欲望―情報化社会を解体する (講談社選書メチエ) 佐藤氏は社会学の研究家、「技術が社会を変革する」=技術決定論を脱構築し、技術と社会のダイナミックな対話を通して、21世紀社会を展望。(1996) 2010年改訂版が出ていました。 マクルー…

一流のエンジニアであり極地探検家のリーダー論~『技士道 十五ヶ条 ものづくりを極める術』西堀 榮三郎(1990)

技士道 十五ヶ条 ものづくりを極める術 (朝日文庫 に 9-1) 西堀/榮三郎(1903-1989) 1903年京都市生まれ。理学博士。京都大学理学部卒業。京都大学講師・助教授を経て、36年東京電気(現・東芝)入社。49年退社し、統計的品質管理の普及に努める。54年デミン…

アメリカは現代のモンゴル帝国なのか?~『ユーラシアの東西―中東・アフガニスタン・中国・ロシアそして日本』杉山 正明氏(2010)

ユーラシアの東西―中東・アフガニスタン・中国・ロシアそして日本 杉山氏はモンゴル史の研究家、イラク・アフガン戦争の歴史的意味とは、ユーラシア大陸を一塊りとしてみれば、あらたな地平が浮かび上がる。(290ページ) 現代のタタル~タタルとはモンゴル…

ルイ ヴィトンが教えてくれる、ビジネスの構造~『ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る』B・アルノー氏(2003)

ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る ルイ・ヴィトンを筆頭に50以上の世界ブランドを束ねるブランド帝国「LVMH」グループ。その総裁ベルナール・アルノーがはじめて語る、ブランドビジネスの真髄。(2003) LVMH、誰もが入りたがる会社 1…

500年の歴史を持った若い国、ロシア~『ロシアについて―北方の原形 』司馬遼太郎(1986)

ロシアについて―北方の原形 (文春文庫) 巨大な隣国・ロシアを、いかに理解するか。歴史をつぶさに検証してロシアの本質に迫り、両国の未来を模索した評論集。(1986) 若い歴史を持ったロシア 私どもは、人類の文明史からみて、ロシア人によるロシア国は、き…

浅田氏は、なぜ主人公は米国人青年にしたのか?~『わが心のジェニファー』浅田 次郎氏(2015)

わが心のジェニファー 浅田次郎が描く、米国人青年の日本発見の旅! 日本びいきの恋人、ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本へのひとり旅を命じられたアメリカ人青年のラリー。東京、京都、大阪、九州、北海道…。神秘のニッポンを知る旅を始めた…

株式会社とは”自己強化型ループ・システム”のことである~『世界はシステムで動く』ドネラ・H・メドウズ(2015)

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方 メドウズは1972年「成長の限界」の主筆、複雑なことを紐解く、物事を大局的にとらえる…ドネラ・メドウズが自身の思考法(=システム思考)を全公開。(2015) システムとは何か システムとは、…

フォードは自動車、大衆社会、そして大企業を作った~『藁のハンドル』ヘンリー・フォード(2002)

藁のハンドル (中公文庫―BIBLIO20世紀) アメリカの自動車王ヘンリー・フォードは、今世紀のはじめ今日の資本主義の基礎を築いた起業家のひとりであり、自動車の大量生産方式を確立した人物である。大企業の目的は人々を貧困の辛い労働から解放し生活を楽しめ…

情報とは物理的存在である~『宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号』チャールズ・サイフェ氏(2007)

宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号 サイフェ氏はサイエンスライター、宇宙は情報でできている。(2007) 情報理論 情報理論がこれほど強力なのは、情報が物理的なものだからだ。情報はただの抽象的な概念ではなく、ただの事実…

世界人口の増加率ピーク2%はいつ頃だったか?~『ヒトはこうして増えてきた: 20万年の人口変遷史 』大塚 柳太郎氏(2015)

ヒトはこうして増えてきた: 20万年の人口変遷史 (新潮選書) 大塚氏は人類生態学の研究家、何が人類をここまで激増させたのか? 20万年前、アフリカで誕生したわれわれは穏やかに増えていくが、つい最近、突然の増加をみた。農耕が始まった約1万年前のわずか50…