毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

アップルのCEO、ティム・クック氏はカリスマか?~『カリスマ論』岡田 斗司夫氏(2015)

カリスマ論 (ベスト新書)

 岡田氏は社会評論家、「本物のカリスマ」の研究書であり、ノウハウ本でもあります。(2015)

 

カリスマの語源

英語の charisma は、「一部の人々が持つ、他の人々を引きつけ感銘を与える強力な個人の性質」とされている。

より一般論的説明としては、特定の個人、身分、社会組織、象徴、事物などに、他とは異なる超自然的、超人間的、非日常的な力や性質がそなわっていると認識される場合に、それらのもつ特質をカリスマという。(Wiki

岡田氏の語る現代のカリスマ

 

カリスマの影響力は、さまざまなメディアで人づてに伝播していきます。影響を受けた人がカリスマについて語り、それがさらに人を呼び込むサイクルが生まれていきます。ちょっと前まで無関心だった人にも、会ってみたいと思わせるのがあるんですね。カリスマから影響を受けて近くに集まるというより、「強い影響力を受けたい」という願望を刺激されて、大勢の人たちが集まっていくという方が正確でしょう。(46ページ)

カリスマとしてのスティーブ・ジョブズ

 

ややこしいことに、彼自身は(自分の教義に帰依させる)教祖でありたかったようですが、結果的には彼はカリスマでした。ジョブズが開発を指揮したアップル製品は、世界中で熱狂的なファンを生み出しました。ファンたちはアップル製品の素晴らしさや、ジョブズの名言について、熱く語ります。

では、ジョブズの生き方を受け継いだファンはいるでしょうか?

ジョブズは菜食主義者で、仏教に傾倒し、若い頃はヒッピー文化に影響を受けて社内を裸足で歩いたりもしていました。でも、彼のライフスタイルに影響を受けた人はほとんどいません、。ジョブズにとっては残念なことに、彼には教祖力というものがとことんなかったようですね。(60ページ)

アップルは今、

 

スティーブ・ジョブズの創業したアップルを継承したティム・クックは、経営実務を担う地味な人物だと思われていました。しかし、ティム・クックは製品プレゼンでも陣頭に立ち、同性愛者の権利問題でも積極的に発言するなど、カリスマとしての存在感を示すようになっています。(205ページ)

現代のカリスマはテーマを自由に選べる

 

現代は他人に対して影響力を与えられるメディアがそろっている。マックス・ウェーバーが定義した様な支配者としてのカリスマから、他人への影響力を与えられる人物であり、支配・被支配の関係がもっと開放的になっていると説く。

スティーブ・ジョブズを継ぐティム・クックは、自分ながらの他人への影響力を作っていくと覚悟した。創業社長の次という地味な地位に安住することなく、同性愛問題へのコミットによって自分らしいカリスマを描こうとしている。

我々に必要なのは他人に対し影響力を与えること、を厭わないカリスマに手を挙げる勇気である。そして何で影響力を与えるか、は本人に任されている。

蛇足

 

カリスマとは伝説になりそうなミッションを自ら設定する人のこと

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