毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

株式会社とは”自己強化型ループ・システム”のことである~『世界はシステムで動く』ドネラ・H・メドウズ(2015)

世界はシステムで動く ―― いま起きていることの本質をつかむ考え方

メドウズは1972年「成長の限界」の主筆、複雑なことを紐解く、物事を大局的にとらえる…ドネラ・メドウズが自身の思考法(=システム思考)を全公開。(2015)

 

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システムとは何か

システムとは、何かを達成するように一貫性を持って組織されている、相互につながっている一連の構成要素です。少しの間、この定義をじっと見てみると、「システムとは3種類のものからなっている」ことがわかります。「要素」と「相互のつながり」、そして「機能」または「目的」です。

サッカーチームは、選手、コーチ、サッカー場、ボールなどの要素からなるシステムです。相互のつながりは、試合のルール、コーチの戦略、選手間のコミュニケーション、ボールや選手の動きに影響を与える物理法則です。チームの目的は、試合に勝つkとお、楽しむこと、運動すること、数百万ドルを稼ぐこと、またはこれらのすべてです。

 

システムは情報のフィードバック・ループによって動かされている。その典型的な例が自己強化型ループと呼ばれるものである。

自己強化型ループ

システムの要素がそれ自身を再生産する能力か、それ自身に対する一定の割合で大きくなる能力を持っているところならどこでも、自己強化型ループを見つけることができます。たとえば、「人口」や「経済」といった要素です。利息付きの銀行口座の例を覚えているでしょうか。銀行口座の残高が多ければ多いほど、受取利息は多くなり、それはすでに口座にあるお金に追加され、さらに多くの受取利息を得るようになります。

所有する機会や工場(合わせて「資本」と呼びます)が増えれば増えるほど、財やサービス(「アウトプット」)をたくさん産み出すことができるようになります。産み出すアウトプットが増えるほど、新しい機械や工場への投資がより多くできます。機械や工場を作れば作るほど、さらに多くを生み出すための能力が増えます。この自己強化型フィードバック・ループは経済における成長の中核にある原動力です。(66ページ)

システムは部分の総和以上

著者はシステムを以下の4つにまとめる(328ページ)

①システムは部分の総和以上である

②システムの相互のつながりの多くは、情報の流れを通じて作動する。

③システムの中で最も目につかない部分である機能や目的が、システムの挙動を決める上で最も重要であることが多い。

④システムの構造がシステムの挙動の源泉である。システムの挙動は経時的な一連のできごととしてその姿を現す。

システムとの付き合いかた

 

企業が成長しているとは、自己強化型ループのシステムが効率よく動いていることである。そもそも資本主義というシステム自体がこの自己強化型ループであることに気づく。

システムといったとき融通の利かないもの、という否定的な印象を抱くケースもあろう。本書はシステムの目に見えない部分、氷山の下の部分を注目することを主張する。システムの目の見えない部分の因果関係に目をこらしたとき、システムのレバレッジ・ポイント(改善点)が見えてくる。我々はシステムの部分なのではなく、システム全体を俯瞰することができる存在である。それが楽なシステムとの付き合い方である。

蛇足

 

システムでないもの、それは道の砂である。増えても減っても関係ない。(目的がないから)

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