毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

マイナス金利政策には限界がある~『中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来』岩村充氏(2016)

中央銀行が終わる日: ビットコインと通貨の未来 (新潮選書) 岩村氏は日銀出身の通貨論の研究者、日本銀行の金融政策はなぜ効かないのか。(2016) 金融政策は高成長が前提 金融政策の本質は現在と未来を交換することです。豊かな未来が展望できているときは…

自分で勝つ基準を決めるということ~『仕事に必要なことはすべて映画で学べる 』押井守氏(2013)

仕事に必要なことはすべて映画で学べる 「機動警察パトレイバー」シリーズなどのヒット作で知られ、世界的に高い評価を受けている映画監督の押井守監督が映画を語る。(2013) 勝つために戦え 簡単に言うと、映画監督における勝敗論では、「負けないこと」が…

主権国家はいつ誕生したのか?~『世界史の逆襲 ウェストファリア・華夷秩序・ダーイシュ』松本太氏(2016)

世界史の逆襲 ウェストファリア・華夷秩序・ダーイシュ 松本氏は駐シリア臨時代理大使、止まらない殺戮の連鎖。人間は野蛮な時代に戻るのか?(2016) 現在の国際秩序 現在の国際秩序が、1648年以降のウェストファリア体制というヨーロッパ近代の枠組みの中で…

主権国家はいつ誕生したのか?~『世界史の逆襲 ウェストファリア・華夷秩序・ダーイシュ』松本太氏(2016)

世界史の逆襲 ウェストファリア・華夷秩序・ダーイシュ 松本氏は駐シリア臨時代理大使、止まらない殺戮の連鎖。人間は野蛮な時代に戻るのか?(2016) 現在の国際秩序 現在の国際秩序が、1648年以降のウェストファリア体制というヨーロッパ近代の枠組みの中で…

芸術家の使命とは概念を最発明すること~『リ・インベンション―概念(コンセプト)のブレークスルーをどう生み出すか』三品和宏氏(2013)

リ・インベンション―概念(コンセプト)のブレークスルーをどう生み出すか 三品氏は経営戦略論の研究家、他社と同じ次元で「イノベーション」に邁進すると、同質化競争は避けられません。 次元の違う製品を生み出し、ブルーオーシャンへといたる道をどう歩むか…

テクノロジーとは個人の可能性を広げる技~『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』K・ケリー

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケリー氏は雑誌Wiredの編集長、人類は石器からコンピューターに至るまで、さまざまなテクノロジーを生み出してきた。 これらに通底する普遍的な法則、そしてテクノロジーの本質とは、いったい何なのだろう か?(…

美術館の壁の色は何色だと思いますか?~『美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには 』

美術館の舞台裏: 魅せる展覧会を作るには (ちくま新書) 高橋氏は三菱1号館美術館の館長、展覧会開催から美術品を巡る事件、学芸員の仕事……新しい美術の殿堂の姿!(2015) 美術館の起源 歴史を遡ってみると、人々が大切にした宝物はけっしてアカデミックな視…

日米は疑似植民地主義的な安全保障関係である、という視点~『日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そして未来』R・T・マーフィー氏(2015)

日本‐呪縛の構図:この国の過去、現在、そして未来 上 マーフィー氏は国際関係・経済学の研究家、在日40年、この国を愛してやまないアメリカ人大学教授が描く「Japan」の肖像とは?(2015) 第二次世界大戦後 日本とその植民地の台湾と朝鮮(少なくともその南…

あなたには垂直に降りられますか?~『モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想』三品和広氏(2016)

モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想 三品氏は企業戦略論、あの圧倒的な存在感は完全に消えてなくなり、モノ造りは新興諸国に、ネットの世界はアマゾンやグーグルを擁するアメリカに、完全に押さえら…

あなたには垂直に降りられますか?~『モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想』三品和広氏(2016)

モノ造りでもインターネットでも勝てない日本が、再び世界を驚かせる方法―センサーネット構想 三品氏は企業戦略論、あの圧倒的な存在感は完全に消えてなくなり、モノ造りは新興諸国に、ネットの世界はアマゾンやグーグルを擁するアメリカに、完全に押さえら…

世界で一番辛い料理はどこの国の料理か?~『トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」』山本紀夫著

トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書) 山本氏は民俗学の研究家、新大陸から伝わった当初、「犬が食べると死ぬ」「大毒である」と言われた魔の香辛料が世界中に普及し、食卓革命を起こした。(2015) 中南米最古の作物 アメリカ大陸におけ…

部屋と机はあなたの拡張された脳である~『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』アンディ・クラーク氏(2003)

生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works) クラーク氏は認知科学、哲学の研究家、言語の登場以来、人間はサイボーグだった!コンピューターや人工知能、スマートフォンやタブレット端末、脳や身体に直接埋め込…

タロットカードの愚者はなぜ小袋と花を持っているのか?~『「無知」の技法 Not Knowing』S・デスーザ氏×D・レナー氏(2015)

「無知」の技法 Not Knowing デスーザ氏、レナー氏は企業組織論などのコンサルタント、知識が高いほど、変化や未知のものの受け入れが遅れ、 既知のものへ執着し、盲信する。いわば知のパラドックス(逆説)だ。「知識」「知っていること」に焦点を置くあまり…

テクノロジーとはある目的の為に自然界をプログラミングすること~『テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論』W・ブライアン・アーサー氏(2011)

テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 アーサー氏は、経済学分野における複雑系理論の研究家、経済というのは私たちが必要とするものを供給するためのテクノロジーをうまく組織したものにすぎない。(2011) (新しいテクノロジーとは、どこから…

私の知らない日本の姿がここにある~『オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白』R・D・エルドリッヂ氏(2016)

オキナワ論 在沖縄海兵隊元幹部の告白 (新潮新書) エルドリッヂ氏は歴史学者,「NO」しか言わないオキナワのままでいいのか?(2016) もともとエルドリッヂ氏は歴史学者 もともと私は日米関係を専門とする歴史学者で、日本での暮らしはすでに四半世紀以上にな…

宗教と戦争の共通点、それは愛~『キリスト教と戦争』石川明人氏(2016)

キリスト教と戦争 (中公新書) 石川氏は戦争論・宗教学の研究家でありキリスト教徒。世界最大の宗教、キリスト教の信者は、なぜ「愛と平和」を祈りつつ「戦争」ができるのか?(2016) キリスト教と戦争 これかでのキリスト教史においては、文字通り自分をキリ…

デカルト座標の原点0には何があるのか?~『4日間集中講座 世界史を動かした思想家たちの格闘~ソクラテスからニーチェまで~』茂木誠氏(2015)

4日間集中講座 世界史を動かした思想家たちの格闘~ソクラテスからニーチェまで~ 茂木氏は予備校にて世界史を教える、神なき時代をどう生きるか?(2015) デカルト座標 当時の数学は、建築技師などが使うギリシア起源の幾何学と、商人や金貸しが計算に使うイ…

あなたの匂いの記憶は何ですか?~『知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語』橘玲氏(2009)

知的幸福の技術―自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫) 橘氏は作家、"ささやかな"幸福を実現することは、それほど難しくはない。(2009) 人は常に他者の承認を求めて生きている バブルの最盛期に出会った地上げ師は「あんたもダニやウジム虫以下の人間に…

時間と距離、身体の限界から自由になったとき、何をしたいですか?~『スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える 』稲見昌彦氏(2016)

スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える (NHK出版新書) 稲見氏は人間拡張工学、エンタテイメント工学の研究家、人間拡張する身体、サイボーグ化する人間、分身ロボット……未来は希望か、絶望か。人間の身体観が更新するとき、はじめて情報化社会は完成す…

そうか、貨幣は自然に生まれていた~『 知のトップランナー149人の美しいセオリー』ジョン・ブロックマン編(2014)

知のトップランナー149人の美しいセオリー あなたのお気に入りの、深遠で、エレガントで、美しい説明は何ですか?宇宙論から、進化論、心理学、哲学、アートにいたるまで、知の最前線で活躍するトップランナーが答える! (2014) お金の起源 私のお気に入り…

1984年アップルのCMが教えてくれること、ビジネスはパーソナルな感情に行き着く~『ムーンショット! -Moonshot』ジョン・スカリー氏(2016)

ムーンショット! -Moonshot! ムーンショットとは、シリコンバレーの用語で「それに続くすべてをリセットしてしまう、ごく少数の大きなイノベーション」のことをいう。パーソナルコンピュータとして生まれたアップルIIもそうだし、クリエイティブな人々に向け…

自己責任とは、強者の自己保身である~『この国の冷たさの正体』和田秀樹氏(2016)

この国の冷たさの正体 (朝日新書) 和田氏は精神科医、なぜこの国はかくも殺伐としているのか?個人、組織、そして国家、どの位相でもいびつな「自己責任」の論理が幅を利かせる。 「自由」よりも強者の下で威張ることをえらび、 「平等」より水に落ちた犬を叩…

「世界はつねに、 勇気ある者のための劇場である。」と言えるのはなぜか?~『プラグマティズムの思想』魚津郁夫氏(2006)

プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫) 魚津氏は西洋哲学の研究家、アメリカの思想は「体系を排すること、眼前の事実を重視すること、物事の理由を権威にたよらず独力で探求し、結果をめざして前身すること、定式をとおして物事の本質を見ぬく」プラグマ…

地球上の言語は全て同じ文法で作られている!?~『言語を生みだす本能 上・下』スティーブン・ピンカー氏(1995)

言語を生みだす本能〈上〉 (NHKブックス) ピンカー氏は心理言語学者、言語本能説の前提として、人は普遍的な心的言語で思考することをまず洞察する。さらに、文法のスーパールールが生得であること、その基本原理を幼児は母語に応用して言葉を獲得することを…

社会は思ったより長期的な視野には立っていない~『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』岩瀬 昇(2016)

日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか (文春新書) 昭和初期の北樺太石油、満洲国建国時の油兆地調査、そして南方油田。そこには確かに石油があったはずなのに、日本はモノにできなかった。(2016) なぜ満州大油田を発見できなかったのか? 満州で…

そうかあの時イチローは恐怖を感じていたんだ~『BRUTUS特別編集 合本・今日の糸井重里』糸井重里氏(2012)

BRUTUS特別編集 合本・今日の糸井重里 (マガジンハウスムック) 2011年4月に刊行したブルータス「今日の糸井重里」のムック化です。この特集は、約2か月、完全ドキュメンタリー形式で糸井重里を密着ルポ。(2012) 野球人生で最も恐怖を感じた打席 (200…

そうかあの時イチローは恐怖を感じていたんだ~『BRUTUS特別編集 合本・今日の糸井重里』糸井重里氏(2012)

BRUTUS特別編集 合本・今日の糸井重里 (マガジンハウスムック) 2011年4月に刊行したブルータス「今日の糸井重里」のムック化です。この特集は、約2か月、完全ドキュメンタリー形式で糸井重里を密着ルポ。(2012) 野球人生で最も恐怖を感じた打席 (200…