毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

そうか、貨幣は自然に生まれていた~『 知のトップランナー149人の美しいセオリー』ジョン・ブロックマン編(2014)

 知のトップランナー149人の美しいセオリー

  あなたのお気に入りの、深遠で、エレガントで、美しい説明は何ですか?宇宙論から、進化論、心理学、哲学、アートにいたるまで、知の最前線で活躍するトップランナーが答える! (2014)

 

お金の起源

私のお気に入りの科学的説明は、カール・メンガーによるお金の起源に関するものだ。この説明に心から頷けるのは、お金が物々交換から、誰が意図的に発明するわけでもなく発生しうると示しているためだ。・・・メンガーの説明によれば、お金は一連の小さな段階を踏んで誕生したものであり、その一つ一つは、限られた知識しか持たない個々の人間が、自己利益のために行う選択に基づいている。最初に、物々交換を行う個人が、直接交換が困難な時には間接交換で望みの物を手にいれることができると気づく。自分の望みの物を持っていて、かつ自分の持っている物を欲しがっている相手を見つけるのではなく、自分が持っている物を欲しがっている相手を見つけるだけでいい。そうしたら、相手の物と自分の物を、たとえ相手の物が欲しくなかったとしても交換し、それを今度は欲しい物と交換すればよいのだ。この場合、途中の財は交換の手段として使ったことになる。

メンガーは、すべての財が等しく市場向きなわけではなく、一部は他よりも交換しやすいと気づいた。したがって、商人にとっては、市場適性の高い物の在庫を貯め込んで交換の手段にすることが理にかなう。他のめざとい商人たちもそれに続き、やがて市場は単一の共通の交換手段に収集する。それこそが貨幣だ。メンガーの理論は、お金の進化は意図的な計画なしに起こるだけでなく、それには法制化も中央銀行も不要であることを示した。(391ページ、ディラン・エヴァンス

 カール・メンガー貨幣論(1892年)

本書は知の最前線にいる、149名の「美しい説明」は何か、への答えである。ディラン・エヴァンス氏はリスクマネジメント・意思決定のコンサルティング会社を経営。引用のタイトルは「お金の起源」。オーストリアの経済学者カール・メンガー(1840-1921)の理論から、貨幣は交換手段にすぎず、中央銀行が貨幣供給を独占する論理的根拠はないと結論づける。中央銀行と政府は単に民衆から貨幣で無利子ローンを独占して利益を得ていることになる。

政権が崩壊したソ連では闇市では貨幣の代わりにマルボロが使われ、最終的にはドルに置き換わったという。カール・メンガー貨幣論(1892年)は、市場適性の一番高いものが選ばれ、貨幣になるということを教えてくれる。それは国家の信用力に裏付けされた中央銀行券が使われる必然はない、のと同様である。貨幣とは何か、120年前に結論は出ている。

蛇足

貨幣は自然に発生する

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