毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

電卓とは何だったのか?~『ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』大西康之氏(2016)

ロケット・ササキ:ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正 大西氏はジャーナリスト、佐々木氏はシャープの技術トップとして半導体の開発競争を仕掛け続け、 日本を世界のエレクトロニクス産業の先頭へ導く。(2016) 電卓登場 激しい開発競争の中で、電…

いつまで金融業は儲かり続けられるか?~『 不確実な未来を生き抜くための「経済史」』増田悦佐氏(2015)

不確実な未来を生き抜くための「経済史」 (SB新書) 増田氏は証券アナリストの実務家、官製相場、株高、格差拡大……歴史が物語る「資本主義のカラクリ」!(2015) 20世紀はアメリカの金融業の時代 アメリカでハイテク・バブルが絶頂に達した2000年には、なん…

アメリカではキリスト教が影響力を持つ理由とは?~『熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教』松本佐保氏(2016)

熱狂する「神の国」アメリカ 大統領とキリスト教 (文春新書) 松本氏はバチカン近代史の研究家、キリスト教信者は大統領をどう選んできたか?(2016) アメリカと宗教 アメリカは、キリスト教以外の他宗教を軽視し、そのツケが現在のイスラーム国の台頭という…

~『なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』松村嘉浩氏(2016)

増補版 なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?――日本人が知らない本当の世界経済の授業 松村氏は国債のトレーダー(運用者)、なぜ、自分たちの生活が、親の世代のようにラクにならないのか?(2016) 世界は成長しない時代へ 世界システムの成…

革命は成功したか?~『新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき』Eバーグ×佐藤健志氏

新訳 フランス革命の省察―「保守主義の父」かく語りき 佐藤氏は評論家、フランス革命は、以後のあらゆる革命の基本になった。だが、その真実は何だったのか?(原書は1790年、新訳は2011年) 金融勢力 フランスの債務が膨れ上がるにつれて、金融を基盤とする…

誰がハイパーインフレの恐怖を煽ってきたか?~『日本を救ったリフレ派経済学』原田泰氏(2014)

日本を救ったリフレ派経済学 (日経プレミアシリーズ) 原田氏は”リフレ派”の論客の一人、「現実」を疑う人々が俗説を流し、国民の不安を煽り続ける。(2014) 金融緩和と銀行の利益の関係 日本銀行がインフレターゲット政策を採用し、消費者物価上昇率が2%ま…

あなたのゴールに導いてくれるカーナビがあったらいいと思いませんか?~『情報参謀』小口日出彦氏(2016)

<情報参謀 (講談社現代新書) p> 小口氏は情報分析と情報表現のコンサルタント、テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議が極秘裏に行われていた。(2016) 政治と情報 私が関与した政治情報分析の現場では、テレビ報道を中心に、日…

自画像画はどうやって生まれたか?~『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』S・ジョンソン氏(2016)

世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史 ジョンソン氏はノンフィクション作家、大発明に寄与したのは、ガリレオやエジソンといった偉人だけではない。多くの人が目の前にある問題に懸命に取り組むなかで予想外に生み出されてきたのだ。(2016) 1440…

思い立ったが吉日~『私はなぜ80歳でエベレストを目指すのか 』三浦雄一郎氏(2013)

私はなぜ80歳でエベレストを目指すのか (小学館101新書) 三浦雄一郎は冒険家・スキーヤー、70歳、75歳での登頂に続き、80歳にして3回目のエベレストを目指す。(2013) 80歳でエベレストを登るということ 私にとって、80歳でのエベレスト登頂は、今の人生を…

今まで存在した人類の総数は何人か?~『宇宙からみた生命史』小林憲正氏(2016)

宇宙からみた生命史 (ちくま新書) 小林氏はアストロバイオロジー(宇宙の視点から生命を研究)の研究家、生命の様々な可能性を考えるのには、もはや地球中心の思考を捨てなければならない。(2016) ヒトは地球を代表する生物か 宇宙から見た場合、地球を代…

戦争の目的とは何か?~『日本人だけが知らない「本当の世界史」』倉山満氏(2016)

日本人だけが知らない「本当の世界史」 (PHP文庫) 倉山氏は憲政史の研究家、ヨーロッパ公法にすぎない国際法とは何か?(2016) ウェストファリア条約 一つは(ローマ教皇および神聖ローマ)帝国からの主権国家の独立、二つは対等な主権国家の並立、三つは教…

クラシック音楽のクラシックの定義とは何か?~『138億年の音楽史』浦久俊彦氏(2016)

138億年の音楽史 (講談社現代新書) 浦久氏は作家、文化芸術プロデューサー、「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。(2016) クラシック音楽とは クラシック音楽のひとつの定義は、芸術となった音楽である。芸術であろうとした音楽といっ…

知っていれば命が助かる~『登山外来へようこそ』大城和恵氏(2016)

登山外来へようこそ (角川新書) 大城氏は日本人初の国際山岳医資格を取得、三浦雄一郎氏のエベレスト遠征隊にもチームドクターとして参加する著者による「登山者のための必須の知識」。 高山病 高所というと3000メートルや4000メートルという高い山をイメー…

フランス革命前と現代社会の社会構造に類似点はあるか?~『物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで 』安達正勝氏(2008)

物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書) 安達氏フランス文学・歴史の研究家、 1789年、市民によるバスチーユ襲撃によって始まったフランス革命は、「自由と平等」という光り輝く理想を掲げ、近代市民社会の出発点となった。(20…

アンシャン・レジームとは債権者のこと~『日本の今の問題は、すでに{世界史}が解決している。 』宇山卓栄氏(2015)

日本の今の問題は、すでに{世界史}が解決している。 宇山氏は予備校で世界史を担当、赤字国債を初め今日の問題は 「世界史」の中で繰り返し登場してきたテーマでもある。(2015) 1789年フランス革命前夜 18世紀末に起こったフランス革命は、国家財政が危機…

宮型霊柩車はどうしてあの様な意匠なのか?~『新版 霊柩車の誕生』井上章一氏(1987)

新版 霊柩車の誕生 (朝日選書) 井上氏は文筆業、本書が1987年の処女作、霊柩車はいつ誕生したのか? 大正4年(1915年)霊柩車の登場 大正期にはいり、葬列が衰弱していく。葬儀屋は、なんとかこの傾向を押しとどめようとするが、時勢はいかんともしがたい状…

”巨人の肩の上にのる”、ということ~『アインシュタインと相対性理論がよくわかる本』茂木健一郎氏(2016)

アインシュタインと相対性理論がよくわかる本 (PHP文庫) 茂木氏は脳科学、認知科学の研究者、20世紀最大の発見といわれる相対性理論は、どこが真に革命的だったのか? (単行は2009年、文庫は2016) ガリレオ ガリレオの発見で一番重要なのは、「ガリレオの相…

途上国と先進国、人間に根本的差はあるか?~『貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える』バナジ―氏×デュフロ氏(2012)

貧乏人の経済学 - もういちど貧困問題を根っこから考える バナジー氏とデュフロ氏はインドの貧困撲滅の研究者、「貧乏な人たちに耳を傾け、その選択の論理を理解」した新・開発経済学入門。(2012) 貧困の罠 所得や財産を急速に殖やす手立てが、ほとんど投…

今も世界は高度成長を続け、貧困者は減少している~『大脱出――健康、お金、格差の起原』A・ディートン氏(2014)

大脱出――健康、お金、格差の起原 ディートン氏はノーベル経済学賞を受賞した、経済成長論の研究家。 成長と健康の関係を丹念に分析することで、格差の背後にあるメカニズムを解き明かす。(2014) 経済成長の基盤は何か? (経済学者で人口統計学者の)サイモ…

銀行は成長企業と業績不振企業、どちらに時間をかけるべきか?~『捨てられる銀行』橋本卓典氏(2016)

捨てられる銀行 (講談社現代新書) 橋本氏は共同通信社の経済記者、「金融検査マニュアル」は廃止、地域の顧客にリスクをとれない銀行は消滅する! (2016) 金融監督庁とは? かつては8%超(実質は10%超とも言われる)の不良債権比率が1~2%台程度まで落ち…