毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

探検家の資質、それは世に問う勇気~『 日常を探検に変える――ナチュラル・エクスプローラーのすすめ』T・グーリー氏(2016)

日常を探検に変える――ナチュラル・エクスプローラーのすすめ グーリー氏は空と海で大西洋単独横断をした経験を持つ探検家、 古の探検家たちは道を行く途上で何に注意を払っていたのか、その視点の先をたどりつつ、身近な自然のなかで意識を開く技法を説く。 …

あなたのコミュニュケーションは知らずに乱暴になってる?~『 14歳の子を持つ親たちへ』内田樹氏×名越康文氏(2005)

14歳の子を持つ親たちへ (新潮新書) 思春期の子どもたちと日々向き合う精神科医と、「成熟」や「学び」について考えつづける仏文学者が徹底的に語り合う。(2005) 問題は親の方 子どもは色々とシグナルを発信しているのに、母親がそれをほとんどシステマチ…

日本で資本主義始まったとき~『資本論に学ぶ』宇野弘蔵(1975年刊行、2015年文庫化)

佐藤氏の「資本主義の極意」を読み、宇野弘蔵のマルクス経済に興味を持つ。 資本論に学ぶ (ちくま学芸文庫) 本書は宇野弘蔵の講演や対談などをまとめたもの。1975年出版、2015年文庫化 宇野 弘蔵(1897 - 1977)は、日本のマルクス経済学者。唯物史観や社会…

近代化はいつ始まったのか?~『近代化の理論 』富永健一氏(1996)

近代化の理論 (講談社学術文庫) 富永氏は社会学の研究家、多面的に「近代化」をとりあげ、その起源を小封建領主割拠の中世から国民国家に統合された西洋の歴史に求める。(1996) 近代化 西洋史上での近代化はルネサンスと宗教改革と地理上の発見に始まった…

本にどうして値段が付いているのか?~『 街場のメディア論 』内田樹氏(2016)

街場のメディア論 (光文社新書) 内田氏はフランス思想史の研究家、評論家、僕は自分の書くものを、沈黙交易の場に「ほい」と置かれた「なんだかよくわからないもの」に類すると思っています。(2010) どうして書物には値段がついているのか? 原理的に言え…

我々のビジネスは系統図のどこに存在するか?~『 系統樹思考の世界』三中信宏氏(2006)

系統樹思考の世界 (講談社現代新書) 三中氏は進化生物学、生物統計学の研究家、系統樹思考とは何か?(2006) ダーウィンが提示した起源 生物は進化するという認識が根付くにつれて、「起源」という問題意識がしだいに強まってきました。いま見られる生物は…

ブランドを作るのはお客様~『 成城石井の創業』石井良明氏(2016)

成城石井の創業 石井氏は成城石井の創業者、「一番良い商品」を効率よく。成城石井ブランドを育てたエレガントで合理的な経営の秘密。(2016) 成城石井とは スーパーマーケットのルイ・ヴィトン―かつて英国の新聞記者が、成城石井を評してこう言ったことが…

リーダーは本気で働いているか?~『デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論』D・アトキンソン氏(2016)

デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論 アトキンソン氏は現在日本で実際に会社経営に従事、先進国最下位の生産性と言われて、悔しくないですか。(2016) 日本経済は本当に強いのか? 日本は、一見すると素晴らしい成果を上げているように見えます。たと…

お金持ちとはどういう人か?~『行ったり来たり 僕の札束』高須克弥氏(2016)

行ったり来たり 僕の札束: 日本一有名な整形外科医が初めて語る医者とカネ 「高須クリニック」はまだ美容整形が認知されない中で40年前に開業され、二重まぶた手術・脂肪吸引など、数々のブームを巻き起こしてきました。(2016) 美容整形 日の当たる表通り…

PPAPとあんパン、メロンパン、カレーパンの共通項~『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』阿古真理氏(2016)

なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか―パンと日本人の150年 (NHK出版新書 501) 阿古氏は生活史研究家、 日本人お得意の「和洋折衷」力で世界をうならせるほど一大進化を遂げたパン文化。(2016) あんパンが菓子パンの元祖 あんパンは、考えてみれば…

なぜUFOが話題にならなくなったのか?~『UFOとポストモダン』木原善彦(2006)

UFOとポストモダン (平凡社新書) 木原氏は現代アメリカ文学の研究者、 初期の宇宙人は優れた科学を持つ金髪の白人だったが、灰色の肌をした吊り上がった目の邪悪なものへと姿を変え、ポストモダンの時代には節足動物や昆虫になってしまった。これはいったい…

聖地を創る方法はあるか?~『聖地の想像力―なぜ人は聖地をめざすのか 』植島啓司氏(2000)

聖地の想像力―なぜ人は聖地をめざすのか (集英社新書) 植島氏は宗教人類学の研究家、宗教が変わり、国家が替わっても、聖地の場所は変わらない。なぜ聖地は何千年も移動せず、人は聖地をめざすのか?(2000) エルサレムという聖地 エルサレムというのは、ユ…

過去・現在・未来を行き来する方法~『死なないつもり 』横尾忠則氏(2016)

死なないつもり (ポプラ新書) 「完璧をめざすのではなく、あえて未完にする。未完は明日に続くものだから」――たえず自らに変化を求めることで新たな創作を切り拓いてきた。 今年80歳を迎えて語る、創作について、人生について。(2016) 過去・現在・未来を…

世の中にはインパクトはあるが意味のない議論で溢れている~『ウンコな議論』H・G・フランクファート氏(2016)

ウンコな議論 (ちくま学芸文庫) フランクファートは道徳哲学の研究家、ごまかし、でまかせ、いいのがれ。なぜ世の中、こんなものがみちるのか。道徳哲学の泰斗がその正体とカラクリを解く。(原書は2005、文庫化は2016) 哲学者ウィトゲンシュタインと女友達…

100年前、オスマン帝国は対外債務に押しつぶされた~『オリエント世界はなぜ崩壊したか』宮田律氏(2016)

オリエント世界はなぜ崩壊したか: 異形化する「イスラム」と忘れられた「共存」の叡智 (新潮選書) 宮田氏は現代イスラム社会の研究家、中東100年では100年前、何があったのか? オスマン商業の発展 オスマン帝国の拠点であるアナトリアは東アジア、インド中…

我々が欲している「間主体的な欲望」とは?~『動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 』東 浩紀氏(2011)

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書) 東氏は批評家、2001年当時「オタクから見た日本社会」であったが、いまでは「オタク」という言葉をつける必要がなくなっている。(2001) 動物化とは 欲求とは、特定の対象をもち。それとの…

世界は未知と驚きに満ちている~『未知との遭遇【完全版】』佐々木敦氏(2016)

未知との遭遇【完全版】 (星海社新書) 佐々木氏は批評家、 我々は一度きりの生を、いかに肯定すべきだろうか?(2016) 未知とは何か? 「まだ起こっていないこと」「まだ知らないこと」「まだ出会っていないこと」は、要するに「未知」です。「未知なるもの…

本当に欲しいものは何か?~『きみと地球を幸せにする方法』植島啓司氏

きみと地球を幸せにする方法 (知のトレッキング叢書) 植島氏は宗教人類学の研究家、これからの理想的な生き方、社会のあり方を想像する。(2016) 望ましい地球の姿・・・この地球がどうなればもっとも好ましいか考えてみよう。そのためにはまず自然と人工と…

19歳の女性が教えてくれる、格好悪い大人~『南谷真鈴 冒険の書』南谷真鈴氏(2016)

南谷真鈴 冒険の書 LIVING WITH ADVENTURE 英訳付 日本人最年少でのエベレスト登頂、七大陸最高峰登頂を達成、そして、南極・北極・世界最高峰三極点到達をめざしている19歳の現役女子大学生、南谷真鈴さん。(2016) 私がやるべきは山 12歳のとき、ネパール…

武士は天下泰平250年間何をしていたか?~『げんきな日本論』橋爪大三郎氏×大澤真幸氏(2016)

げんきな日本論 (講談社現代新書) 歴史上の出来事の本質を、社会学の方法で掘り下げる。(2016) 江戸時代250年とは何か? この(徳川幕府)は長く持っているけれど実は根本的なウィークポイントがあった気がします。・・・安定しているがゆえの、幕藩体制の…