ブランドを作るのはお客様~『 成城石井の創業』石井良明氏(2016)
石井氏は成城石井の創業者、「一番良い商品」を効率よく。成城石井ブランドを育てたエレガントで合理的な経営の秘密。(2016)
成城石井とは
スーパーマーケットのルイ・ヴィトン―かつて英国の新聞記者が、成城石井を評してこう言ったことがあります。・・・成城石井が食料品という分野で「いつ行っても質も味も良い商品ばかりが置いてあり、お客さまの期待を決して裏切らない」という信頼を得たのは、大変名誉なことだと誇らしく思ったものです。・・・東京の成城という小さな街で生まれた小さなスーパーマーケットは、さまざまな試みを経て成長していく過程で商品がギフトとしても重宝され、その包装紙は成城の街で、有名百貨店以上に喜ばれるブランドとして機能するようのいなっていきました。(6ページ)
1976年、1号店のコンセプトを決める
スーパーマーケットは、さまざまな商品を1か所で購入できるワンストップショッピングです。・・・したがって、スーパーマーケットの方も、お客様が求めるレベルをすべてクリアするよう、あらゆる商品の質を同じにそろえる必要があります。(66ページ)
私が作ろうとした新店は、85坪です。・・・考えたのは成城で隣接する400坪の大型スーパーである)Odakyu OXに売っていないものを成城石井で置き、両方の店で1店分の品揃えができれば良いということです。競合するのではなく、共存する方向性でした。(68ページ)
成城という名前の由来は成城学園という学校から来ていますが、その名の通り学園都市として発展してきた歴史がありますから、雰囲気も知的で文化的な色合いを帯びていました。・・・スーパーマーケットにするにあたり、こうした成城という街の特性をよく見極めながら、住まう人のニーズを満たす店にしようと考える過程で、コンセプトは定まっていきました。求めるのは、品質です。思い切って普通の商品を捨て、品質の良いものだけを扱うことにしました。成城石井というスーパーマーケットは、こうしてその性格を決めたのです。(69ページ)
ブランドとは
究極には、扱う商品すべてがお客様を満足させる本物だったからだと思います。クォリティの高い商品を揃えるということを至上目標にし、それを少しでも安く提供しようというコンセプトを貫き続け、努力に努力を重ねてきたことが、ブランドを築き上げたのだと思います。(7ページ)
成城石井の創業
石井氏は1976年スーパーマーケットを営業開始、2004年健康問題から退任する時には30店舗を超えるまでに成長した。成城石井の特徴は、競合を含めた環境との共存、高級品に絞った商品展開に集約される。これを30年に渡って続け、客様が認めたからブランドになった。「ブランドを作るのはお客様」(6ページ)なのである。
本書では随所に先輩企業、専門家、コンサルタントとの交流によってビジネスを充実させてきた経緯が記される。これは、石井氏が最初に明確にコンセプトを決めたからこそ活用できた、と実感する。他者の経験、情報、ノウハウは積極的に聴き、コンセプトに即して自分で展開する。コンセプトに揺らぎがないからこそ、全ては師となれる。
蛇足
成城石井、コンセプトに合った抜群のネーミング
こちらもどうぞ