ルイ ヴィトンが教えてくれる、ビジネスの構造~『ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る』B・アルノー氏(2003)
ルイ・ヴィトンを筆頭に50以上の世界ブランドを束ねるブランド帝国「LVMH」グループ。その総裁ベルナール・アルノーがはじめて語る、ブランドビジネスの真髄。(2003)
LVMH、誰もが入りたがる会社
1984年に私がこのプロジェクトを立ち上げてから、ブランドのグループ化は業界全体の動向となりました。最大のメリットは、優れた人材をリクルートできる点ですが、これは単一ブランドに頼る中小企業では困難なことです。経営陣が独裁に陥りやすく、昇進の可能性も限定されるからです。優良企業はみなそうですが、我々が成功できたのも有能な人材が集まったからです。世界でも超一流のブランドを所有する多角的企業だからこそ、若い人を引き付けることができるのです。素晴らしい未来が開けているから、誰もが当社に入りたがるのです。(41ページ)
本物のスターブランド
私の考えでは、高級ブランド品産業で企業グループが成り立つには、中核となる「本物のスターブランド」が必要です。このようなブランドは、永続性、強力なキャッシュフロー、長期に渡る安定成長、という3つの条件を満たしていなければなりません。世界でもこの条件を満たしているブランドは数えるほどです。カルティエ、ルイ・ヴィトン、ドン ペリニヨンぐらいでしょうか。(107ページ)
LVMHはグループ経営
LVMHは傘下企業の経営者の多くを直ちに信頼します。確かにLMMHは各社の目標を管理しますが、達成のための支援を惜しみません。現在、グループは41社で構成されていますが、それぞれが独立した企業体です。将来、45社になっても、50社になってものこのシステムは変わらないでしょう。(60ページ)
創作の分野は経営、マーケティングと切り離されている。
デザイナーを選ぶのは、いつでも難しい選択です。才能あるデザイナーを迎えても、それで事業がうまくいくとは限りません。そんな単純なことではないのです。ブランドの歴史や精神にふさわしい才能、アイデア、人間性を持つ人材を見つけなければなりません。…(LVMHが選んだデザイナーは)いずれもモードの改革者であり、発明家であり、真の芸術家です。彼らの本業がマーケティングに左右されない、純粋な創作活動であることはいうまでもないでしょう。マーケティングを気にするデザイナーは、いかに才能があっても、ブランドに寄与する作品は作れません。ブランドに革新性をもたらすには、本物のクリエータ―が必要なのです。(100ページ)
デューティーフリーショッパーズもLVMHグループ
DFSは高級ブランド品を東南アジアで売りだすには最適な拠点を持っており、LVMHに限らずあらゆる高級ブランドを扱っています。(116ページ)
LVMHグループとは
LVMHグループはアルナー氏が1984年に国営繊維企業ブサックを買収したことを出発点にする。ブサック傘下にはクリスチャン・ディオールがあり、これを中心にブランドを買収していく。1987年にはルイ ヴィトン、とモエ ヘネシー社を合併して取り込み成長を加速させる。
60を超えるブランドの一大帝国となっている。各ブランドはグループの中で会社として独立、創造性の分野では経営・マーケティングとは切り離された運営が行われている。一方経営・マーケティングの分野ではコストダウンなど、グループの共同化のメリットを追求している。DFSを傘下に持ち、特にアジアにおける直販体制を確保した理由が理解できる。
LVMH社の2015年売上規模は3兆円!、フランスにはLVMH社以外にもリシュモン、毛リングという総合ブランド企業がある。
LVMHが存続し続けられるのは各ブランドの創造性の確保と、経営・営業の分野においては徹底した管理に行きつく。最後はこれらを実現できる人材を如何に集められるか、LVMHはすべてのビジネスの持つ構造、会社の存在意義、を明快に説明してくれる。すべてのビジネスにはブランドが必要
蛇足
ルイ ヴィトンの設立は1854年!
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