毎日進化すれば、1番になれる~『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』三木雄信氏
孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA―――終わらない仕事がすっきり片づく超スピード仕事術
三木氏はソフトバンク社長室長を経て、事業化として独立。孫正義社長のどんなむちゃぶりにも答えるために必要だったのが、超スピードで、かつ確実に成果を出すPDCAでした。
パラソル~ソフトバンクがYahoo!BBを始めたとき
街頭でモデムを配る手法は、社内で「パラソル」と呼ばれていました。
商店街やショッピングモール、駅前などの一画になる3坪程度の空スペースを借り、パラソルを立てて簡易的な販売所を作り、その近辺でどんどんモデムを配る。だから「パラソル」というわけです。(119ページ)
ありとあらゆる方法を試す
販売を委託する代理店も1社や2社ではなく、何十社も試しました。どこの代理店が高い結果を出すか、実際にやってみないとわからないからです。
パラソルを展開した場所やエリアも、通常のキャンペーンでは考えられない規模でした。
商店街の空き店舗やスーパーマーケットの駐車場の一画、駅前や公園のフリースペースまで、それこそ「日本全国の北から南まで、借りられる場所はすべて押さえろ!」という勢いでした。トータルでは何千か所に上がったはずです。
とにかく、少しでも結果につながりそうなものがあれば、数も場所も広げて大々的に横展開するというのが孫社長の考えでした。(184ページ)
パラソルはまるっきり冒険ではなかった
なぜ「パラソル」を孫社長が考えついたかというと、すでに他の業界では効果が立証されていたからです。
衛星放送の「スカパー!」がサービスを始めた頃、実はソフトバンクがチューナーの販売を請け負っていました。そのとき、「パラソル」が成功したのです。(121ページ)
孫社長の仕事の特徴
・目標へのこだわり」が異常に強い
・目標を達成するために、「ありとあらゆる方法」を試している
・「数字で厳密に」試した方法を検証している
・「常にいい方法」がないかと探っている
そう、PDCAを忠実に仕事にしているのです。(8ページ)
懐かしい!出典:日本経済新聞電子版2013.12.20
ソフトバンクはヤフーBB!を2000年に開始した。ソフトウェアの流通業・出版事業で業績を伸ばしてきたが、バブル崩壊やソフトウェアの直販の高まりによって成長が鈍化していた。その次の成長として選択したのが通信業界、その第一歩としてADSL事業を選択した。当時ADSL事業は通信速度が安定しない、NTTから回線を借りる必要がある、といった点から通信業界では異端視されていた事業であった。事業のコアも非常識なら販売方法も非常識、さらに2000年から2004年までソフトバンクは4期連続赤字という巨額の投資を行いADSL事業の成立の為に「ありとあらゆる方法」を試していた。
当時のソフトバンクの社長室長だった三木氏は、孫氏の凄さがPDCAを1日単位で実践していたことだったと説明する。2000年当時、私は「パラソル」によるADSLモデムの拡販を、冷ややかな眼で見ていた。派手なことをやって勝算があるのか?と。派手な「パラソル」は実は過去に成功事例があり、PDCAを使って「パラソル」を日々洗練させていた。極めて綿密な計画があったのである。PDCAの基本は①毎日できる、②具体的なアクションである、ことであるという。毎日進化させれば必ずNO1になれる。4期連続し赤字になった5年後の2005年、売上は倍以上の1兆円を突破した。
蛇足
ADSL事業は、固定電話(日本テレコム買収)、携帯電話(ボーダフォン買収)と繋がっていく
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