毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

世界最初のパーソナルコンピュータは何年前に発売されたか?~1974年、PCは「おたく」の世界だった!

<エピソードでたどるパソコン誕生の謎

岸野氏は半導体が専門、「多くの電子技術はパソコンが世に出る鍵になった。マイクロプロセッサの開発もその一つだ。これなしに現在のパソコン、ケータイ、コンピュータ、そして、インターネットはあり得ない。」

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169ページ、アルテラの広告"Worl's First Minicomputer Kit"
1974年アルテラ8800誕生

ロバーツは、インテルがマイクロプロセッサを発売するというニュースを聞きつけたのでのです。1974年のことでした。マイクロプロセッサはコンピュータの心臓部をICチップに埋め込んだものでした。ロバーツはこのマイクロプロセッサを使えば、おもちゃのコンピュータ、つまりコンピュータ・キットができるのではないかと気づいたのです。マイクロプロセッサは演算・記憶・制御の三機能が備わっていました、これさえあれば、当時の大型コンピュータのようなものでなくても、それに似たおもちゃのコンピュータ・キットくらないなら簡単に作れると考えたのです。

コンピュータ・マニア雑誌、「ポピュラーエレクトロニクス」に広告掲載

ロバーツはこのコンピュータ・キットを写真付で掲載したのです。しかもタイトルは“世界初のコンピュータ・キット「アルテラ8800」完成”としたのです。この宣伝によってロバーツの作ったこのコンピュータ・キットは誕生早々からすごい人気になったのです。

価格は397$、インテルi8080を搭載

ロバーツは「アルテラ8800」の値段をできるだけ安くしようということで、思い切って397$にしたそうです。当時インテルは、その時に新しく開発していた最新の8ビットのマイクロプロセッサi8080を1個350$で発売していた。ロバーツはマイクロプロセッサの仕入れ値段の値引きをインテル社に掛け合ったのです。交渉の結果、驚いたことにロバーツはマイクロプロセッサ1個の値段を75$に下げさせることに成功したのです。インテル社にも事情があり、このマイクロプロセッサを購入するお客はコンピュータのメーカなど特殊な顧客しかいなかったのです。

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以上169~175ページより抜粋、再構成したもの。

 

Alteraが引き起こしたpersonal computerという自己表現の手段

Alteraによって触発された多くの“ハッカー”(電子オタク)の中にはその後有名人が沢山いる。著者は以下の4名の名前を挙げる。

 

スティーブ・ウォズニアック1950(ヒューレットパッカードに勤務、Apple1を設計)

スティーブ・ジョブズ1955(ウォズニアックと一緒にApple社を創業)

ビル・ゲイツ1955、ポール・アレン1953(Altera用BASICソフトを開発・販売)

 

1974年アルテラ発売当時、ビル・ゲイツは19歳、ウォズニアックが最年長(!)で24歳。私が思うにAlteraは若きハッカー達にpersonal computerという自己表現の手段を提供した。「マイクロプロセッサさえあれば簡単にpersonal computerは出来るじゃないか」、今となっては当たり前のこと。Macの発売が1984年、ビジネスでの本格的成功はそれから10年以上先である。

蛇足

Personal Computerは個人の自己表現の為に生まれた。