毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ヒッグス粒子 子供に説明できる!

ヒッグス粒子素粒子のうち唯一、未発見だった最後の粒子。1964年(!)、ヒッグス氏はこの粒子の存在を予言し、アングレール氏は物質に質量が生じる仕組みを説明する理論を発表。

理論を支持するデータをどうやって見つけたか?

どうして未発見だったかというと空間にぎっちり詰まっていて簡単には取り出せない。大型の加速器を欧州に作って2008年から稼動、1兆円とも言われるコストをかけて観測に成功したものである。この装置にはハードウェアの精緻なコントロールと、膨大なデータを解析するソフト技術が必要である。1964年の仮説を50年かけてデータを取り出したという事である。

ヒッグス粒子のモデリング画像

ヒッグス粒子をどうやって説明するか?この画像「ヒッグス粒子(Higgs boson) 簡単に説明」で一目瞭然。http://www.youtube.com/watch?v=juAYqk7YIjg

ビーズの玉は「すごく大きな空間にぎっしり詰まっていてビーズを1個取り出すと全体に影響してしまう」と説明すれば取り出すのが難しいという事が理解できるかもしれない。それがわかると「なおさら」加速器で膨大なコストをかけてビーズを取り出した意味が実感できる。

仮説があったから検証できた。

竹内氏は猫好きの科学作家。このヒッグス粒子の発見も仮説があったから観察を始めた事である。「古い仮説を倒す事ができるのは、その古い仮説の存在に気づいていて、その上で新しい仮説を考える事ができる人だけなのです。いうなれば演繹法はこの条件を満たした人しか使ってはいけない方法なのです。」(93ページ)