毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

アルマ望遠鏡 次は生命の素を発見する!

10月13日の報道によればわし座の方向にある誕生直後の恒星を取り巻くガス雲を、日米欧が南米チリに建設した電波望遠鏡群「アルマ」で観測したところ、太陽ぐらいの恒星が生まれる場合に比べ、ガス雲が巨大で、短期間に温かくなり始めていることが分かった。恒星の赤ちゃんが複数誕生した可能性があるという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131013-00000039-jij-sctch

アルマ望遠鏡

アルマ望遠鏡を使って、(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計:Atacama Large Millimeter/submillimeter Array =『ALMA』)は、南米のチリ共和国北部にある、アタカマ砂漠の標高約5000メートルの高原にある。2012年から稼働している。直径12メートル54台と直径7メートル12台のパラボラアンテナを動かして、直径18.5km(!)の電波望遠鏡に相当する空間分解能(=視力)を得ることができ、ミリ波・サブミリ波領域では世界最高の感度と分解能を備えた望遠鏡だそうである。アルマ望遠鏡の研究テーマは①宇宙誕生直後の姿を観測する、②太陽系や惑星はどうやって生まれるか、③暗黒星雲に生命の素が存在するのではないか?、が挙げられている。

http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/aboutalma/outline/06.html

 

宇宙生物学で読み解く「人体」の不思議 (講談社現代新書)

私が宇宙生物学と医学を結びつけて考えるようになったキッカケは、自らの経歴にありました。私自身は宇宙生物学の研究に携った後、一年発起して医学部に再入学し医師になりました。だから、宇宙生物学の知識を基盤にして医学を学ぶことは、私にとっては自然の成り行きだったのです。(4ページ)

暗黒星雲におけるアミノ酸の発見です。宇宙には、高密度のガスや塵がだだよう暗黒星雲と呼ばれる領域があります。(中略)しかし、目に見える可視光線より波長の長いマイクロ波と呼ばれる電波は、塵をかいくぐる性質があるので、暗黒星雲からも飛んできます、それをパラボラアンテナで受信し周波数を調べると、暗黒星雲に何があるのかがわかるのです。暗黒星雲は、生命のゆりかごとも呼ばれ、生命の元となる物質が数多く生み出される舞台となっているのではないかと注目されています。既に、水、一酸化炭素、アンモニア、ホルムアルデヒドメチルアルコール、青酸、など生命誕生につながる可能性のある物質が次々に見つかっています。(65ページ)

アミノ酸

生命は「アミノ酸を組み合わせて作られた精密機械」とすると暗黒星雲の観測により極めて高い確度でアミノ酸は発見される。これにより広大な宇宙に孤立して漂う地球というイメージから、生命の素にあふれた宇宙空間に存在する地球、に劇的に変化する事になる。今後の成果が楽しみだ。

 

吉田氏は本書で、月と人体との関係、有機化合物が人体の主たる構成を果たしている理由、人類にのみ癌が多い理由、鉄と病気との関係、など興味深いテーマについて触れており知的好奇心を刺激する。

蛇足

アルマ望遠鏡1,000億円の予算のうち、日本および台湾で300億円を負担している。