毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

地球上で一番繁栄している知的生命体は何か?~『植物は<知性>をもっている―20の感覚で思考する生命システム』

植物は<知性>をもっている―20の感覚で思考する生命システム

マンクーゾ氏は植物ニューバイオロジーの研究家、植物は、人間と同じく“予測"し、“学習"し、“記憶"し、仲間どうしで“コミュニケーション"をとっている。

 

 

植物なしでは生きられない

地球上の生物量(バイオマス)のうち、動物と植物のそれをとりだすと、植物は99.5%以上を占めている。つまり、地球上で生きている多細胞生物の総重量を100とすると、多少の変動はあるが、植物の総重量はそのうち99.5~99.9にあたるということだ。逆にいえば、すべての多細胞生物に対して、動物は、人間も含めて、ごくわずかな割合しか占めていない。

植物はモジュール構造

動物と違い、植物は生まれた場所から移動しない生物であり、地面に根を張って生きている。そんな状態で生き延びるために、植物は、動物とは異なる方法で栄養を摂取し、繁殖し、世界に広がっていけるように進化してきた。さらに、外的からの攻撃に対処するために、モジュール構造の体を作り上げてきた。この構造のおかげで、動物に体の一部を奪われても(たとえば、草食動物に葉や茎を食べられても)たいした問題にはならない。植物の体には、脳、心臓、肺、胃などに個々の器官が存在しない。そうした器官をもっていたら(草食動物によって)被害にあったり食べられたりした場合に、個体の生存が危険にさらされることになるからだ。植物のどの部分も、絶対に必要不可欠というものではない。植物の体は、たいてい必要以上の量の同じモジュール(部品)が集まってできている。(164ページ)

植物に知性はあるか?

植物の場合、認知と身体機能は切り離らせておらず、個々の細胞すべてと結びついている。つまり植物はAI技術者たちが「身体化したエージェント」(自分自身の物理的な身体を通して、世界と相互作用を行う知的な動作体(エージェント)と呼ぶものの生きた例なのだ。…進化を通じて、植物は個々の器官に機能を集中させずに、体全体に機能を分散させたモジュール構造の体を作り上げてきた。…(脳などの器官がなくても)、それらの各器官が動物において果たしている機能すべてを、植物もきちんと果たすことができる。それなら脳がないからといって、どうして植物に知性があってはいけないといえるのだろうか?

エイリアンはすぐそばにいる

知的なエイリアンとコンタクトすることになったとき、いったい何が起こるだろうか?はたして私たちは、コミュニケーションうんぬんの前に、エイリアンの知性を理解できるだろうか?おそらくできないだろう。…私たち人間は、進化の歴史の大部分をともに分かち合っている(細胞の活動も、生きる環境も、生きるための必要物も、たいして変わらない)植物の知性さえ認めることができないというのに、まったく異質なエイリアンの知性を認識することなどできるはずもない。…私たちが植物の知性を異様なものとしてとらえるのは、人間より動きがのろく、人間に備わっているような個々の器官を欠いているためだ。(192ページ)

知性とは何か?

 

本書で著者は「知性とは問題を解決する能力」であると定義する。著者は一貫して植物は感覚も知性もあると言う。植物は人間のように感覚器や脳を持たないだけで、植物全体のモジュールでこれら機能を司っていることになる。

人類は地球全体のバイオマスの99.5%を占める植物を、本当に知的生命体として認識できないのであろうか?宇宙からエイリアンがやってきて、植物とはコミュニケーションできるが我々とはコミュニケーションどころか存在すら認識できない、そんなこともあり得ると考えた。そもそも宇宙人にとっては植物の方がバイオマスから考えて、繁栄していると見えるであろう。

蛇足

 

植物は人間を利用して繁栄している!

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