毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

アストロバイオロジ-  ウィルスの視点から

生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門 (文春新書 930)

松井氏は長く地球物理学を研究してきた。本書はアストロバイオロジ-についてまとめ

ているが,その中でウィルスについてに絞る。

ウィルスの位置づけ

宇宙において生命の存在が確認されているのは唯一ですから、N=1ということです。Nは宇宙における生命の存在数で、生命は地球にしか存在しないという意味です。(中略)N=2の例を見つけられれば、全ての問題を解決する突破口 になる可能性があるということです。(中略)ウィルスの存在は、ひょっとするとN=1.5に相当するのかもしれません。(36ページ)

 

ウィルスの構造

カプシドという正二十面体 の形を持ちタンパク質で出来ている外殻部分とその中 に入るDNA(又は RNA)を持っている。氏はカプシドが「正二十面体 をしており物理的に作りやすい」ので生命の本質の一つである細胞膜に比べ、形成のプロセスが解明し易くその結果としてN=1.5となる可能性を指摘 、ここに注目している。

 

生物進化とウィルス

ダーウィンの自然淘汰説、分子進化の中立説は親から子へ垂直方向の伝播であるのに対しウィルスが生物種の中で遺伝子レベルで 水平方向に伝播する役割があるのではと説明する。ヒトゲノムの1.5%が機能遺伝子であり、その残りの部分にウィルスから生まれた  何らかの遺伝情報が詰まっている可能性が指摘されいてる。(228ページ)

 

ウィルスとは

我々はウィルスを病気の原因としてとらえるのが普通であろう。あるいはコンピュータとの関連から悪意を持ったプログラム=情報をイメージする。しかしながら今や ウィルスが地球外由来の可能性、生物の進化に影響を与えている可能性、が学問(アストロバイオロジ-)の研究対象となっていることをまずは認識すべきである。