毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

虚実皮膜という言葉を知っていますか?~『いずれ老いていく僕たちを100年活躍させるための先端VRガイド』廣瀬通孝氏(2016)

 (星海社新書)

 廣瀬氏は機械情報学、VR(バーチャルリアリティ)の研究者、VRでどうやって世界を変えるか?(2016) 

VRによって何が実現できるか?

VRはバーチャルな世界を作る技術です。世界は空間と時間からなります。言い方をかえれば、空間と時間を自由に行き来することができる技術なのです。感覚を変えるということも、VRにできることの一つです。見方を変化させて気分を変えたり、新しい身体感覚を手に入れることです。(32ページ)

VRの新しい役割、感覚の拡張

たとえば震災のとき、津波が来たらどうなるか・・・・VR技術を使ってこれを疑似体験しておけば、リアルな実感として、津波の恐怖がわかります。これが感覚の「可視化」です。・・・VRでは感覚のみならる、情動も拡張したり、ある程度操作したりすることが可能です。(38ページ)

完全コピーでは意味がない

VRの空間をどんどんリアルに近づけていくと、途端につならなくなってしまうのです。それもそのはずで、リアルはもうすでにあるので、完璧なコピーを目指しても意味がないのです。・・・VRが実社会の完全コピーになると、実世界の問題がそのまま残ってしまいます。・・・目の前に存在している現実そのままでは絶対に解けない問題が、バーチャルな世界に持ち込むことで解け、しかもそれはウソであってはいけないし、現実そのものでもあってはいけない・・・(68ページ)

現実世界の制約条件

現実世界の制約の一つは、物理法則です。物理法則を決めたのが神様かどうかはわかりませんが、僕たち人間がそれを勝手に変えることはできません。一方、法律や政治制度などは人工的な仕組みです。人間が作ったものですから、こちらは不都合があれば変えるkとおができます。(128ページ)

VRの意義とは

VRの意義はこの「現実では解けない問題を解く」というところにあると、僕は考えています。(24ページ)

虚実皮膜

著者は虚実皮膜という言葉でVRを説明する。虚実皮膜とは「芸は実と虚の境の微妙なところにあること。事実と虚構との微妙な境界に芸術の真実があるとする論。江戸時代、近松門左衛門が唱えたとされる芸術論。(goo辞書)芸術の本質とは虚と実の間に存在するのと同様、VRも「ある部分はとてもリアリスティックで、ある部分は意図的に変えてある」ことが大事だと説く。

我々は物理の法則から逃れることはできない。VRにおいて物理の法則を排除することは簡単である。それではそのVRによって我々は何かの問題解決を行うことができるであろうか?作り手に求められていることは、リアルな社会をどの様に変えて問題解決をするか、、という覚悟である。

芸術が世界の変化を先取りするのであれば、虚実皮膜の持つ意味は世界に拡張される

蛇足

世界には問題が常にある、

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