毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして会社が存在するのか ? ノーベル経済学受賞者に学ぶ、会社の、自分の仕事の、存在意義~『企業・市場・法』R・H・コース(1936)

企業・市場・法

企業がなぜ存在するか?当たり前過ぎて答えに苦労する。大きな資本が要るから、ブランドがあるから、技術を持っているから、などなど。コースは「企業は価格メカニズムをより効率的に利用する」故に存在すると言った。1991年ノーベル経済学賞を受賞。

 

企業の本質

 

市場が機能するには、何らかの費用が発生する。そして組織を形成し、資源の指示監督を、ある権限を持つ人(「企業家」)に与えることによって、市場利用の費用を何程か節約することができる。企業家がその機能を果たすに当たっては、企業家は自らがそれにとって代わった市場での取引よりは低い価格で生産要素を入手できるという点を考慮にいれると、より低い費用でその機能を果たさなければならない。(45ページ)

市場利用の費用とは~情報のコスト

 

 生産を、価格メカニズムを通じて「組織する」ことにともなう費用のうち明白なものは、関連する諸費用を見つけ出すための費用である。この費用は、この情報を販売する専門家が現れることによって削減されようが、完全になくなってしまうわけではない(44ページ)

企業は情報コストを節減する為に存在している

 

価格メカニズムとは価格の提示する情報である。「企業は価格メカニズムをより効率的に利用する」為に情報の取引コストを低下させなければならない。逆に言えば情報の取引コストがゼロになれば企業は存在し得ない事になる。

ITが価格の持つ流通コストを著しく低下させた事は実感できるであろう。我々はwebで簡単に価格比較サイトで最安値を知る事が出来る。

一方、企業が高コスト体質になっていくは情報の取引コストが上昇してしまっている事があろう。要は顧客・仕入先・内部からの情報を効率的に入手出来なくなってしまうのである。これは業績不振となった企業の情報が伝わった場合一気に信用不安に直面する事でも分かる。信用不安を持った企業は情報の取引コストが急上昇するのである。

情報の効率性という概念

 

自分の会社は情報を吸収する能力に優れているか?自分は情報を入手しアウトプットする能力が優れているのか?ITインフラの整った現在企業でも個人でも、情報を効率的に扱える者が求められている事に気づく。

情報を効率的に扱う為に必要なのは、企業のポジショニングであり、ブランドであり、大規模設備であり、取引先との安定的関係であり、様々であろう。この視点に立つと組織とは情報収集を分業化している事である。そして人は情報を効率的に流通させる事が求められている。

本書は1937年に執筆。約80年前の経済学の論文は思考実験によりIT時代を予見していた。

蛇足

勝ち組の○○はどうして情報コストが低いのか?

こちらもどうぞ

 

情報の持つ意味、世の中を理解しておく為に最も重要な情報 - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ