毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

無くなりつつあるマッチ棒から考える~物質とエネルギーでは説明のできない事

 痛快!コンピュータ学 (集英社文庫)坂村氏は電脳建築学の研究家。本書は2002年初版。

 

坂村氏は19-20世紀は物理の世界、その次の世界を支えるのが情報理論であると説明。

シャノンの情報理論以前

物理学で測る事ができない「差」、それが情報だ!ーシャノンの情報理論は物理学の盲点をついたものだったとも言えるでしょう。物理学では世界は物質とエネルギーによって作られているとされていたわけですが、シャノンは宇宙を形作る「第三の要素」として情報の重要性を指摘したのです。(57ページ)

 

16本のマッチ

ここに16本のマッチ棒があったとします。そのマッチをテーブルの上に投げかければ、マッチ棒はバラバラに散らばってしまうわけですが、その同じ16本のマッチを図のように並べると、そこには「SOS」の文字が現れてきます。

乱雑に散らばったマッチと、SOSの形に並んだマッチーこの二つの状態は人間の目から見れば明らかに違います。

f:id:kocho-3:20140130082458p:plain(56ページ)

  物理学では区別できない

しかし、これを物理学の観点から見たら、どうなるでしょう。どちらのマッチも、物質という面からみればまったく違いはありません。またエネルギーの面から見ても区別できません。つまり、物理学ではマッチ棒が示している「SOS」という情報は読み取れないということなのです。(57ページ)

私の考えた事:情報は物質とエネルギーから分離可能

シャノンの情報理論は「情報は数学的に表現できる」という事だった。16本のマッチの例で明らかな様に「SOS」という情報の伝達に限って言えばにマッチ棒は不要である、という事。情報は物質とエネルギーの制約を「ほとんど」受けない「第三の要素」だと言う事をリアルに認識。SOSという3文字がデジタル化したものの持つ物質とエネルギーは無視できる程小さい。

人の営みは今も昔も、情報を物質とエネルギーから分離・解法する事と表現できる。石碑に記録する事、紙に記録する事、そして電子的に記録する事、物質とエネルギー量は縮小していく。

蛇足

マッチ棒は日常からどんどん消えている、いつまでこの例えが使えるか?