毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

17世紀、天文学は計算能力も求めた、

 

零の発見―数学の生い立ち (岩波新書)吉田洋一氏(1891-1989)は数学の研究者。

本書の第1版は1939年!、私の手元には第84版!がある。本書そでに、「インドにこれるゼロの発見は、人類史上に巨大な一歩をしるしたものといえる。その事実および背景から説き起こし、エジプト、ギリシャ、ローマにおける数を書き表すための様々な工夫、そろばん や計算尺の意義にも触れながら、数字と計算法の発達の跡をきわめて平明に語った、数の世界への楽しい道案内。」

小数点

位取り記数法は十六世紀の末にいたって、小数点の発明によって、ついに、完成の段階に入った。少数が比較的近世の発明であるのに反し、分数は遠くエジプト、ギリシャの栄えた時代からひろく一般に知られていたものであった。

①通常の少数ーいわゆる有限少数ーは、すべて分数を略記したもの  

0.25=2/10+5/100

②循環無限少数  例えば0.9999999999999999・・・・・・・・・・

9/10+9/100+9/1000+9/10000・・・・・・・・・・=(9/10)/(1-1/10)=1   

                                                                    初項9/10,公比1/10の無限等比級数

③循環しない無限少数 例えばπ=3.14159・・・・・・

どうして小数点が必要となったか?

分数は数のままで他のの分数と大小を比較しようとすると、どうしてもその度ごとに通分 するという手間が要るのに反し、分数をすべて小数の形に表しておくことにすれば、少数の間の大小は一目にして判定できるという利点がある。小数点法の長所も実をいえば、位取り記数法の元来持っている長所がとくに小数記法の場合に現れてきた、というだけの事にすぎないのである。(78ページから再構成)

少数記法は、位取りにおいて、上の方に伸びるだけに任せておいた桁を、さらに下に向かっても、無制限に伸びることを許そうという仕組みである。したがって、この記法が採用されたからには、桁数の多い数を取り扱う機会が以前より多くなったのは当然というべきであろう。ことに、十七世紀の初めごろガリレイによって望遠鏡が完成され、天体観測が精密化されてきたのはこの勢いに、更に、拍車をかけるものであった。

桁数の多い筆算を簡略化する方法:対数

筆算の欠陥を補うために十七世紀の初めに考案されたものがネイピアおよびビュルギの「対数」であった。ここではただ、いかなる正数をもってきても、これに付属してその正数の「対数」と称する一つの実数が定まっている。(79ページを再構成)

事例

365×1.523の積→10^2.5622929×10^0.1826999=10^2.7449928=555.895

今は対数表を使わなくてもExcelで=log(    )で簡単に求められる。

吉田氏が1.523を例に使ったのは多分1天文単位(地球と太陽の平均距離)、天文学は望遠鏡だけでなく、計算能力も必要だったと認識する。

用途によって計算の精度は違う

吉田氏はエジプトの幾何学でのπについて説明する。円の面積と等しい面積を有する正方形として、円の直径からその1/9を減じたものを一辺という正方形を与えている。すなわち半径1の円の場合には、その面積ー円周率ー以下の様になる。(92ページ)

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蛇足

割り勘の計算は10円単位で十分、