毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

電力消費の57%がモーター、「元素戦略」、より

 元素戦略 科学と産業に革命を起こす現代の錬金術

中山氏は独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)フェロー・エキスパート。本書はレアメタルなどに関する「元素戦略プロジェクト」に関してまとめたもの。レアメタルのアプリケーションの一つとしてモーターを挙げているが電力との関係が興味深い。

電気消費量のうち、モーターが57%

モーターや発電機には必ず磁石が使われているからである。モーターは家電製品やハイブリッド車・電気自動車から携帯電話に至るまで、あらゆるところで使われている。ふだん、磁石やモーターについて意識することは少ないが、図に見るとおり、日本の全電力の57%はモーターによって消費されている。(中略)ハイブリッド車など「小型・高性能(ハイパワー)」を求めらるモーター用の磁石にはネオジム磁石(フェライト磁石の10倍強力)、なかでも「ジスプロシウムを添加したネオジム」が使われている。(136ページ)

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電気の消費量に関する統計

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消費電力 - Wikipedia

全消費電力のうち57%がモーター、日本では家庭用途が約30%。私は今までこの様に電力を捉えた事がなかった、モーターは見えないだけに使っている実感が少ない。また外鉱工業の比率が少ない事に気づく。(もっとも中国の鉱工業セクターの比率は67.8%、グローバルに見れば製品輸入で代替している。)

元素戦略の2つの事例

本書では様々な研究家による活動が紹介されているが、北川宏 京都大学教授の「元素間融合」(本来混ざらない2つ以上の元素を組み合わせて新たな機能を発現させる)、北川進 京都大学教授の「多孔性材料」(孔のある金属錯体にガスを流量し分離する)、が紹介されている。以下にページを引用。

元素間融合:研究代表者・研究課題|元素戦略を基軸とする物質・材料の革新的機能の創出

多孔性材料:多孔性材料の技術革新と実用化への道 - トムソン・ロイター

蛇足

情報の積み重ねがリアリティーを持つ。