毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

なぜ英国で産業革命が始まったか、 石炭が先か、産業革命が先か?~英国から始まったエネルギー革命

どうしてイギリスで産業革命が始まったか?英オクスフォード大のRC Allen教授は、英国は石炭による廉価エネルギーを世界に先駆けて享受したからだと説明する。

 The British Industrial Revolution in Global Perspective (New Approaches to Economic and Social History)

 

本書は英文、未読につき以下のページから引用させて頂きました。

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Global COE Hi-Stat 

産業革命が18世紀の英国でなぜ起こったのだろうか?「The British Industrial Revolution in Global Perspective(仮題:英国産業革命の世界的展望)」では、産業革命が英国での廉価なエネルギー価格にあると説明する。

 

大英帝国はロンドンの人口膨張を招いた

 

 世界経済での英国の成功は、要約すると地方の製造業の拡大と急速な都市化である・・・1500年には5万人だったロンドンの人口は、1600年には20万人に増加し、1700年には50万人まで激増した。18世紀にはアメリカ大陸の植民地やインドとの交易が拡大し、ロンドンの人口は再び倍増したことで、地方やスコットランドの都市はさらにより急速な成長を遂げた

 

ロンドンで石炭の使用が始まった

 

 ロンドンの拡大によって木材燃料が不足して、石炭の活用が唯一その問題を緩和した。石炭燃焼用の住宅が考案されたことで、イングランド北東部のノーサンバーランドにある石炭鉱山を採掘する価値が生まれ、海岸沿いを通してロンドンまで石炭が輸送された。石炭貿易の始まりである。例えばニューキャッスルなどの石炭採掘場では世界的に見て英国のエネルギー価格はもっとも低廉であった。

産業革命は初期英国に限定され、後にどうして世界に広がったのか?

 

産業革命の影響が長い間英国に限定されていた理由は、技術的革新が(廉価なエネルギー価格という)英国の状況に適応していて、他の地域では活用しても利潤が生まれなかったからである。(その後技術開発により例えば)蒸気機関の石炭消費は18世紀初期の1馬力当り45ポンドから19世紀中頃にはわずか2ポンドに削減された。・・・19世紀中盤までには、先端的な技術をエネルギー価格が高いフランスや賃金の低いインドといった国で活用しても利益がでるようになった。いったん(低価格エネルギーを活用する)技術が伝播してしまえば、産業革命の影響は世界中にまたたく間に広まった。 

石炭使用が先か、産業革命が先か?

 

どうして英国でしか産業革命が起きたか?それは石炭を使い始めたからであった。産業革命が起きて石炭の価格が下がったのではなく、ロンドンの住宅で石炭を使用する為に石炭を安価にする為の工夫がなされたとも言える。その結果開発された蒸気エンジンにより更に石炭価格は劇的に低下し、化石エネルギーは数億年の間に蓄積された太陽エネルギーが蓄積されたものである。

いわば時間を凝縮して使用する方法を獲得したとも言える。本ページに至るには以下の文章が切っ掛けになった。経済アナリストの中原圭介氏は原油価格は世界をデフレ方向に向けると主張されています。

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 エネルギーの供給過剰による物価下落としては、18世紀半ばから19世紀にかけて起こったイギリスの産業革命が参考になります。当時は技術革新が進んで、石炭が大量に採掘できるようになりました。石炭の供給能力の飛躍的な進展が、世界的なデフレをもたらしました。エネルギー価格が下がったことで、食糧の価格も下がり、全体的なモノの価格も下がっていきました。(46ページ)

蛇足

 地球誕生46億年の間にエネルギーを蓄えてきた

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