日本のエネルギー使用量はピークアウトしている~原油と天然ガスで需要と供給のバランスに変化
石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門 (文春新書 991)
日本の1次エネルギーの使用量は減少していた!
合計:石油換算百万トン、それ以外は%
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石油 |
ガス |
石炭 |
水力 |
再生エネルギ |
合計 |
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2010 |
40.2 |
17.0 |
24.7 |
13.2 |
3.9 |
1.0 |
501 |
2013 |
44.1 |
22.2 |
27.1 |
0.7 |
3.9 |
2.0 |
474 |
・3.11以降原子力の割合が減少、また総エネルギー使用量も減少
出展:本書213ページ
本書ではどうして日本のエネルギー使用量が減少したかについて明確には触れていない。日本はエネルギーを産業部門で45%、民生部門で31%、運輸部門で23%使用している。日本のエネルギー使用の総量は産業構造の変化(製造業の減少)、ハイブリッドカーなどの運輸部門の省エネ化、そして高齢化によって増えるとは想像し難い。日本は世界に先駆けてエネルギー使用量が減少する社会に向かっている。
天然ガスと石油は生成時の温度の差
ケロジョンと(泥岩)なった有機物(生物の死骸の蓄積)が石油になるか天然ガスのなるかは、生成される震度とその震度が持つ温度による。有機物が炭化水素となるのは震度が1500メートルから5000メートルのあたりとされているが、2500メートルくらいの深度の温度は我々が家庭で飲む緑茶に近い80度くらいで、有機物は数百万年を経て石油になる。一方4000メートルくらいの深度の温度は天ぷらの低温、火のとおりにくい芋や蓮根を揚げる150度ぐらいで、ここでは有機物は直接天然ガスになる。(113ページ)
人類はエネルギーとともに
食糧をたくさん作れることになったこと、加熱した料理を食べるようになって同じ量おものを食べても格段に豊かな栄養摂取が可能となったこと、疫病対策が進行しs、予防措置が十分に取れるようになったこと、疫病対策が進歩し予防措置が十分に取れるようになったこと、乳幼児の死亡率が減少したことなどが人口増を可能にした背景にはあるが、根本には幸せになりたいという人間としての欲求、人としての希望があるのではなかろうか?・・・「原始人」の一日あたりのエネルギー消費量は一人あたり2、000キロカロリーだった。紀元1000年ごろの「高度農業人」になると約10倍の24,000カロリー、現代の「技術陣」になると約100倍の230,000キロカロリーを消費している。
我々が認識すべき事
日本の社会構造が低エネルギー化に向かっているとすると、今後先進国のエネルギー使用量もピークアウトしていくと考えられる。そしてグローバルに見ると、米国・ロシアを含む欧州でも天然ガスの使用はより活発になる。石油に比べ今まで資源としての利用が少なかった天然ガスは埋蔵量が大きい事を考えられる。そして天然ガスと石油の生成の由来からも違和感はない。人類は事実上飢餓を克服したのと同様、化石燃料を限界とした危機に遭遇するのはずいぶん先かもしれない。
蛇足
アメリカ産天然ガスの価格は4-5$/100万btu(熱量単位)=原油換算24-30$/バレル。(原油は90$/バレル)