毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

やっぱり心身は一体である、脳科学の見地から~『脳の中の身体地図』(2009)

脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ

ブレイクスリーはサイエンスライター、脳と身体の一体性を脳科学の見地から解説。2009年刊

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脳と身体地図、そして感覚

 

外界と身体の解剖学的構造のイメージが脳組織に体系的にマッピングされている。つまり身体のトポロジー、言い換えれば空間的関係が、細かい点まで触覚マップに保存されているだけだ。・・・身体の曼陀羅はそうした感覚の中心にある統合者であり、心の究極の基準系であり、知覚の基礎をなす単位系である、感覚は身体化された自己に照らし合わせなければ意味をなさないのだ。(22ページ)

脳と身体は一体

 

 

身体は脳を入れて動き回るための単なる運搬具ではない。両者の関係は完璧なまでに互恵的だ。身体と脳はお互いの為に存在している。・・・皮膚と身体から感じる感覚-触覚、温覚、痛覚など、本書で取り上げるほんの数種の感覚が、あなたの心の基盤となる。他の感覚はみな、相対的な利便性の為に追加されたものに過ぎない。・・・人間は視覚や聴覚が無くても、元気いっぱいに暮らして行ける。(19ページ)

 

ダーツによる運動イメージ・トレーニング

 

学生たちに、自分が大型ディスプレイの前に大きな安楽椅子を据えて座っているところをビジュアライズ(視覚化)させた。(ダーツを投げる)スローイング・ラインに立った自分の姿を見て、指で握ったダーツの感触を思い、リリースの瞬間を感じ、ダーツが真ん中のブルズ・アイ(赤い点)に吸い込まれていくのを目と耳で確かめ、成功がもたらす自負心と満足感を味わうようにと指示したわけだ。(89ページ)

ダーツの練習+運動イメージ・トレーニング

 

ダーツの練習だけよりも運動イメージ・トレーニングを組み合わせた方が良い結果が生じる事が実験結果により確かめている。

 

頭の中で運動を行っている。心の中の目ではなく、むしろ心の中の身体を使っている。運動イメージは身体の曼陀羅(身体地図)の一部、たとえば運動計画や固有感覚(空間位置認識)にかかるマップを使用する。・・・運動イメージは、運動がリアルタイムに行われているかのように脳の運動機構が展開している、オフライン作業と言える。(97ページ)

 

心身が一体となる

我々は心身が一体となる、という言葉を使う。本書の示唆する所は心身は常に一体だという事である。現代の脳科学は身体情報と感覚の結びつきを明らかにしている。運動イメージ・トレーニングはいわば「脳だけを運動させる」練習であり、これが身体練習と組み合わさる事で効果を発揮するという。一方身体練習だけを行って脳が働かない事は無い。つまりは運動イメージ・トレーニングでも身体練習でも常に脳は常に動く。身体、あるいはイメージの身体がなければ脳は働かない。心身は最初から一体だったという事である。身体と関係することわざは多くある。手に取るように判る、足がすくも、首が回らない、ここれらは身体とその運動が脳の働きと密接にリンクしている事を示している。

蛇足

 

運動イメージ・トレーニングは脳の運動

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