毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

赤ちゃんから学ぶ、身体運動を真似る事、それが相手の感情を写し取る事~『まねが育むヒトの心』明和 政子 氏(2012)

まねが育むヒトの心 (岩波ジュニア新書)

明和氏は比較認知発達学の研究家、心はいつ生まれ、どのように育つのでしょうか。相手の気持ちをくみとったり、「おせっかい」に関わろうとするのはヒトだけです。それはなぜか。赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに、その謎にせまります。2012年刊

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新生児模倣

 

 

赤ちゃんは、生物らしい動きや顔の情報を、ただ自動的、反射的に検出するだけではありません。自分の目では確認できない(自分の)身体部位を使った行為、舌を突き出したり、口を開閉させたりといった表情をまねしたりましす。「新生児模倣」と呼ばれる現象です。・・・私自身も、出産後できるだけすぐに、目の前で舌を突き出したり、口を開けてみたりました。上の子は生後8時間、下の子は2日ほどたった頃でしょうか。最初はぼんやりと遠くを見ていたのですが、私の口のあたりに注目したとたん、ゆっくり舌を出し始めました。はたらきかけに応答する能力を目の当たりにし、思わず鳥肌が立ちました。(45ページ)

 

どうして「まね」ができるか?

 

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、鏡を見た経験のないはずですし、自分の顔のどの部位をどう動かせば目の前にある表情が作り出せるのか、自分の目で確認することも理解することもできないはずだからです。(46ページ)

 

胎児から運動していた

 

 

初めて四次元エコーを目にされた妊婦さんがもっとも驚かれるのは、胎児がみせる豊かな表情です。覚醒状態にあるとき、胎児は頻繁に口をパクパクと動かします。私たちと同じようにあくびもします。胎齢20週頃からは、小さな舌を出し入れして「あかんべー」をしたり、唇を突き出してキスをするような表情、しかめっつらもよく見られます。(103ページ)

 

新生児模倣の解釈

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、全身のあらゆる感覚器官を使って外部情報を検出すると同時に、自己身体運動経験にもとづき、それらの情報を処理しているようです。(49ページ)

ヒトの心とは何か?

 

赤ちゃんは生まれた時、既に口を動かす経験を沢山経験していた。赤ちゃんは口を動かすと感情にも動きが生じる事を既に知っていた。そして、お母さんの表情を真似た時に発生する自分の感情、これが心になる。そして動作の模倣は相手の心の模倣になっていく。

そしてこの身体を模倣する行為はヒトに特異的な行動であり、「どうやら身体模倣は、・・・およそ700万年前からどこかの時点で獲得された能力だと考えられます。身体模倣は、ヒト特有の心のはたらきを探る上での鍵となる能力なのです。」(149ページ)と説明する。

心おどる、という言葉がある、身体運動が心を作り、心が身体運動を起こす、このスパイラルによってヒトは心を発達させている。そして誰でも身体運動で心を動かせる。

蛇足

 

身体の動きをまねる事、それが相手の感情の理解、

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