毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうしてくすぐる真似だけで"くすぐったい"と感じるのか?~『皮膚感覚の不思議』山口 創 氏(2006)

皮膚感覚の不思議―「皮膚」と「心」の身体心理学 (ブルーバックス)

山口氏は身体心理学の研究家、

なぜ、くすぐる仕草をされるだけでもくすぐったい?身体心理学で迫る! (2006年刊)

著者によれば人間は古くからくすぐったさに不思議な感情を持っていたという。

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くすぐりの刑?

 

 

中世には拷問として徹底的にくすぐって死に至らしめたり、足の裏をヤギに延々と舐めさせることがあったという。・・・さらにくすぐったさの特徴は他人からくすぐられる必要があることである。(131ページ)

 

どうして自分でくすぐってもくすぐったくないか?

 

 

人にくすぐられる時は、くすぐられた部位の触覚や、圧覚などの刺激情報が脳の体性感覚野に達し、くすぐったさを感じる。ところが自分で自分をくすぐるときは、小脳からは自分 の指を動かす指令が出ると同時に、体性感覚野へ感覚を抑制する命令がいく。これを遠心コピーという。(131ページ)

 

なぜ抑制する必要があるか?

 

 

くすぐったさは、もともと虫や寄生虫など外からの刺激を感じる為のものであるため、自らが生み出す刺激とは区別する必要があるのではないだろうか?(132ページ)

 

そもそも触覚とは何か?

 

 

今から200年異常も前にイギリスの哲学者バークリーは「視覚によって得られる距離や形、位置や大きさといった空間観念は、すべて触覚のはたらきに負うもので、視覚の直接の対象は光と色だけである。」(191ページ)

 

 

私たちは触覚を頼りに、世の中を具体的に確信をもって捉えることができる。そして具体的なモノの存在を確信できるからこそ、それから離れた抽象的な思考や想像をすることも自在にできるようになるのだ。(197ページ)

 

くすぐりとなつかしい記憶

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くすぐる真似だけでもくすぐったく感じるのは脳の「共感の機能」である。ミラーニューロンの機能と言い換えてもいいだろう。我々は日常生活で触覚に頼る事は少ない。そしてこの写真は最後にくすぐり遊びをしたのはいつだったか?と考えさせられる。日常生活で触覚をもっと意識したらより世界が豊かに感じられると気づく。サラサラ、すべすべ、ごつごつ、これらの言葉と何の心地好い感情が結びつくか?

蛇足

 

最後のくすぐり遊びはいつだったか?

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