毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

物質は情報で出来上がっている、それでは情報とは?~『情報の宇宙』H・C・V・バイヤー(2006)

量子が変える情報の宇宙

バイヤー氏は物理学の研究者、情報ビットは電子ビットから量子ビットへ。量子ビットの奔放な振る舞いの謎を知る。 (2006年)

 

 
 
“IT is from BIT.

 

「“IT(それ)”、すなわち物質世界は、その全体あるいは一部分が“BIT”、すなわち情報から作られている」

最も多くの情報を持つ文章

 

 

「全てのものは原子、すなわち絶えず運動し、少し離れていると引きあうが押しつけれると反発しあう、小さな粒子から作られている」という「原子仮説」である。ちょっとした想像力を駆使すれば、この一文によって、膨大な量の情報が存在することを理解できるだろう。」(ファインマン物理学からの引用37ページ)

 

情報とは物質と精神をつなぐもの

 

 

原子やDNA分子、あるいはピアノといった実体を持つ物体から溢れ出て、感覚が関与した一連の複雑な変化を経由し、最終的に意識を持つ脳に蓄えられるのは、この情報という簡約化可能で奇妙な存在なのである。情報は、物理的存在と抽象的存在、そして現実の世界と観念の世界とを仲立ちしている。(39 ページ)

 

原子が量子化すると、、、

 

量子物理学は原子がもはや一つの堅い球ではなく、電子と原子核が確率的に存在する雲の塊の様である事を示している。原子核をパチンコ玉サイズと想定すると、水素原子のサイズは直径450メートルに相当し、そこを電子が回っている。物質の元でる原子は実は中身のない原子核と電子の関係性によって構成された存在、つまりは情報によって構成されている事になる。

それでは情報とは何か?

 

量子力学の根底には物質でなく、情報が横たわっているという説を受け入れるとしたら、科学を裏で支える忠実だが欠点を持つ還元主義に基づいて、「情報の基本的構成部品」を問わなければならない。

 

「(情報とは)命題である。・・・イエスかノーの質問である。」(307ページ)「我々が理解できる最も単純な物理的存在は、正確に1ビットで記述される」(308ページ)

 

思い出すのは「空」の概念

 

物理学は、物質は情報で出来ているいい、情報は命題であるという命題という表現から明確になる事はYesも情報であるが、Noも情報であるという事。ここで仏教の「空」に連想する。空は有るとも、無いとも言う。有と無を包含するものが空である。物理学ではYesの可能性とNoの可能性が重ね合わされた命題を情報といい、仏教では空と言う。西洋文明を支えてきた原子説、東洋の仏教思想、いずれもが同じ概念を示している。

“IT is from BIT.” 物質はある命題の答によって構成されている。

蛇足

 

物質は実は”すかすか”だった。

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