毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

3次元の物質は2次元の情報の投影と考えてみる~物理的制約から開放される

 ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い

サスキンド氏は理論物理学者「ブラックホールの相補性」や「ホログラフィック原理」といった新しいアイデアが生まれ、それらは今では世界中で盛んに研究されるにいたっている。

ブラックホールの情報パラドックス

ブラックホールに落ちていく情報は失われる。ブラックホールの地平線の向こうから戻れるものは何もないので、法則を反転させる事は絶対にできないという事になる。自然法則におけるランダムさという要素が大きくなって物理学の基礎全体が崩れてしまったはずだ。(110ページ)

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物理学の基礎~因果律

古典物理学での因果律とは、「現在の状態が分かれば過去の状態も分かる。相対性理論の枠内においては、「光速を超える情報の伝播は存在しない」という原理。(Wikiより抜粋)

サスキンド氏は相補性とホログラフィック理論で説明

ブラックホールパラドックスに関する私の見解は、ボーアの量子力学パラドックスに関する見解と同じだった(中略)ある実験では、光は粒子の集まりのようにふるまい、別の事件では波のように振る舞う。光が両方のように振る舞う実験はない。(相補性、295ページ)

②3次元の世界、つまり銀河、星、惑星、家、巨石、そして人々で満たされた宇宙はホログラムである。すなわち宇宙は、遠く離れた2次元の面にコード化されたものから生じる画像なのだ。それは「空間の領域の内部にある一切のものはその領域の境界面の情報だけで表せる。」というものだ。(ホログラフィック理論、361ページ)

サスキンド氏の主張を解釈してみる

ブラックホールの外と内では相補性により切り離され同時には存在しない。銀河系の様な巨大な物質であってもブラックホールに吸い込まれる。外から見れば銀河系の持っていた情報はブラックホールの表面に2次元の情報として張りつき、なおかつ更新され続けているのでそこに存在する。銀河系の視点からみればブラックホールの中心に吸い込まれていくがそれを認識する事はできない。

サスキンド氏の主張の一般化を試みる

「ある空間の領域の最大のエントロピー1ブランク面積あたり1ビットである。」(356ページ)これを言い換えると、3次元の情報は、その情報をすべて蓄えられる2次元の表面に投射されている。その投射されている部分が空間の限界である。

 

 

ブラックホールは既に観測された現実である。そうすると我々の日常の3次元空間は2次元の情報のホログラムにすぎないという事になる。「私はこれほど直感に反するものを知らない」と言う様に、2次元の情報+時間の情報がオリジナルであるという視点を許容する事が重要。

蛇足

2次元の情報世界では物理的制約は働かない。