毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2500年前デモクリトスが心の目で見たもの~我々は画像でみれる。

僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して (ソフトバンク文庫)  

チャウン氏はサイエンスライター、「好奇心を持った原子=人間は、いかにして自分たちの身体を構成する原子の起源を発見したのか?」 

デモクリトスの原子論

物体をどこまで小さく分割できるなど、考えられないことだった。分割し続ければ、遅かれ早かれ、それ以上は小さくならない物体の粒に至るというのが彼の推論だった。「分割不能」を表すギリシャ語が「a-toms」だったことから、デモクリトスは、万物の構成様瀬尾となる分割不能な粒を「atom」と名付けた。「原子と空間しか存在しない」(17ページ)

 

走査トンネル顕微鏡の発明

デモクリトス2千年前に抱いた夢を実現した装置は、「走査トンネル顕微鏡」または略されてSTMと呼ばれる。STM1978年の秋、フランクフルトのヴォルフガング・ゲーテ大学でで博士過程に在籍していた31歳のドイツ仁、ビーニッヒが学位論文の最後の仕上げをしているときに誕生した。ビーニッヒはコンピューターチップの基盤となるシリコンなどの半導体の素材の表面に関心を持っていた。チューリッヒIBM研究所から派遣されビーニッヒと々大学に在籍していたスイス仁の中年の物理学者、ハインリッヒ・ローラーもたまたま同じことに関心を抱いていた。ある日ばったり出会った二人は、シリコンなどの表面の微細な構造を見る装置を開発する可能性について語り始めた。(34ページ)

 

1979年ビーニッヒは、驚くべき事実を発見した。針の先端にあるごく微量の原子から金属の表面に向かってトンネル電流が流れることを発見したのである。つまり針は、実際には外見より何十倍も営利であることになる。実際、ビーニッヒとローラーは、針を金属タングステンで作ると、必ずその先端が先端から突き出たわずか数個の原子から構成されてることを発見したのだ。

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トンネル電流とはトンネル効果により生じる

トンネル効果(トンネルこうか、Quantum tunneling)は、非常に微細な世界にある粒子が、古典的には乗り越えることができないポテンシャル(エネルギー)障壁を、量子効果すなわち、時間とエネルギーとの不確定性原理により乗り越えてしまう(透過してしまう)現象。(Wiki

 

走査トンネル顕微鏡が捉えた原子

極微の世界に君臨する原子の姿が捉えられたのだ。原子は小さいフットボールのようだった。折り重なり、箱に詰め込まれたオレンジのように見えた。何よりも、原子は、一人の人間が2千五百年前に、心の目であれほどはっきりと見た、小さな堅い物質の粒のように見えた。(36ページ)

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1989年、ドン・アイブラー博士がSTM(走査型トンネル顕微鏡)での原子操作に成功。35個の原子を並べて「IBM」の文字を作http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0612/15/news004.html