100年の価値とは何か?それを言葉にしてみる~『100年の価値をデザインする』奥山 清行 氏
100年の価値をデザインする: 「本物のクリエイティブ力」をどう磨くか (PHPビジネス新書)
奥山清行氏は工業デザイナー。自身が活用できた理由を、「日本人としての切り捨ての文化」だと言う。2103年刊
イタリアのカーデザイナー・ピニンファリーナ氏
「このクルマは、量産のスポーツカーとして歴史上初めて第六の面をデザインしたクルマです。」それまでのクルマは、前・後・左・右・上の5つの面しかデザインされていなかった。クルマの底面は人の目に触れることがないという理由で、デザインの対象とは思われていなかった。ところがクルマの高速化で高速走行時に車体が浮き上がるのを防ぐ対策が必要になったため、F355ではアンダーフロアを積極的にデザインに取り込み、空気の流速を高めて、スポイラーなどに頼らずにダウンフォースを発生させるようにしたのだ。(62ページ)
言葉はそれ自体力を持っている
言葉は考えを具体化することができる。一言で表現できるものは絵に描ける。僕はデザインのプレゼン案などによく名前をつけるが、それは言葉で名前をつけると、その名前がコンセプトになるからだ。・・・絵を描く前に言葉でコンセプトを全方面に振っておく(コンセプトの選択肢を思考で追求しておく)。そうすれば、ある程度絞り込んだ状態から絵を描き始めることができる。「まず言葉でデザインする」というプロセスが大切なのは、そのためだ。(63ページ)
夢の連鎖反応
ピニンファリーナがデザインしたというショーカーがある。1970年にジュネーブショーで発表され、同年の大阪万博でも展示された。(月面着陸したアポロ11号に)感動した一人のイタリア人が作った美の化身の様なショーカーは、また一人の日本人の子供(奥山氏)を虜にし、夢のバトンを手渡した。(235ページ)
Guess who bought the Modulo from Pininfarina?
ムーンショット
奥山氏は本書を「ムーンショット」という言葉でしめくくる。「月を撃つ」は不可能の代名詞だったが、アポロ11号が着陸以降は「夢はいつかは実現できる」に意味が代わったという。夢に言葉を与え、形を与え、そしてそれを実現する事、それには上手なやり方がある。「言葉でデザインする」という言葉はそれを明確にしてくれる。
蛇足
デザインする、とは世に無い物に言葉と形を与えること
こちらもどうぞ
誰でも15分でクリエイティブになれる方法~用意するのは一杯のコーヒーと紙ナプキンとペン、そして少しの勇気! - 毎日1冊、こちょ!の書評ブログ