毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

人類の文化史は"わずか"5万年前から始まっていた~『5万年前に人類に何が起きたか?』

5万年前に人類に何が起きたか?―意識のビッグバン

クライン氏は古人類学者、5万年前、人の脳の遺伝子レベルの変異が引き起こした「社会文化的爆発」についてどこまで分かっているのか?(2004年刊)

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5万年前とはどういう時代だったか

 

 

5万年前頃、ヒトの個体群が実質上生活していたのは、東アフリカだけなのだ。アフリカの他の地域では、厳しい乾季のせいで、6万年前かそれ以前から、3万年前かその後まで、人口は激減したと考えられる。(27ページ)

 

5万年前に芸術品や装飾品が登場

 

 

後期石器時代の人々が作った遺物は一見して石器の体裁をなし、しかも種類が豊富だ。また年代、場所によって変異幅が大きい。標準化された(定型的な)骨製人工遺物や芸術品も、日常的に作られていた。明らかに葬儀が行われたことを物語る精巧な墓を掘った。・・・自意識をもった「民族」文化があったことを具体的に示す最古の証拠となる。(254ページ)

 

それでは5万年前に何が起こったのか?

 

 

完全な現生人の脳へと発展を促すような偶然の変異が「曙」をもたらした-これが、最も単純で簡素な説明と言えそうだ。・・・解剖学的構造と行動面での変化、この両者の関係が、約5万年前に一変したということだ。このときまで身体構造と行動はほぼ併行してゆっくりと進化したが、これ以降、身体構造が比較的安定した一方で、行動上の変化はどんどん加速し、文化を発展させた。・・・5万年前に起こったとされる遺伝子変異によって、ありとあらゆる自然・社会環境に対して生理学的変化なしに適応できる現生人独特の能力が促進されたこと、をさしている。(295ページ)

 

神経系の変化とは何か

 

 

おそらく、この最後の神経系における変化が、音声言語を話す現生人の能力、つまり人類学者(一部略)のいう「音素からなりたち、シンタックスをもち、無限の開放性があり、生産的な、完全に音声による言語」を操れる現生人の能力を促したのだろう。(296ページ)

 

今もわからない事

 

5万年前に神経系にどういう変化が生じたかを示唆する化石はない。音声言語能力だったであろうという人類学者の見解とそれを裏付ける遺伝子の変化の探索が行われている。そして今のそこには明確な証拠は発見されていない。我々は5万年前まで遡れる、そしてその後は身体構造の変化はなく、社会としての文化・知識が蓄積されて現在に至る。地球の歴史46億年に比較すれば、わずか5万年の歴史、と言える。

蛇足

 

5万年後にはどうなっているか想像してみる。

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