毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

クリーンディーゼルとコモンレールを知っていますか?、エンジンはまだまだ進歩できる事に気づく~『ディーゼルエンジンの徹底研究』(2012)

ディーゼルエンジンの徹底研究

鈴木氏はディーゼルエンジン開発の技術者、燃焼改善や排出ガスの後処理技術などの急速な進化により注目されるディーゼルエンジンについて解説。2012年刊

 

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エンジンのエネルギー損失は排気ガスと冷却水で失われる熱が大きい。

これを改善できる余地はあるか?

 ディーゼルエンジンは1897年誕生

 

エンジンのエネルギー損失で大きな物は排気ガスと冷却水で失われる熱である。 圧縮着火エンジン ディーゼルエンジン(圧縮着火エンジン)は、1897年にドイツのルドルフ・ディーゼルによって実用化された。蒸気機関や大気圧機関から大きく飛躍したオットー機関(火花点火エンジン)の発明から21年後のことである。・・・・ディーゼルエンジンは、空気を吸入してそれを圧縮し、圧縮された空気中に燃料を噴射して空気と燃料を瞬時に混合させなければならない。そのためディーゼルエンジンの歴史の中で最も重要な技術として、燃焼室と燃料噴射装置がある。(13ページ)

コモンレールシステム

 

 

1995年には、それまでの燃料噴射装置とはまったく異なる構造を持つコモンレールシステムがデンソーによって開発され世界に先駆けてトラック用ディーゼルエンジンに搭載された。初期には蓄圧式燃料噴射などと言っていたが、現在ではコモンレールシステムと言うのが一般的である。(14ページ)

 

f:id:kocho-3:20150213063907p:plainディーゼルエンジン コモンレールシステム/製品・サービス情報|デンソー

 

サプライポンプにより生成された高圧燃料は高圧管を経てレール(蓄圧質)に蓄えられ、・・・指定の圧力に制御されたレール内の燃料は、高圧管を経て各気筒のインジェクタに導かれ、燃焼室に噴射される。(212ページ)

 

ディーゼルエンジンの本質

 

ディーゼルエンジンガソリンエンジンは大き違いがある。ガソリンエンジンは空気と燃料を混合したものをエンジン内に噴射・圧縮し、「火花点火」によって燃焼させる。ディーゼルエンジンはエンジン内の圧縮した空気に燃料を噴射し「圧縮着火」させる。

 

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クリーンディーゼルとは

 

噴射圧力を高めるとPM排出量(ParticleMatter)、いわゆる“黒煙”が減少する。これに役立っているのがコモンレールシステムであり登場して未だ20年の歴史しかない。コモンレールシステムの本質は燃料の噴射圧力を高め、あるいはそれを精緻に制御する。エンジンに搭載されたコンピュータが精緻に計算し、理想に近い圧力で燃料を噴射すればいい。コンピュータの計算能力向上がディーゼルエンジンを改良し、それがクリーンディーゼルと呼ばれている。

エンジンは未だ改善できる

 

ディーゼルエンジンが1897年に発明されて約120年、コモンレールが実用化されて約20年、未だ改善の余地があるという事に驚く。俯瞰してみるとディーゼルエンジンのエネルギー変換効率は40~50%、ガソリンエンジンは30~40%と言われている。ディーゼルエンジンガソリンエンジンに未だ改善される余地がある。エンジンは既に完成したもの、という先入観は間違っているのかもしれない。エンジンはコンピュータの計算能力を100%活かしきってはいない、と言い換えてもいい。

蛇足

 

コンピュータを利用して理想を実現できる事を見

つけられるか?

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